出会い
『キーンコーンカーンコーン』
私立星魔学園の放課後が始まった。下校する生徒、部活動に勤しむ生徒、図書室に行ったりする生徒、教室で勉強する生徒など様々な生徒がいる。下校する生徒の中に安倍俊治という少年がいた。
「じゃーなー」
「あぁ、俊治。気をつけろよ。お前ドジを起こすからな」
「起こさねぇよ。まぁ、それじゃあな」
彼は友人と軽く言葉を交わして別れ、帰途につく。
彼の家は学園から自転車で一時間もかかる。バスか電車で行けばいいのだが生憎と田舎であるがゆえにそういったものは一切通ってない。そして今の時期は冬。家に着く頃には既に真っ暗闇になっているのだ。
「あぁ……寒いなぁ」
俊治は片手で田んぼばかりの道を運転しながら、片手に息を吹きかける。すると息はすぐに真っ白になった。
「クソ……どんだけ寒いんだよ」
『ニンゲン……』
「ん?」
彼が運転していると微かにだが何か気味が悪いような声が聞こえてきた。一度自転車を停めて周りを見てみるが誰もいない。それを確認してまた自転車を走らせる。
『ウマソウ……ニンゲン』
「え?」
再び先ほどの声が彼の耳に入ってきた。だが、先ほどとは違って今度をはっきりとだ。声はまるで人間のものではなく、ドスが効いた歪な声音。人間のそれではない。俊治は先ほどと同様周りを見るがやっぱりいない。また自転車で走り出そうとすると、突然上から差してくる月の光が何かに遮られ、影になった。そこで上を見上げると異型と形容するのが正しいような未知の生き物。地球上の生き物に例えるならば一番熊が近いだろう。しかし、それでもかけ離れすぎている。額には何か星座のような斬り込み。腕には装甲のような鋼の物体。そして最も特徴的な部位は目。目が何故か三つもあるのだ。口からは唾液がポトポト落ちて、落ちた唾液が地面に落ちる度に『ジュー』という音が聞こえてくる。
「え……? ちょっと……なんなんだよ、これ……。ど、どういう事?」
彼はそいつを直視してしまった瞬間、腰が抜けて立っていられなくなってしまい、地面にへたり込む。そこでその謎の生物は今まで座っていた電柱から飛び降りてきた。
『ニンゲン……クワセロ。オイシソウ』
「だからなんなんだよ! これ死ぬの!? 食われるの!?」
声を出して自分を奮い立たせて体を動かそうとするも、体がそれを受け付けず微動たりともしない。
「マジで死ぬ……」
彼がそう覚悟した時、突然後ろから黒い髪を月光で反射させながら走ってくる人間がいた。その人間は途中で何かブツブツ呟きながら一気に異型に近づいた。そして拳を振りかぶって思いっきり頭に振り下ろした。その拳は巨大な炎を纏っており、反応が遅れた異型は焼き殺されてしまった。
「ふぅ……」
人間がほっと一息ついた。俊治は一瞬どうなったかわからなかったが、状況をすぐに理解して慌ててその人間の横顔を見る。が、その人間のそれは彼と同じ年代であろう少女のそれだった。