表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

377/395

377ゼペック師匠と新しい弟子? 2

 ルビーノガルツ冒険者ギルド。


 多少出遅れたせいでギルドの中の冒険者は比較的少ないが、まだ掲示板で依頼を探しているパーティーもいた。


 上手い具合に一緒に依頼を受けてくれるパーティーがいれば良いのだがと思いながら、掲示板の依頼を確認する。


「ゼペックさん、こんにちは! 今から依頼を受けるんですか?」


 声をかけてきたのはこの前買い物の時にあった緑髪ロングの剣士ドロンと茶髪ショートの拳闘士風大女キルケだった。

 

「おお! ドロンさんにキルケさん。よく会うのお」


「ゼペックさんがきたら良いなーて思ってたんです」


 ドロンは営業マンのような笑顔を向ける。


「一緒に受けたい依頼があるんだぜ! 良いタイミングで来てくれたよな」


 ゼペック爺さんが嬉しそうに眉毛を下げる。この二人とは気が合うのだろうか?


「どれどれ、どの依頼じゃ?」


「これなんですけど」


 ドロンが依頼の紙を外してゼペック爺さんに渡す。ゼペック爺さんはそれをキルに見せた。


『ライガーの毛皮五枚 二十万カーネル』と依頼書には書いてある。


「依頼の内容は悪くないですが、どうせなら五匹といわず、たくさん狩って素材として買い取ってもらったほうが効率が良いですね。狩れるだけ狩ってきた方が良いですよ」


 キルが依頼を確認した後でたくさん狩ろうと提案する。


「相手はライガーよ。さすがはキル君ね。言うことが信じられないわ」


 ドロンが嬉しそうに驚く。


「あのー、本当にライガーを狩に行くんですか?」


 不安そうに顔色を曇らせたシキが話に加わる。ドロンとキルケがこいつは誰だとシキを睨んだ。


「これはシキという。今日は一緒に依頼をするんでよろしくのう」


「この子、ゼペックさんのとこの新人ですか?」


「違うぞい。ワシの弟子になりたくて押しかけてきおったアホじゃ」


 ゼペック爺さんが悪そうに口の端をあげて微笑む。


「ふーん。キルケだ。よろしくシキ」


「ドロンです。よろしく」


「シキです」


 シキは気おされたように神妙に応じた。


「ライガーと戦ったことはないのか?」


 キルケが上から目線でシキに問うとシキは恥ずかしそうに俯く。


「はい……二年目のEランクなもので……」


ドロンとキルケがお互い視線を合わせてニヤリと笑った。


「じゃ、お姉さんが一緒に戦ってやるか!」


「大丈夫よ。ゼペックさんもいるしね。実は私達もライガー一匹とは戦ったことはあるけど、群れとは戦ったことはないの」


 シキは、ドロンの言葉に驚いて目を見張る。


「ないんですか!!」


(ダメじゃん! 頼りになるのゼペックさんとキルさんだけ……)


 シキがゼペック爺さんを見ると、ゼペック爺さんはニッコリと笑う。


 ライガーは基本家族単位の群れで行動する。一匹で行動するのは子供が親の群れから巣立って自分の群れを作るまでの短い期間だけである。


 つまりドロンとキルケが倒したというライガーは成人したての若いライガーの可能性が高いということだ。


「そ、そ、その時って、二人で一匹のライガーを倒したんですか?」


 ドロンとキルケが頷く。


「今度も一匹のライガーを探すんですよね?」


「そう思ってたんだけど〜、ゼペックさんがいるなら一匹以外は任せて大丈夫よ〜」


「そうだぞ! ゼペックさんは強いからな」


 ドロンとキルケがニッコリと笑う。シキがもう一度ゼペック爺さんの方を見ると、ゼペック爺さんは口を大きく開けて白い歯を光らせながらニッコリ笑う。後ろでキルが微笑んでいる。


(大丈夫なのかな……)


 シキはゼペック爺さんと一緒に依頼をしたことがないのでその強さを直接目にしたことはない。ゼペック爺さんの強さを計り知ることができないのだ。草原の王ライガーの群れを相手にゼペックさんだけで大丈夫なのか不安になる。


(きっと大丈夫なんだよね……神級冒険者のキルさんもいるし)


 安心できないまでも、理屈で大丈夫に違いないと判断する。


「あの、それで……俺達三人でライガー一匹を相手にすれば良いんですか? 残りはゼペックさんとキルさんで?」


「良いですよね? ゼペックさん。私達だけなら一匹でいるライガーを探そうと思ってたんですけど……」


 ドロンの問いにゼペックが応える。


「ワシとキルさんに任せておけば大丈夫じゃぞい」


 キル一人でライガーの群れなど瞬殺できるが、キルはバックアップに終始するつもりだ。


「任せてください」


「そ、そ、それじゃあよろしくお願いします」


 どうやらゼペックさんとキルに任せておけば大丈夫なようだが、問題はシキとライガーが戦うということ。実はシキの本当に心配なのはそこのところである。


「あたしらこう見えて最近結構強くなったんだぜ! 特にドロンがよ。だからあんたは怪我しない程度に攻撃してれば良いぜ!」


 不安げなシキの方をキルケが叩いて太鼓判を押した。


「それでは依頼を受けて来ますね」


 ドロンが手続をしに行き、そして全員で荷馬車に乗り草原を目指した。












八月一日より新作アップ予定です。


『お宝探し、しませんか?』 ダメダメおっさんが、超絶美少女と仲良くなっても良いじゃないか。俺ってそこはかとなく良い男かもしれません


よろしくお願いします。


ブクマ、星の評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ