92 第2の新人 1
「それじゃあこれから君たちの実力を見させてもらおうか」とキル。
この前もこんな感じだったなと思う。
「それじゃあ、草原に行ってみるっすか?」
草原に行く5人。キルはユミカとマリカは、いつもどんな感じに狩りをしているのだろうか?と思いながら彼女達にやって見てもらった。
緩やかな風が吹きマリカの茶色の髪がなびき草原を見つめる青い瞳がキラリと光る。
弓に矢をつがえ弓を引くのかと思ったが、
「獲物がいませんね?此処」とマリカ。
索敵では周りは魔物だらけだ。ズッコケるキル達。
「そこらじゅうに居るだろう!」とキル。
「まあ、まあ、まあ。初めは見えませんよ。なかなか」とエリス。
「そうだぞ。私にも見えん」とユミカ。
「ハイ。それでは移動しながら見つけて下さい。見つけたら射殺してね」とキル。
魔物の側を通り越しても気づかない時はエリスとユリアが鎌鼬で切り殺した。
「昨日マジックバッグを手に入れたから荷馬車10台分くらい収納できるらしいぞ。取った獲物は入れておくから俺にくれ」
「やった。それじゃあ取り放題っすね」
「凄いものを買いましたね?高かったでしょう?」「うん。うん」
「2億カーネルだった。運が良かったよ」
2億と聞いて目が飛び出しそうになるマリカとユミカ。
「良く売ってましたね。幻のマジックバッグ」「うん。うん」
横で聞いていたマリカとユミカは感心するのがそっちかよとツッコミをいれたくなる。
「何処で売ってたっすか?」
「商業ギルド。 魔石を見に行ったら有るけど欲しいか?と聞かれた」
「いつも高い魔石買ってるからっすね!」
「たぶんそうだな」
「そうですよ。普通は教えてくれませんよ。買えないし」「うん。うん」
マリカがコッコキーを見つけて弓を引いた。
4人は黙ってマリカを見つめる。
マリカの放った矢はコッコキーの右に外れてコッコキーが逃げ出す。
ケーナが逃げるコッコキーをすぐさま射殺ろした。
「外れちゃった〜。あ〜ん」とマリカ。
「次ユミカ、やって見て」とキル。
「承知!」とユミカが先頭を歩き出す。
左右の草むらの魔物はエリスとユリアが狩りながら歩いて行く。
ユミカが一角ウサギを見つけて矢を射掛けたがやはり外してしまう。
「うーーん。無念」とユミカ。
またケーナが逃げる一角ウサギをすかさず射殺した。
暫く交互に狩りをしてもらい外し続けた末にやっとユミカが一角ウサギを射殺した。
「やったぞ。マリカ!次はマリカの番だ」とユミカがマリカを励ました。
その間にケーナ達3人で70匹くらいは狩っていた。昼まで続けその後2人は何も射殺せなかった。3人は115匹を狩ってマジックバッグに収納している。
「食事にしよう。マリカとユミカは獲物を捌いて焼いてくれるか?」
「ハイ!」「承知!」2人はキルからコッコキーを5羽渡されて解体を始める。
その手際を見詰める3人。
「私達も初めはああでしたね」「うん。うん」
「暫く2人にやってもらって慣れてもらおうかな、ケーナ、手本を見せてやってくれないか」とキル。
「良いっすよ。2人とも自分がやるのを良くみるっすよ。ココから刃を入れて、こう。そしてこう」ケーナがやって見せる。流石に手際がいい。2人は魔法を見るような目でケーナの手元を見つめた。
コッコキーが焼けて皆んなが食べながら話をし出した。
「ハッキリ言っちゃうと弓にこだわる必要はないかもしれないな。特にユミカはギフトが拳闘士なんだしそっちで身を立てた方が良いと思うぜ」とキル。
「やはりそうであったか。残念」とユミカ。
「2人は弓使いに憧れでも有るのかい?」とキル。
「そう言うわけではなく、ただ近接戦闘が怖かったので〜」とマリカ。
「私はマリカに合わせたのだ」とユミカ。ガタイも良いしギフトも拳闘士なら拳闘士にするのが当然なのに?と思うキル。
「ユミカはギフトが拳闘士なんだし、拳闘士として冒険者をした方が良いと思う。変えよう。ユミカはそれで良いか?」とキルがユミカに聞いた。
「私は特には構わないが、その方が良いのか?」とユミカ。
「強くなりたいのなら絶対にその方が良い」とキル。
「なら構わないぞ。私は気に食わない奴は殴ってきたからな。殴る蹴るは得意だぞ」
ユミカは身体も大きい。パワーは有りそうだ。
おっかね〜〜と思うキル。
「それとマリカは、どのジョブで戦いたい?後衛職なら弓使いか魔術師か聖職師か?
変わったところではモンスターテイマー、とか召喚師とか?」
「どのジョブで戦いたい?かってどう言うことですか?」とマリカ。
「俺がスクロールで2つ目のギフトを与えてやるって言ってるんだよ。戦闘職のジョブを1つ100万カーネルのジョブスクロールを使ってな」とキル。
「アーツや魔法もスキルスクロールでできるようになるっすよ」とケーナ。
ユミカとマリカは驚いて信じられないと言う顔だ。
「アーツや魔法もできるようになる!スキルスクロールで……なら魔術師でなくても魔法を使える?」とマリカ。
「私も魔法を使えるようにしてもらいましたよ。キルさんのスクロールで」「うん。うん」とエリスとユリア。
「それは凄いな。にわかには信じられんぞ」とユミカ。
「いや。俺が作ったもの以外にも昔からジョブスクロールはあると思うぞ。高くて珍しいから金持ちや貴族以外は知らない人も多いだけだ」とキル。
「そうだったんだ」とマリカとユミカが納得した。




