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305 キル、話を聞いて考えを変える。2

キルの発言に『15の光』のメンバー達はキルを見つめた。

沈黙の時間が過ぎて行く。


口を開いたのはクリスだった。

「突然何を言い出すのですか? キルさん。緑山泊に行ってジルベルト様に話を聞こうということになっていたではありませんか?」


「そうっすよ! どうしてここに来て予定を変えるっすか?」

ケーナもキルに異をとなえる。


「みんな、ロマリア王国が負けると思っているんだろう。みんながそう思っているんだから多分それは正しい分析なんだと思うんだ。だとすると次に待っているのはベルゲン王国と獣人軍の戦争じゃないか。俺はそれを避ける為にロマリア王国に勝ってもらわないと困るんだ」

キルは自分の考えを口にした。キルが自分の考えを口にするのも、自分の考えで行動しようとするのも珍しい事だ。キルは先頭に立って何かするタイプの人間ではない。だが、今は獣人軍の侵攻をここで止めなくてはいけないと本能的に感じていた。


「キル君の考えも分からなくはないいよ」

グラがキルの質問に答え出す。

「でも、その答えを得る為にジルベルトさんにシミュレーションで予想してもらうのが間違いないと、みんなで結論を出したんじゃないか」


「そうなんですけど……でも、タイミング的にロマリア王国軍が大きな損害を出す前に参戦した方が良いんじゃないかな。遅れちゃいけない気がするんです。なんとなく」


「なるほどね、キル君の言うこともよく分かるよ。確かにロマリア王国軍がなくなってしまっては、獣人軍を自分達だけで相手にしなくてはならないからね。できるだけロマリア王国軍が健在のうちに共同戦線を張った方が安全だとは思う」


「そうじゃな、その考えは分からんでも無い。時間稼ぎのためにキル君だけでも別行動を取るか?」

ロムもキルの考えに理解をしめした。だがジルベルトの意見なしという考えはないようだ。


「なら、わたしも獣人と戦いたいであるな」

「しかた〜ない〜わね。ユミカが行く〜なら、わたし〜も〜、行かなきゃ〜ね」


少女達がキルについて行きたいという雰囲気を醸し出した。

グラが少し困ったように少女達を見てからサキに視線を向けた。


「しょうがないわね、この際緑山泊に使いでも出して、みんなで獣人軍と戦いましょうか?」

「じゃな」

「・・・」


キルもまさか全員がつてくる事は想定していなかったので当惑の表情を浮かべる。

「誰かジルベルトさんのシミュレーションを聞いてこないで良いのかな?」


「戦うと決めたなら戦力の分散投入は愚かな事じゃぞ。どうせ戦うなら全員で向かおう」

「僕もロムと同じ意見さ。戦うと決めたら全員で戦おう。緑山泊の方々には彼らの考えが有るだろうさ。それに連絡だけしておけば、判断材料にもなるだろうしね」


「わかりました。みんなそれで良いのかな?」

キルがみんなの顔を見回した。


「良いですわよ」

「良いっすよ」

「一緒に戦います」「うん。うん」


ルキアもモレノも頷いた。


「キル君のいう通りかもしれないな。この際獣人軍を倒すのにロマリア王国軍を利用させてもらおう。ベルゲン王国の民を戦争に巻き込まないように」

グラが言った。


「そう。それを言いたかったんですよ。ベルゲン王国は戦争続きですし、民も疲れ果てているでしょう。それに獣人軍に征服されたところでは人が皆殺しにされているか、生かされているのは奴隷にされている人だけなんて許せないですし…」


「そうらしいわね、奴隷も死ぬまで働かせて使い潰されているそうよ。信じられないわ。獣人軍の通った後の人族は全て滅ぼされているとか」

サキも腹立たしそうに言った。


「奴らは人間じゃないからね。人間は殺すものと思っているのさ。だからこちらも容赦はいらないよ。それから奴らは基本人族より身体能力に優れている。人族が星1〜2がほとんどだとすると奴らは星2〜3くらいの身体能力を持っているものが多いんだ。MPと知力は人族にかなり劣るけれどもね」


グラの説明にキルは驚いて言った。

「それでは人族は勝てないのではありませんか?」


ロムがグラの説明を補足する。

「それだけじゃあないんじゃ、奴らには星8の奴がいたと言われている。定かではないがな」

「星8ですか?」

「そう、星8じゃ。今回の獣人軍に星8がいるかは分からぬがな」

「でも奴らは魔法はあまり得意ではないのよ。そこに人族の強みがあると思うのよ」

サラが割って入って得意げに言った。


「なるほど、遠距離から魔法攻撃で敵を削ることが大事ですね。でも星8相手は苦しいかもしれない」

キルは星8がいたら自分が相手をするしかないだろうと思った。

それにしても星8は反則じゃないだろうか?キルは今回の獣人軍に星8がいない事を祈ろうと思った。



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