ロジーナ(五歳♂)
飼い猫ウラル(五歳♂)が獣人になった日の夜。
カリ、ボリボリ・・・
相変わらずの姿で、器を抱え手掴みで夜食のカリカリを貪るウラル。
「そろそろ寝るか・・・」
ウラルの食事シーンを堪能していた俺だが、眠気も限界に達していたので観察を途中で切り上げ寝室に戻ることにした。
「じゃウラル、飼い主寝るから食べ終わったら電気消してね。」
「わかった。」
ウラルの返事を背に寝室へと向かう。
「こ・・・これは・・・!!」
寝室のドアを開けた俺は驚愕の声を上げ、その場に立ち尽くした。
俺が見たものはベッドに入って眠る黒猫の獣人だった。
「あ、あの・・・ロジーナさん?」
俺は恐る恐る獣人に声を掛ける。
「なんですかな?」
獣人は目を開き、金色の瞳でこちらを見つめながら答えた。
間違いない。もう一匹の飼い猫ロジーナ(五歳♂)だ。
何故こんな事に・・・ありがとうございます。
「あの、寝たいんですが・・・」
疑問と感謝を同時にこなしつつ、要求を述べる。
「ええ、どうぞ。」
ロジーナは微動だにせず答えた。
「どいて?」
「空いている所へどうぞ。」
さらなる要求に対し、頑として動かない姿勢を見せる。
「・・・わかりましたよ。」
あっさり折れた俺は布団をめくると、わずかに空いたスペースに身体をねじ込んでいく。
「ああ、狭いな・・・ふわふわなウラルと違ってちょっとゴワついた感じもまた素晴らしいな。」
狭さを愚痴りつつもしっかり毛並みをレビューし、程よく暖かくなった布団の中に入り込んだ。
ギュ・・・
身体の位置がどうにか決まったところで、ロジーナが抱きついてきた。
「ああ、いけません!ロジーナさん!ありがとうございます。」
寝猫吸いが出来るという贅沢な状況に遠慮しつつも感謝する。
そして、俺はそのまま眠りに落ちた。
この流れで行くとまさか・・・