19 2人の新人 5
本日2度目の草原に移動、獲物を探す。
コッコキーを見つけてクリスに魔法で狩ってもらい、一角ウサギを見つけて投げナイフでキルが倒す。
角と毛皮を剥いで昼の食事にする。
今日の昼飯はコッコキーと一角ウサギの焼肉だ。塩を振って味を整える。
「狩りの時はもれなく飯は焼肉っすね」ケーナが指摘する。
「そうなるな。まだ狩れている日は良いんだけどな。獲れなかった日に備えて干し肉を作っておきたいものだ。あと冬場は魔物も少なくなるので金も貯めておかないとな」
「今は狩りに条件は良い時期という事ですわね」クリスが言った。
「その通り。冬を越えるのが大変なんだ」
「活動する魔物が少なくなるからってことっすネ」
「魔物の多くは冬眠するからね。その間力仕事や清掃とか色々やって食い繋ぐ訳だな。コロシアムに出たり商隊の護衛や、盗賊狩りとかな」
「護衛とかなら楽できそうですわね」
「腕の良い女子のパーティーは人気で専属になったり指名依頼が入ったりしやすい様だぜ。
雇い主もヤローより女子と一緒の旅の方が好きらしい」
「なんか嫌らしい雇い主なんじゃ無いっすか?」
笑いながらケーナがチャチャを入れる。
「腕の良いが前提につくことを忘れるなよ。ただの女子冒険者じゃ無いからな」
「今度そういう依頼があったら受けて見たいですわね」とクリス。
「その時は俺を外して行ってくれ、俺は爺さんの飯の世話が有るからな」
「何日ぶんかを、まとめておいとくというわけにはいかないんっすか?」
「相談して見なければわからないな」
食事を終えて再び狩りを再開する。
一角ウサギを2羽仕留めた後、7匹のウルフの群れを発見した。
どうやらウルフもこちらを見つけている。
「数が多い、静かに離れるぞ。ウルフが追いかけて来る様なら迎え撃つ」
3人はウルフから目を切らずに後退りを始めたがその時にウルフの群れがこちらに向かって走り出した。
「くそ、迎え撃つぞ。ケーナ、矢を射かけろ!」
キルはそう言うとストーンショットのスクロールを放つ準備をする。
陣形はいつもの三角陣形だ。
射程に入ったウルフにケーナの矢が当たる。
ウルフは倒れたが絶命したわけでは無い。
残りのウルフが近づいて来て魔法の射程に入った時クリスのファイヤーボール、キルのストーンショット2発がウルフを襲った。
3匹のウルフが絶命、残りの3匹は驚いて尻尾を巻いて逃げ出した。
危ない、そのまま襲われたら怪我は避けられなかっただろう。
矢が刺さったウルフは逃げ遅れて唸って威嚇してくるが、キルが背中の両手剣を抜いて斬り殺す。
なんとかウルフ4匹を狩ることに成功した。
遠くでこちらを見ているさっきのウルフに注意しながら倒した4匹を天秤棒に吊るす。
天秤棒には一角ウサギ2羽と4匹のウルフが吊るされた。
キルが殿を守りながら2人で天秤棒を担いで逃げる。
「ギルドに戻ろう」キルの言葉に従うまでもなく帰ろうとしていた2人である。
草原を離れ、帰り道の途中でキルが運ぶのを交代してみるが、チョットバランスが悪くなるので背の低い方が重いらしい。
ケーナから「これさっきより重いっす。やばいっす!」との苦情が漏れた。
そこで元に戻してキルが真ん中を手で補助する事にした。
なんとかギルドに持ち込んで買取してもらう。
「今日はクタクタっす」
ギルドの椅子に腰掛けてグッタリとするケーナである。
クリスも腰をさすっている。
キルは買取カウンターから戻って来ると今日の儲けについて話しだした。
「一角ウサギが2羽で1000カーネル。ウルフは1匹8000カーネルだけれど1匹毛皮が燃えているのでそいつは6000カーネルだそうだ。
だから4匹で30000カーネルになる。
午後の分が31000カーネル午前のぶんが21300カーネルだから1日で52300カーネルになった」
「スゲ〜っす」「頑張りましたもの」疲れも吹っ飛んで嬉しそうな2人。
「3人に分けると17400カーネルづつで100カーネルあまる」
「余った分はキル先輩がもらって下さいっす」
「そうね、それが良いわ」
「じゃあパーティーで何か買う時のために俺が預かっておくことにするよ」
「でもキル先輩が高いスクロールを使ってくれたおかげで怪我もなく狩れてるわけっすから!」
「そうよ、それに1番多く倒してるのもキル先輩ですし」
「そうかわかったから、取り敢えずは預かりにしておくよ」
「「そうですか(っすか)」」
「明日はどうする」
「チョット疲れたっすからなるべく軽い仕事がいいっすね」
「賛成ですわ」
「そうか、じゃあ〜〜、薬草摘みにでも行くか?
見つからないと稼ぎがないんだけれどね。清掃の方が手堅くて楽かな?」
「そうなるわけっすか〜。清掃も臭いし汚れるからイヤは嫌なんすよね」
「薬草摘みにしましょうかしら?初めてだし、覚えたいわ」
「じゃあ、明日は森に行く。集合はいつも通りな」




