第9話
本校舎から少し離れた部室棟の階段を上がり、音楽室に着いた。ここには出店が無いのか、ちらほら出し物の準備をしている生徒がいるくらいだ。
音楽室のドアを開けると、バンドメンバーが揃っていた。キーボード兼ボーカル、ギター、ドラム、ベースの4人で全員が女子。
飛び入りの助っ人参戦とはいえど、男が混ざったらかなり目立ちそう……
ボクは軽く挨拶を交わし、怪我をした子からすぐにエレキギターを借りた。元々のカラーが見えない程の海外のバンドステッカーがたくさん貼られていて、ロック好きであるのが一目で分かる。色々と話をしたいが今はそれどころではない。ネックを握った感じは少し細くて違和感があるけど、問題なく演奏できるだろう。他のメンバーとペース合わせるのが難しいけど。
でも、どうして、こんなに覚えているんだ……
「ナギくん、大丈夫?」
バンド練習を見ていたホノカさんが聞いてくる。他のメンバーは準備の為に、体育館へ行っちゃったから、今はボクたち2人だけ。
練習中、他のメンバーから、「凄い」しか言われなかったけど、こんな助っ人でいいのかな?
あと30分で行かないと。リハーサルもしてないのに大丈夫かな。退院明けのぶっつけ本番ライブって……想像すると緊張で指が震える。
こんなのじゃ弾けない。落ち着かないと……
「手、震えてるよ」
ホノカさんがそっとボクの手を握る。温かみを感じて、落ち着きを取り戻す。
「ありがとう」
「頑張ってね。ウチ、特等席の最前列で見てるから」
余計に緊張しちゃうよ……でも、やるしかない。そう誓って自分を奮い立たせる。ボクは残った最後の最後まで練習を続けた。すると、あっという間に時間が過ぎ、壁にかかった時計を見ると、もう集合時間になっていた。
「じゃ、行こっか」
「う、うん……」
ボクはホノカさんに手を引かれ、ステージがある体育館へ向かった。




