◆第4話 異界ギルド登録試験―透視結界が暴くもの―
学園都市ラグリマの中央広場にそびえる冒険者ギルド《〈天響楼〉》。
シャルトリューに案内され、中世とスチームパンクが同居した様な吹き抜けの大理石ロビーへ足を踏み入れた瞬間、俺――冬月颯人は思わず口笛を漏らす。
受付嬢が差し出すのは水晶でできた試験札。
> 「登録には“個人ステータス”計測が必要です。結界内部にお立ちください」
半透明の六角柱に深音と並んで入ると、結界膜が肌を撫でた。
「透視だと?」
シャルトリューの呟き通り、天井の魔導灯が瞬き、衣服を抜いて骨格や魔力経路を映し出す“レント=サイト”。
──そこで事件は起きた。
深音の制服がバチッと破裂、静電気を纏った袖とスカートが霧状に分解された。
「っ! 透け──っ!?」
帯の下から素肌を呑むように光が走り、桃色のラインをあらわにする。
俺は慌てて両手で深音を庇い、スキル《雷禦の器》を展開した。紫電のフィルムが布地の幻を補完し、ほぼ見えなくしてくれたが――心臓は爆音。
> 【ステータス計測完了】
> 《雷姫の威光》+《雷禦の器》の共鳴を確認。
受付嬢とギルド長のノアヴァランは顔色を変え、即ちにSランク相当の“仮認定書”を発行する。
「未成年ですよ!?」と叫んでも後の祭り。
こうして俺たちは、最年少Sランク見習いパーティ〈雷哭の苗床〉として登録された。
最初の依頼は――温泉郷テルマリウムで暴走する“雷竜ヴォルトゥス”討伐。
「温泉……湯?」
深音の瞳で雷紋が弾け、俺の背筋もパシッと帯電した。