第11話
「お、終わった……」
その後のアンコールも無事に成功させ、ライブは幕を閉じた。
最初はヒヤッとしたけど、意外とできるもんだな。今でも興奮が冷めず、まだドキドキしている。やり切った高揚感を胸に秘めて、ボクはバンドメンバーと音楽室に戻った。
「最っっ高! 渚君、ウチに入らない? また一緒にやりたいなぁ~」
「い、いや、それは……」
メンバーに囲まれて戸惑う。
「めっちゃ上手いし。まぁ練習でも感じてたけど。合わせるの完璧だし、すぐに譜面覚えちゃうんだもん」
全部頭から飛んだから、全く覚えてないんだよなぁ。
「それに、本番のギターソロ……マジヤバなんですけど!」
「玲子とのツインギター完成ね。玲子もそれでいいよね?」
「もちろん! あんなの見せられて、断れる訳ないじゃん! マジで武道館行けるよ! 伝説作れるって!」
「まぁ、みんな卒業しちゃうけど、大学行ってもバンドは続けるもんね」
4人が言葉の最後に「ね~」と息ぴったりに合わせる。
どんだけ仲が良いんだよ。
「でも、どうしてギターは無くて、ピックだけは持ってたの?」
ギターを貸してくれた玲子さんが聞いてくる。
ボクは右手に握ったモノを眺めて、ポケットに入れた。
「それは……お、お守りみたいなもので、持っていたので……」
恥ずかしい……お見舞いでホノカさんから貰って、大切に持っていたなんて言えない。
「ふ~ん。この後、打ち上げ来る?」
「え、遠慮しときます……その、友達を残してるんで」
「そっか~じゃあ、また今度ね。今日は、ほんっっとうにありがとう。メンバー加入の件、じっくり考えといてよね!」
「は、はい」
音楽室の扉を開けて、廊下に出る。はぁ……凄く疲れた。でも、楽しかったな。
「何考えてるの?」
「ほ、ホノカさん⁉」
開いた扉で隠れて見えなかった……びっくりした。
「また、さん付け~。ほら、早く行こ?」
ホノカさんと手を繋いで歩きだす。これじゃあ、カップルみたい……
学園祭のワイワイした雰囲気と違って、部活棟は静寂に包まれていた。
まぁ、ここでは出し物は無いから当然か。
「ライブ凄かったよ! ウチ、感動しちゃった」
「あ、ありがとう……」
最前列で目が逢った時、心臓が飛び出しそうだったけど。
「カッコよかったし……使ってくれてるの、嬉しかった」
気付いていたのか。
長い廊下をゆっくり歩いていく。
「また教えて欲しいな。あの時みたいに、ふたりきりで……」
「えっ?」
その言葉を聞いた瞬間、ボクの頭の中に、ぼんやりと記憶が戻ってくる。




