表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
累計1000万PV突破!  「10/2書籍発売 コミカライズ決定」 異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/395

7 ソロ冒険者の生活 3


今日は朝から開墾の手伝いだ。


新しい農地を作るためには森の木を切り倒し、その後で残った木の根を掘り起こして取り除く。そして土だけになったところの小石などを取り除き水路を整備して農地にするのだ。


開拓の手伝いの仕事といっても色々な部署がある。


キルの仕事は木の根を掘り起こして取り除く作業だ。


実はこれが1番力のいる部署で特に木の根を取り除く仕事は力がないとできやしない。


1人で引っこ抜ける木の根はマシな方で、ロープをかけて数人がかりで引かねば取れない木の根が殆どだ。


そう言うわけでハードすぎるこの仕事も人気がなく時給も割と高い。


昼飯付きで午前3時間、午後3時間の6時間で10000カーネル貰える。


もっとも6時間もこの作業をすればへとへとになってしまうのだが。


仕事の後は服も泥だらけになってしまうので此処でもクリーンの魔法が使えるとありがたい。


開拓の現場に魔物が出るのは森の木を切り倒している部署が多く、一面が見渡せるようになっている木の根除去の部署には魔物は現れにくいものだ。


なので警備の仕事があるのは木の伐採現場の方だ。


警備の仕事の方が楽なために時給も安い、1日8時間で7000カーネル。


清掃作業より手取りが少ないが暇で楽なために人気は高く早い者勝ちの仕事だ。


キルは厳しくても金になる仕事をしているというわけだ。


朝から木の根と格闘し昼休みにはみんなで昼飯を食べる。


大きな鍋で煮込まれたスープと大きめのパン。


もちろんパンはカッチカチの硬いパンだ。


高級な柔らかいパンなど庶民の口には入らないのだ。


スープで柔らかくしながら食べる硬いパンはそれなりに美味しい。


昼飯がついているのは地味にありがたい事なのだった。


昼飯を食べながら世間話をするのも気晴らしになる。


「兄ちゃん、若いのにこの仕事をするとは渋いね!若いもんは、あんまりやりたがらねーのになあ」


「ハハ、キツイけれど金にはなりますからね」苦笑しながらキルは答えた。


何もやりたくてやっているわけではない。


パーティーが組めれば討伐任務も安全にこなせるノウハウを少しは身に付けてきたつもりではあった。


「金に困ってるのか?兄ちゃん。大変だなあ、若いのになあ、借金か?」


「イエ、買いたい物が有るんですよ」


「へ〜、それはそれは、何がそんなに欲しいんだい?

言えない物なら言わないでもいいんだけどな、よかったら教えてくれよ」


「別に教えても構わないですよ。スキルスクロールです。まずはクリーンのスキルスクロール」


キルは何の気無しにスキルスクロールのはなしをはじめた。


「へ〜、それはそんなに良いものなのかい?」


「ええ。クリーンの魔法が使えるようになるんですよ。

そうすれば魔法1発でどんな汚れも新品のように綺麗になるんです。

今泥だらけじゃないですか、この状態が1発できれいになるということですよ。良いでしょう?」


「良いねえ!魔法てのはすごいもんだなあ。

生活魔法にそう言うやつがあるってのは聞いたことがあるよ。

そのスクロールってヤツを使うとその魔法が使えるようになるってのかい?」


労働者のオッサンがワクワク顔で聞き返す。


「そう言う事です」


キルが答えると「いったいいくらなんだい?そのスクロール」と親父は食い気味に聞いてきた。


「えーと、確か〜、80000カーネルするんですが、俺は安く手に入るつてがあるんです」


まさか半額とは言えないのでキルは言葉を濁す。


「80000カーネルか〜、そりゃ高価すぎるわ」


食い気味みの親父がいっきに引き気味になった。

そりゃそうかもしれない。


「でも何だなあ?その魔法、1回500カーネルでかけてくれるならかけて欲しいよなあ。

うーん、此処の奴らにその魔法をかけてやる商売をしたらかなりボロ儲けかもしれねーな。

80000カーネルてことは160回か?」考え込むオヤジ。


オヤジ計算がはえーな、人は見かけによらないとはこのことだな。

てか計算ができるってこの世界ではかなりのインテリだぞ。


「もうちょっと安ければなあ〜」

オヤジの結論は高過ぎるということで落ち着いたようである。

チョット残念そうにするキルであった。


「さて午後の部の始まりだあ......」

みんながわらわらと仕事を始めるために歩き始めた。

午後も午前と同じく木の根と格闘を始める。力と力の勝負だ。


「そーれ!......そーれ!」


掛け声と共に全力で綱を引く。


そして3時間が経ち1日の仕事が終わった。


キルはもうクタクタだ。


この仕事をちょくちょくやっているオヤジ達は余裕のようだったが。


労働時間が短い為、街に帰るのも早い。


体力に余裕があればもう一仕事しても良いのだがキルには無理だった。


キルはおとなしく街に帰るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ