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【詩集】日常から

ステゴサウルスはそこにいる

作者: につき

ステゴサウルスは草食獣だから

逞しい四肢を持ち、身を守るために武装している

そういうところもぐっとくるけれど

なにより色彩の可能性の無限にこそ

激しく躍動するうねりを感じる


濃く陽光を照り返す何処までも続く緑の背に

巨大な体側に走る稲妻上に輝く黄金の帯に

最も鮮やかな夕陽色の背に並ぶ二列の菱に


極彩色の密林に響く野太い咆哮

彼らを脅かす存在が近づいている

群れの重々しい疾駆は

不穏な気配に満ちた大地を揺るがして

その地平線でわたしに続いている


感情の無い巨獣の瞳は見つめている

わたしの中にある巨大な卵を

既にそれは孵化の兆しを見せている


抑えきれない熱病的に血走らせた目の言葉の中心

胸を締め付ける早鐘の鼓動の原因としての情動の源

無慈悲な日常でも呑み込めない

圧倒的な重量物である曲線的でしなやかな野生


わたしもまた肉食ではないから

身の内に巣食うそういったもので武装をせしめるのだ

逞しさを無理にでも与えようとするのだ


暴走の果てに名付けられる名を知らぬままに

巨体を持て余してしまった恐竜たちを濡らす

狂おしい白亜紀のスコールが激しさを増す


その時が来れば

巨大な卵ははっきりと割れて

生まれたての野生がわたしを慕う

そして初めて

野生の情動に裏付けられた本当の言葉が生まれるのだろう

お読み頂いてありがとうございます。

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