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異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


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358 情報収集 1

 ホームに戻った四人は結果を報告した。


「商業ギルドのマスター・トーシカさんに会うことができたよ。それから今後も話が聞けそうだ。結局クリスが聞いてきたこととさして変わりはなかったが、詳しく知るならできるだけ国境付近に行く必要がある。とりあえず皆んなはここで自由行動でいいと思う。あとは何人かが北にいって調べてくるかどうかだね」


 グラがざっくりと説明をする。


「俺がちょっと行って調べてこようと思う。三日もあれば余裕で戻れるだろう。いいよね」


「キル先輩だけでっすか? 自分も一緒に行っても良いっすよ」


 キルの提案にケーナが参加を表明すると、モレノも身を乗り出す。


「私も行きたい」


 隣でルキアも手を上げる。一緒に行きたいということらしい。


 他の少女達も手を上げた。


「イヤイヤ、そんな大人数では目立ちすぎるだろう。君達はここで待っててくれ」


 キルが困ったように掌を開いてストップをかける。


「大人数では動きにくいじゃろう。せいぜい四人、できれば二人が望ましいな」


 ロムが胸で組んだ両腕をほどいて四本指を見せてからそれを二本に変える。


「二人がベストだね」


 ロムの意見を受けてグラが少女達を見回す。


 キルは自分のサポートをしてもらうのに頼りになるのはやはりロムかなと思った。


 ロムなら自分が聴き逃したことを話題にして情報を聞き出してくれそうだ。今のやり取りでもナイスなサポートぶりを発揮している。


「俺的には、グラさんにはみんなを任せたいし、ロムさんが一緒にいてくれると頼りになるなーと」


 ホドを薦めたグラは、一瞬意表を突かれたようにフリーズしたがすぐにキルの意見を肯定する。


「確かに、ロムが付いて行けば万全だな。僕も二人に任せたいよ」


「わしはかまわんぞ」


「女の子は誰かだけ連れて行くっていうのも不公平ってことになるわよね〜」


 サキが少女達を見回しながら微笑む。


 モレノとルキアが顔を見合わせ、ユミカが頷き、クリスとケーナは心配そうに表情を曇らせる。


「ホドも、つけたら?」


 クリスとケーナの表情を見逃さないサキがホドをオマケのようにつけると言った。


 エリスがちらりとほどに視線を送る。ホドもその視線に視線を返し、僅かだが笑うように口の端が動いた。


「いいわよね。ホド」


「…………」


 サキの声にホドが無言で頷く。


「ホドもついていってくれるとより安心だな。人数的にも三人は良い感じだ」


「ロムさん、ホドさん、よろしくお願いします」


「うむ」


「……」


 ロムとホドが頼もしく頷いた。


「三日で戻ってくるんですよね?」


 エリスが心配そうに確認するl


「そうじゃな。余裕を見て七日の内には戻ると思ってくれ」


 ロムの返事に暗い顔をするエリス。ユリアが慰めるようにエリスの肩を抱いて、覗き込んだ。


「出発は明日でいいね?」


 グラの言葉に三人が頷いた。


「食事の後、三人で明日からの相談をしよう。キルの部屋でいいか?」


「はい。大丈夫です」


「……」


 話し合いは済んで、晩ご飯になる。全員がホールから食堂に移動した。


「今日は、モーモウ肉の冷しゃぶと温野菜です。どうぞ召し上がれ」


 クッキーが腕を振るった食事は外では食べられない美味しさだ。ホームに戻って以来、その味なしの生活は、考えられない。


「薄く切られたモーモウ肉にあっさりとしたこのタレがなんとも言えないねえ」


 グラがクッキーの料理を絶賛する。


「よくこれだけ薄くきれるものじゃな!」


「いえ、道具も良いですから」


 クッキーの使っている包丁はミスリル製だ。調理道具も最高級の物を使っている。


弘法筆を選ばずというがやはり道具は良い方が良い調理ができるというものだ。


 調味料も多種多様のものが揃っており微妙に隠し味として使用されている。


「この味はどうやって出しているの?」


 エリスが興味深そうに味わいながらクッキーを見つめる。


「ベースは、ダコーニの摺り下ろしたものに醤油という東方のソースと、酢です。それに幾多の調味料を加えています」


 クッキーが恥ずかしそうに微笑む。


「私も作れるようになりたいから教えてね。手伝うから」「うん、うん」


 エリスがクッキーと一緒に調理場に立つようだ。もちろんユリアも一緒に調理をするのだろう。後で調理師のジョブスクロールを渡しておこう。どうせなら全員に渡しておくか。


 食事を終えてキルの部屋に集まった三人は、明日の予定を考えるために国境付近の地図を広げる。


「うーむ。ここがアムテルでその東がチューリンじゃ。アムテルはキル君がスタインブルク軍から救った都市、領主は君のことを覚えているのではないかな」


「なら良いのですが。アムテルの西がダミアですね」


 三人は北の国境沿いの城塞都市を確認した。


「北方民族は北東部族と北部族が二大勢力じゃ。統一の動きを知るにはできるだけ北東の国境で情報を得るほうが良いと思うが、どうじゃ?」


「…………」


 ロムの言葉にホドが頷く。


「では、まずチューリンの冒険者ギルドと商業ギルドで情報を集めましょう」


「そうじゃな」


 明日の予定が決まった。





 

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