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174 キル 舞い戻る。

野営地に『天剣のキラメキ』の4人が戻って来た。


「強そうな気配が増えていたからもしやと思ったけど、戻って来たのね。キル君」

サキがすぐさまキルに気がついた。


嬉しそうに駆け寄って来る。

そしてキルを抱きしめた。


サキの胸が柔らかく押し付けられて息が詰まる。

キルの顔は真っ赤である。


「サキさん、苦、苦しいです」


「あ、ごめんごめん」キルを離して顔を赤らめるサキ。


クリスもケーナも少し不機嫌そうにむくれている。



「キル君、無事そうで何よりだ」

グラもキルの帰還を嬉しそうに喜んだ。


「キル君、言いずらい事なんだがまだ君の周辺を探っている人間がいるようなんだよ」


グラとロムが苦い顔をする。

「さよう。しつこい奴らじゃ」


「もうしばらく身を隠しておいた方が無難ですかね」

キルも浮かない顔だ。


ホドが顎を撫でながら眉間に皺を寄せた。


サキが明るい声でキルにすり寄り慰める。

「初めから3ヵ月位は身を隠すつもりだったじゃない。まだ1ヵ月だもの仕方ないわよ。

それに最近嗅ぎ回り出した奴らもいるようだしさ。仕方ないんじゃない」


「ですよね。そんなにすぐに情報は伝わりませんしね。俺が死んだって噂もたいして広まってないだろうし」


「で、ここに籠るかい?あと2か月」


「少しの間此処で魔石を集めようと思います。もっと強くなりたいし」


「ならまた私たちと共闘しましょうよ」


「喜んで」

キルはまたサキ達と一緒に狩りをすることになった。




それから1ヶ月、キルはフクラダンジョンに篭って狩りを続けた。

『天剣のキラメキ』と『レスキューハンズ』は6日狩り1日休みのペースでフクラダンジョンに通ったのだった。




「キル君、ホームの周りを嗅ぎ回る奴らがとうとういなくなったよ」

そう告げるのはグラだ。


「そろそろクランのホームに戻っても大丈夫じゃと思うぞ」

ロムが右手の親指を立てる。


「本当ですか?」

食いつくように聞くキルにロムが頷いた。


「今回の狩りが終わったら、こっそりホームに帰ってみない?」

サキが提案するとキルは何度も頷いた。


「コッソリだぞ。コッソリ」

ロムが釘を刺す。


グラが付け加える。

「ここ数日怪しい気配は近くにいなかったというだけで、完全に安全になったか定かではないからね」


サキが笑いながらグラを見る。

「グラって本当に心配症なんだから。白髪が増えるわよ」


グラが眉を顰めた。

「キル君ももう我慢の限界だろうから、まだここに居ろとは言わないけれど、完全に安全になったとはとても言えないという事は頭の隅に置いておいてくれよ」


「はい。十分に気をつけてホームに帰らせてもらいます」



6日間の狩りを終え、『天剣のキラメキ』と『レスキューハンズ』のメンバー達はパリスの街に帰投する。


その中にキルも紛れ込んでいた。


クランのホームに着くまでキルも索敵で十分に気をつけていたが怪しい気配は見つからなかった。


(よし。無事にホームに帰って来たぞ。あとは目立たないように生活すれば大丈夫だ。)

そう思うキルであった。


ホームの中でゼペック爺さんと久方の再会を喜ぶキル。

キルもゼペックも目頭を熱くしている。


「キルさんや、やっと戻って来れたんじゃのう。良かった良かった」

ゼペックは悪徳商人顔をクチャクチャに崩して喜んだ。


キルも感激してゼペックを抱きしめた。


クッキーも涙を浮かべる。

「お帰りなさい。キルさん。お辛かったでしょう」


キルはクッキーとも握手をして彼女に笑みを向ける。


キルの帰還の祝いはホームの外に漏れぬように密やかに行われたのだった。


「これでもう大丈夫なんですね。」クリスが不安げにグラに問う。


「とは言えキル君は死んだことになっているから、その辺をどうしたものかな」


グラは胸の前で腕を組んで考え込んだ。


「しばらくしたら、生きてた………っていって現れても良いんじゃない?」

サキが言った。

「それまでは目立たないようにしていてさ」


「俺、ルクスブルクという街で『ゴテ』という名で冒険者登録ができたんですけれど、これって使えませんかね?」


「顔でバレないかい?」


「変装をするしかなかろう。髪を剃ってサングラスをかければなんとかなるのでは?」

ロムが思い切った提案をする。


「それと人前では声を出さないことだな。特にケイトさんにバレないようにしないとな」グラが付け加えた。


もう少しましな変装はないのかなあ……と思うキルである。


「よし。明日俺がサングラスを買ってきてやる」グラがのりのりだ。


「新冒険者ゴテの誕生ね。これで決まりだわ」

サキさん、決定はまだ早くないですか?もう少しましな変装はないですか?と思いながらも口には出せないキルだった。

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