第2話
正午を過ぎ、検査も終わってベッドでゴロゴロと退屈に過ごしていた。
ご飯は美味しくないし、眠れないし、やることもない空虚な時間だけが経過していく。今のボクは究極の暇人である。テレビを見ようかなと思っても、カードが無いから見られない。とほほ……
ふと、あの姉妹から貰った色紙とピックを手に取って眺める。
マリンさん、ボクの恋人とか言っていたけど、本当なのかな?
ドキドキする。でも、あの時のホノカさん――
「お~い! 渚、元気か?」
ドアが勢いよく開き、全然知らない少し太ったおじさんが入ってくる。
「だ、誰ですか?」
この人は、ちゃんと面会手続きをしたのかな?
「酷い! 父さん、そんなこと言われたら、泣いちゃうぞ?」
恥ずかしそうに顔を両手で隠し、シクシクと声をあげる。
「ちょっとアナタ、渚が困ってるでしょ」
メガネをかけた黒髪の女性が続いて部屋に入ってきた。ボクの母か?
「いや~スマンスマン」
「びっくりしたわよ。ホノカちゃんから、『部屋でナギくん倒れちゃった!』って泣きながら電話がかかって来たんだから」
「そうだぞ? 『救急車で運ばれた』って聞いて、今日、仕事休んで来たからな」
両親の言葉に少し動揺する。ボクにそんなことがあったのか。でも、思い出せそうにない。
「高城さん、検査の結果が出たので……」
朝と同じナースさんが部屋に入ってくる。
「先生、渚は助かるのでしょうか……」
父が不安げな表情でナースさんに尋ねる。恥ずかしいからやめて欲しいんだけど。
「あの、親御さんも一緒に聞いてもらうんですけど……」
「アナタ。早く行くわよ」
「は、はい」
父が弱弱しい返事をする。母が一瞬だけ父に向けた笑顔からは、「お前、これ以上したら分かるよな?」とでも言わんばかりの闇が垣間見えた。
その後、ボクたちは医師から検査結果を聞いて、異常は特に見当たらなかった。「記憶障害は一時的なもので、すぐに戻るだろう」と、言われた。
そして、3日後に退院することが決まった。




