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累計1000万PV突破!  「10/2書籍発売 コミカライズ決定」 異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


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200/395

200 戦いの後で

朝日を背にして野営地に戻るキル。

まだ警戒の当番のもの以外のみんなは寝ているだろう。


キルの気配に気がついた当番のロムが眩しそうにキルの方を見て目をしかめる。


「あれはキルじゃな。何かあったのか?」


「あ、キルさん」


「確かにキル先輩っすね」


当番のクリスとケーナも立ち上がってキルが帰ってきたのを確認した。


地に降り立ちゆっくりと歩き出すキル。

その背中から朝日が照らす。


「キルさんーん!!」クリスが叫んで右手を上げて振る。


「キルセンパーイ!!」ケーナも叫ぶ。


ロムは無言でキルの歩みを見つめていた。


キルはクリス達に手を上げて答えた。




歩いてくるキルを待ちきれずにクリスとケーナがキルに駆け寄る。


「キルさん、よくご無事で」

「キル先輩、黒蜘蛛党は見つからなかったんすか?にしては帰りが早いっすね」


キルが満面の笑顔で答える。

「喜んで。黒蜘蛛党は退治したよ」


「「やった!!」」

クリスとケーナがキルに抱きつく。


クリスが顔を赤くして抱きつくのをやめ恥じらった。


「これで何の心配もないっすね」

ケーナは元気にはしゃぎだす。


ロムがキルの肩を叩く。

「よくやったな、キル。こんなに早く黒蜘蛛党を全滅させるなんて大した奴じゃ」


「キル先輩がぜーんぶ倒しちゃったっすか?」

ケーナがキルの顔を小首を傾げながら見上げる。


「まあな」

キルもケーナとクリスとの距離の近さに赤面した。


「5対1で戦ったんですの?」

クリスもキルに近接している。


「そういう事だな」

「「すっごーい!!」」

クリスとケーナが手を取り合って飛び跳ねた。

2人の良い匂いがキルの鼻をくすぐる。


この子達を守れてよかった……と思うキルだった。


他の少女達も次々と起きてきて、キルの活躍を聞くと飛び跳ねて喜んだ。


これでベルゲン王国からの追手の心配も無くなった。

安心してロマリア王国を旅することができそうだ。


暗殺者に付け狙われている状態では憂鬱だったがその心配がなくなって気分も晴々だ。

これからはゆっくりと旅を楽しむことができるだろう。



キル達はドグリの街までフライで飛びそこで馬車用の馬を調達した。


「良さそうな馬が手に入ってよかったな」

グラが購入した馬の背を触りながらキルを見る。


「本当ですね。運が良かったのでしょうか?

これで馬車を走らせる事に不安は無いですし、楽しい旅ができれば良いですね」

キルも馬の背を撫でる。


「馬車の用意はできたのね。それじゃあ皆んな乗って次の街を目指しましょう」

サラはドグリの街にはあまり興味がないようだ。すぐに出発しようと言う。


確かにドグリは小さな田舎町でこれといって見どころはないのかもしれない。


「せっかく立ち寄ったのですし少し街の様子をみていきませんか?」

モレノをはじめ複数の少女達が街を見てまわりたそうな表情をしているのを見てキルが言った。


グラがニッコリ笑ってキルを見る。

「此処は任せてくれ、ゼペックさんを連れてその辺を散策してきて良いよ」


ゼペックにも気晴らしが必要だ。


キルがゼペックと手を繋いで街の散策に向かう。

少女達が周りを囲んでキャッキャしながら街を見て歩いた。


黒蜘蛛党のプレッシャーから解放されて、少女達は満面の笑顔で何も無い田舎町を楽しそうに歩く。


ちょっとしたスイーツを買い食いしたり、露天の安すアクセサリーや帽子を眺めたり、いかがわしい掘り出し物に疑問を浮かべたりしている。


何も無いと思っていた小さな街でもそれなりに楽しめるものだとキルは思った。


「クリス、この服どうっすかね?」

ケーナがクリスに露天商の可愛い上着について意見を聞く。


「うーん。似合うと思いますわ。」

小首を傾げながら答えているところを見ると最高に似合うというわけではなさそうだ。


そんな少女を見つめるゼペックの目は、孫娘を見るおじいちゃんのように優しく垂れ下がっている。


ゼペック爺さんにも楽しんでもらえているようだ。


クッキーが調味料や香辛料の店の前で立ち止まって動かない。


「料理に必要なら買って行こう。多少多めに買って行ったほうがいいと思うよ」


キルの言葉に踏ん切りがついたのかクッキーが数種類の調味料や香辛料を買い揃えた。

キルが金を払う。


「キルさん、ありがとうございます。

これでいろいろと作ってみたかった料理が作れそうです」


「いやいや。それで美味しい料理が食べられるんならどんどん買うよ。他に欲しい物があったら言ってくれ」


料理に関することはクランの費用としてプールしてある金を使うので余裕がある。

それにクッキーの料理人としてのジョブスクロールもクラン用のお金から出している。


おかげでクッキーの料理人ジョブは⭐︎4まで上げてある。今はまだ上級だが、経験値が満たされれば特級料理人にまで上がれる。


この後キル達は鍋、包丁などの調理器具も購入して馬車に帰って行った。


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