第2章17話『隠された真実』
晴歌とリュゼルが合流。
巨大トロールを倒したと思ったら矢先、ダンジョンの奥から続々と巨大型のモンスターが、三人に近づいてきた。
リュゼルは前進し、どんどんとモンスターを倒していく。
「……彼って凄いのね。竜族だからかしら」ナスタが自身と晴歌の回復をしながらその様子を見ていた。
リュゼルよりも十倍も大きなモンスターが次々と倒されていく。
「私もリュゼルがこんなに強いとは思いませんでした……」
初めて会った時は、こんなに魔力が強くなかったと思う。
まだリュゼルの事を知らないんだなと少し寂しくなった。
「私あまりサーチが得意ではないんだけど、どう?ダンジョン小さくなってる?」
「そうですね……」
晴歌は右上のウィンドウを確認する。
「え……?」
破壊したダンジョン:53/ 残り:47
【状態:不安定】
学術ギルドの時は確か 19 だったはず。
一気に三十近く、壊した事になっている。
けれど、状態は不安定のまま……
なんで?今はリュゼルも来てくれてナスタさんも助けてくれているのに?
「ハルカ?」
不安になっていることは確かだ。まだダンジョンは消えていない。
ここ以外の入り口はどうなっているかも分からない。
今はこのダンジョンを壊すことだ。
「……すみません、大丈夫です。どのくらいかは分からないけど、ある程度までは引き寄せられそうです」
「リュゼルさーん 一度モンスターの流れが止まったら、こちらに戻ってきてくださーい!」
了解したというように片手をあげた。
リュゼルの無双がしばらく続く。
◇ ◇ ◇
リュゼルと交代し、引き寄せる距離を長くしてく。
人を消さないように。モンスターとダンジョンだけを壊す。
慎重に。でも確実に。
早く終わらせないといけない。
「はー、久しぶりに全力出せた」
「竜族って皆そんな感じなんですか?」
「いや、俺はちょっと複雑で…ところで貴女は?」
ナスタが小さい声で呟く。
すると、リュゼルとナスタの周りに結界が貼られた。
「……!?」
「無理やり破ろうとすると、ダンジョンに影響出てしまいます」
彼女の周りを纏う空気が変わった。
少し動くだけで肌が切れそうなピリっとした空気。
一度、どこかで感じたことのある空気だ。
晴歌は結界の外から、二人を見守ることしかできなかった。
二人は何を話しているんだろう。
私には聞かせられない話……?リュゼルの背中が、いつもより遠く感じた。
「……どういうつもりだ」
「ハルカに聞かれないように話したい内容です」
「おそらく、このダンジョンを完全に破壊したら100を超えると思います」
「その話はどこから……」
「リュゼルさんは、壊したダンジョンの数が100になると起こる事を知っていますか?」
ダンジョン……100……ハルカ……
「まさか…」
「彼女が元の世界に戻る条件です」
リュゼルは晴歌の方を振り返る。
真剣な瞳で探りながら力を使用してるようだ。
彼女には問いたいことがたくさんある。
このダンジョンになぜ、関わっているのか。
そして、手紙の最後に書いてあった一言。
「私は、彼女のことは人伝で聞いていて、数時間前に会ったのが初めてです。偶然でしたけど」
「ーー彼女の力は確かに恐ろしいものでもあるし、感情によって善にも悪にもなる」
「この世界で生きる者としては、こんな事を起こす人物には帰ってほしいところです」
リュゼルは静かに怒りを抑えた。
彼女の言い分もわかる。
けれど、晴歌は……自分の意思でそうなったわけではない。
「リュゼルさんの事も聞いています」
「え……?」
「貴方も禁書に選ばれたんですよね」
全身に雷を受けた衝撃が走った。
彼女の黒髪、彼女の纏う空気。
あの男と一緒だ。
「お前は何者だ……」
リュゼルは結界に手をかけた。破ればダンジョンが崩れる——それは分かっている。
それでも、ナスタが晴歌に危害を加えるなら、躊躇わずに破壊するつもりだった。
「私はアナスタシア・ベロゴール。人と神のハーフだけど、今は人族として生きている」
「神……《あいつ》の縁者か……」
「あいつ?ふふ。嫌われているようね」
思い出した。笑い方がそっくりだ。
「その《あいつ》が危惧しているのは、今の状況を《別の存在》が邪魔をするかもしれないということ」
「別の存在?」
「ええ。ハルカをこの世界に呼んだ者。この世界を憎んでいる」
その言葉を聞いた瞬間、晴歌の背筋が凍った。まるで、誰かに見られているような——。




