シルバースプーン【WEB】
シルバースプーン!
ここは、とある晩餐会の会場。
たらふく肉を食わせてやると誘われやって来たのたわが……?
どうもわたしの想像していたものとは、違っていたようだった……。
晩餐館では無く、晩餐会だったからである。
どうせタレや肉汁で汚して仕舞うだろうと、敢えて真っ白のTシャツに真っ青なジーンズでやって来たのだが? 何故にみな色とりどりのドレスに燕尾服何だろうな?
「あははははは……何だそれ? 焼き肉喰いに連れてってくれるんだよね? 燕尾服似合わねぇ! 聞いて無いけど? TシャツGパンで来たけど、これで大丈夫なの……?」
たとの事だった。
入り口で、こりゃ怒られるだろうと高を括っていたのだが……鼻のところが嘴になってる黒い赤影の仮面みたいなのわたされた。
彼奴の席何であんな遠く何だろう? 主賓でも無いのに長テーブルの上座に座らされ知らない仮面の奴等が笑いながら見ている?
何だこりゃ? わたしはたらふく焼き肉が食べれればそれで良いのだが。
あっ! スープが運ばれて来た!
コースなのかな? 本当にたらふく焼き肉が喰えるのか? と、疑心暗鬼になる。
奥から置かれていってるけど……コーンスープかな?
「どうぞ! お召し上がり下さいませ!」
ん? わたしの前にはちょっと深めの皿に、なみなみと濃い青紫色した液体が渦巻いていた?
シルバースプーンで御座います!
「本物のシルバースプーンなの? あんま光って無いけど?」
「本物のシルバースプーンで御座います! どうぞごゆるりとお召し上がり下さいませ!」
へぇ……なんか漫画に描いてあったよな、毒とかに変色するんだっけ? うろ覚えだが? そんなような事読んだような気がするな? 見た目は禍々しいしいけどいい匂いするよな?
シルバースプーンで壱掬い!
「すみません御不浄に……」
「あっ! わたくしも……」
と、次から次へと御不浄へと席を立ってゆくのを眺めながら……あのコーンスープヤバイのかな? 口にした人から席を立っているような? 気がするけど……? まあわたしはたらふく肉が喰えればそれで良いのだが?
ふと見るとシルバースプーンが黒く変色している? えっ? 黒かったっけ……?
「すみませ〜ん!」
タタタタタ……。
「どうかなされましたでしょうか?」
「スプーン交換してもらっても良いですか?」
「はっ! 直ぐにお取替えさせて頂きます」
「お願いします!」
「御不浄へいかせて下さいませ!」
「わたしも宜しいか?」
えっと……壱皿目で食中毒発生とか……いやいやいや……たまたまだよな。
「こちらをお使い下さいませ!」
「あっ……有り難う!」
シルバースプーンを確認してから、気を取り直して掬って見る!
真逆ね……黒く変色している……。
「あの〜……すみませ〜ん!」
タタタタタタタタタタ……。
「何かご不備でも御座いましたでしょうか?」
「あの〜……スープは良いんで! 肉持って来て貰って良いですか! ガッツリしたの!」
「少々お時間頂きけますでしょうか?」
「待つからお願いね!」
「チッ……本当に宜しいので……お召し上がりにならなくても……」
え? 今、チッとか聞こえたけど? 何?
「良いから、下げちゃって!」
「チッ……畏まりました」
何よ! チッって態度悪!
あれ? みんなトイレに行ったきり帰って来ないんだけど?
まっ! たらふく肉が喰えれば細かいことはどうでも良いかんね!
早く来い来いガツン肉!
テーブルに置かれたシルバースプーンの首が、静かにコロリとしておりました……。