◆第9話 裏切りの影と誓装メイド潜入作戦
標的は評議員 羅虎 綾斗――ギルド監査部門トップで、精悍な容貌と公正な人格で人望を集める男。
しかし真名石の記録が示す裏契約では、彼の名が闇組織の資金窓口として刻まれていた。
羅虎邸の晩餐会に、“新たに雇われたメイド”として入り込む作戦。
深音には雷力抑制が施された黒メイドドレス、シャルトリューは執事服、俺は配膳係に変装。
胸もとに通信宝珠を隠した深音が、「動くな、と揺れる」と赤面。
タイトなエプロンが腰を締め、裾は膝上十五センチ。雷紋レースが夜光のように浮く。
宴が進む中、羅虎が禁制薬〈影蛇の血清〉を隠室で取引していることを突き止める。
シャルトリューが弓で見張りを眠らせ、深音と俺が突入。
「|正義など幻――カネこそが世界を動かす!」
羅虎は影蛇を注射し変態、黒鱗と蛇尾を持つ怪物へ。
俺は《雷禦の器》を全開、深音の《霹鎗ノ顎》が紫電を纏い一閃。
雷光と血飛沫の中、羅虎は絶叫を残して崩れた。
闇の資金ルートが断たれ、ギルド長のノアヴァランは俺たちに正式Sランクを授与した。
祝勝パーティで深音が酔い、胸元の宝珠を枕に俺の膝へ転がり込み、ラムネをこぼす。
透明な炭酸が肌を伝い、紫紋が淡く揺らいだ。
「颯人……離れるな……」
囁きと共に雷紋が脈打ち、俺はそっと彼女の手を握る。
(必ず守る。その想いに嘘はない)
だがシャルトリューは弦を撫で、「闇組織はまだ動く」と静かに告げた。