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異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


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308/395

308 城塞都市ザロメニア 3

「しゅっぱあつ!」


ヘヴンズの掛け声とともに二万のヘヴンズ軍が動き出した。城塞都市ザロメニアの西門が開かれ、西に向けて行軍の開始である。獣人軍との予想接敵時間は45分後だ。30分後に陣を敷く予定である。


一面の大平原に隠れるところはない。隠れたところから奇襲を仕掛けると言うことはできない地形である。正々堂々道を中心に対峙することになるだろう。


予定通り獣人軍を待ち受けるようにヘヴンズは横に広い鶴翼の陣を敷いた。ヘヴンズ自身は鶴翼の陣中央後方に控えている。前方に獣人軍の先鋒部隊が見え出した。数に勝るヘヴンズ軍は、獣人軍を包み込んで殲滅する作戦である。


勿論獣人軍の攻撃を受け止める中央部は兵の厚みを増した変形の鶴翼の陣だ。此処を獣人軍に突き破られれば囲みから逃げられてしまうし、陣形も崩れさってしまうのだ。


獣人軍が鶴翼の陣を突き破るためには魚鱗の陣や鋒矢の陣などのような突破力の強い陣形が有利なので、通常ならこの二つのどちらかの陣形を取ることが想定された。


また援軍が来るのを待つにならば防御力に特化した円形陣なども考えられる。円形陣は後ろから攻められることのないように固まって背中を見せないように円形になる陣形だ。

包み込まれて攻撃されても全方向に前を向いた兵がいるため前後から攻められるという事がない。その為防御力は強い。


この陣形の弱点は、防御力は強いが突破力、移動力はないためずっと囲まれ攻められ続ける為、戦力次第ではジリ貧になってしまう。倍する兵数を要するヘヴンズ軍相手に獣人軍が取るとは思えない陣形かもしれない。


ただ半分の兵しかいない獣人軍の個の攻撃力が強くて逆に守りながら敵を消耗させ尽くすことも考えられないこともないかもしれない。とはいえ、基本は援軍到着までの時間稼ぎなどに使われることが多い陣形だ。或いは周りから囲み込まれて自然にこのような陣形になってしまい殲滅される例は多い。


ザロメニアを目指して進軍して来た獣人軍は前方にヘヴンズ軍が鶴翼の陣形で布陣済みなのを見つけた。


「おやおや、人間どもがいつものように陣を敷いているぞ!バカな奴らだ」


ヘプタグラムズの一人、この軍の将軍ピートキャストがバカにするように笑った。

ヘプタグラムとは星7能力者を意味する。星8能力者はオクタグラムと呼ばれる。

獣人軍には複数の星7能力者がいる為、彼らを総称してヘプタグラムズと呼ぶのであった。

ちなみに星6能力者はヘキサグラムである。


「数を頼りに囲み込もうなどと、なぜいつも同じ事をするのかね?笑えるな!」

ピートキャストの副官、ヘキサグラムのジョンソリッドが言った。


「まったくだ。学習能力が全くないな、奴らは」

同じく副官、ヘキサグラムのマイクボンドも蔑みの言葉を放った。


獣人軍の先鋒部隊の将軍ビートキャスト、副官ジョンソリッドとマイクボンドは身の丈2mにもなる大男だ。皆、虎の様な黄色に黒の縞模様の頭髪をして虎耳(猫耳)と尻尾を持っている。この獣人軍の主要な種族は虎族の獣人である。


「右をジョン、左をマイク、いつもの様に鶴翼に鶴翼をぶつけるぞ! 此処で陣を敷いたらゆっくり進む」


ピートキャストの指示に従って獣人軍は鶴翼の陣を敷き出した。陣の幅はヘヴンズ軍の幅に揃えてある。当然兵数が半分な為、ヘヴンズ軍よりも薄く広く並んで鶴翼を広げている。


獣人軍は、陣立が済むとジリジリと前進を始めた。


両軍はザロメニア近くの大平原で真っ向からぶつかりあった。一万対二万の正面衝突、横に広がった軍同士の戦い。だが軍の厚みには違いがあった。普通なら軍の厚みの厚い方が強いはずだが兵士の個としての強さがその厚み(兵士の数)を跳ね返した。両軍はがっぷりよつに組み合って戦いが始まったのだ。



その頃城塞都市ザロメニアにロマリア王国軍の第二軍の盾王ビッグベン、第三軍の弓聖リンメイが到着していた。そしてその後に第四軍が続いている。


到着した盾王ビッグベンに挨拶するザロメニア侯爵ペロロバンとキョクアによって現状が伝えられた。


「ヘヴンズ様の軍は此処より西の平原で獣人軍一万を迎え撃っております。このまま前進してヘヴンズ様の援軍に向かわれますか?」


「ヘヴンズの軍は二万だ。まさか破れることはなかろうがこのまま後詰に向かう。第三軍のリンメイにも状況を伝えてくれ。で、獣人軍は全軍ではどのくらいの数の登るのだ?」


「総数は10万程度に上るかと思われます。ですがこれは兵士の家族なども含まれます。戦えない者も一万ほどはいるかと推測致します」


「そうかわかった。そいつらに遅れぬ様に合流せねばならぬな。我々は急ぎ戦場に向かう。後を頼む」


盾王ビッグベンの軍は城塞都市に入ることもなく前進を開始した。続く弓王リンメイ軍もビッグベン軍に倣って前進した。そしてその後に続く第四軍第五軍も全戦に向かうことになりそうだとキョクアは思うのだった。




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