表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
累計1000万PV突破!  「10/2書籍発売 コミカライズ決定」 異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

229/395

229 手紙

「キル君に手紙だそうだよ」


幹部達の前でソンタクに呼び止められるキルだった。


ゾルタンが手紙をキルに差し出した。


「ありがとうございます」

キルは手紙を受け取って目を通した。

キルは手紙を見るなり頭をひねった。


「うーむ、これはなんなのかな?」

それはキルの母親からの手紙だった。

キルは母から手紙を受け取るのは初めてだ。


「良かったら、読んでくれるかい?」

ソンタクが言った。

その手紙が何を意味しているのか、一緒に考えようというのだ。


「はい」

キルは読み始める。

「キル、元気にしているかい?母さんは元気にしているよ。今はベルゲンの王様にとても良くしてもらっているんだ。小さいながらも綺麗な家を頂いて食べるに困らないお金も頂いている。ベルゲンの王様は本当に良い人だよ。王様はキルに助けてもらいたい事があるそうだ。どうか母さんに会いに来ておくれ。愛するキルへ。」


キルは手紙を読み終えて顔を上げた。


ジルベルトが笑いを堪えている。

「見え透いた手を使う」


キルは何が起きているのかよく分からずに困惑していた。

「どういう事でしょう?」


「君のお母様は今のところ王の手元で良い暮らしはできているようだね、今のところはね!」とジルベルト。


「人質みたいなものでしょうか?」ゾルタンがジルベルトを見る。

ジルベルトが頷いた。


キルには2人のやり取りが何を言っているのかまだ分からなかった。


グラがキルの耳元で囁く。

「君が行ってスクロールを作らないとお母様がどうなるかわからないという事だろう、もちろん行ったらずっと奴隷のようにスクロールを作らされ続けるんじゃないかな」


サキも呟く。

「えぐいわね、あまり長い間キルが行かなければ王はこの作戦を諦めてお母様を処分しかねない」


そういうことか……キルはやっと事態の全貌を把握した。

人質……確かに人質を取られたんだ。

キルが緑山泊にいる事がわかってこの作戦を仕掛けてきたに違いない。


「どうすれば良いのでしょう?」

キルはグラを見てそしてゾルタンに目線を移した。


「父さんはどうなっているのでしょうか?」

もう一つの疑問、父さんのことが書かれていないのはどういう事なのかを口にする。


ゾルタンが言いづらそうに答える。

「お父上はおそらくお亡くなりになっている可能性が高いのではありませんか?生きていれば『父さんと母さん』と書いてくるはずですからね」


キルは肩を落として俯いた。


「とにかくキル君のお母様をなんとかしなければなりませんね」

ゾルタンが皆んなを見回した。


緑山泊の皆んなが頷いた。


「まずは現状の把握をしなければなりません。お母様がどこでどのような状態で生活しているのかを調べましょう。クリープ!頼んで良いか?」

ジルベルトがクリープを見る。


「お任せを!」

クリープはそう言うと姿を消した。

調査に向かったのだ。


「基本的にやることはお母様の奪還です。キル君はそれで良いですか?」

ジルベルトがキルを見つめた。


キルは黙って考え込んだ。


「俺が……王国に出頭すれば平穏に事が済むのでしょうか?」



「悪いケースを想定すると、お母様は用済みになった時に処分されると言う事になるでしょうね。勿論平穏に済むこともあるでしょうが」

ジルベルトは顎を手で触りながら答えた。


「で、シミュレーションではどうなのですか?」とゾルタン。


「悪い方です。」


「まあ、あの王ではそうだろうな。」バックドカンが納得する。

彼は元ベルゲン王国軍軍人だ。


「奪還作戦で決まりだな!」

ドラゴンロードがキルを見た。


「そのようですね……わかりました。それでいきましょう。お願いします」

キルが頭を下げた。


「作戦は少数精鋭で気づかれないように入り込んで助けてくるのが基本でしょう。

キル君は決まりとして後誰についていってもらおうかな?」


ドラゴンロードが手を上げる「俺にやらせてくれ」


「お前はダメだな、騒ぎが大きくなる。気づかれずに入り込むんだぞ、お前には向かんよ」ジルベルトがダメだと言った。


「まずは王都ベルゲンベルグ近郊の秘密のアジトに移動してクリープの連絡を待とう。そうだなこの作戦に参加してもらうのは俺とウェンツ、ヤンゴン、トクダゼ三兄弟」

ジルベルトの人選にウェンツ、ヤンゴン、トクダゼ三兄弟が頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ