◆第6話 雷竜の逆鱗と誓いのラムネ
討伐証明として手に入れたのは、砲弾ほどの“雷竜逆鱗”。
ギルドは報酬金の代わりに「専用武器の鍛造」を提案。
向かったのは火山の鍛冶都市イグナイト。溶岩の熱風が吹き荒れる地下鍛冶場で、伝説の鍛冶師――
飛鞍 焔豹
豹の尾を彷彿とさせる三つ編み髪に火色の瞳。無骨な革エプロンから覗く引き締まった腹筋が眩しい女性鍛冶師だ。
逆鱗を溶かす高熱とスパーク。
熱さに耐えきれず深音とシャルトリューは上衣を脱いでタンクトップ姿になった。
焔豹がハンマーを振るうたび火花が飛散し、裾が焦げミニ丈になるハプニング。
「目の保養になるのかもしれんが、集中しろ、坊主」
焔豹の肘鉄が俺の脇腹に入り、悶絶。
逆鱗と深音の雷力を鍛え重ね、真紫の刃が姿を現す。
「お前と雷姫のリンク率は百パー。離れると真価を失う“一心双刃”だ」
焔豹は満足げに顎をしゃくった。
鍛冶場の片隅、溶岩光が跳ねる赤い闇で、深音がラムネ瓶を差し出す。
「――竜を斬った剣を以て、神域へ帰る道を切り拓こう」
瓶口を重ね、俺もラムネを飲み干す。
「必ず守る。雷力で焼き尽くさせない。深音、お前と一緒に――」
言い切る前に、彼女は頬を染めて視線を逸らした。
雷紋が瓶のガラス越しに小さく弾け、薄い炭酸の泡が二人の指を繋いだ。
こうして〈雷哭の苗床〉は、次なる舞踏会の護衛依頼へと歩みを進めるのだった。