146 天剣のキラメキとキル 4
食後の一休みと戦闘準備を終えてキル達はダンジョンに入っていく。
先頭はキルである。
小さな洞窟の入り口を入っていくと道は段々と広くなり幅3メートル高さも3メートルくらいの広さになり奥まで続いていた。
奥にはリザードマンがごちゃごちゃとたむろしていた。凄い数のリザードマンが奥の方まで洞窟の道に目視できる。
キルはマキシマサンダーをはなってからサイクロンカッターを連射する。手前から奥まで次々にリザードマンが煙と共に魔石に変わって行く。
1回の攻撃で6〜7匹は射程の範囲に入っている。それだけのリザードマンが1度に魔石に変わって行った。
向かって来るリザードマンがいるとまたマキシマサンダーを放って動きを止める。マキシマサンダーの与えるダメージも多大なものの様でその後のサイクロンカッターの連射の数発でリザードマンは魔石に変えられていた。
まずはキルが露払い的にリザードマンの群れを消滅させて行く。
が………いくら倒してもリザードマンは居なくならない。まだまだ奥まで埋め尽くすほどのリザードマンがいたのである。そいつらがどんどんキル達に向かって来始めた。
普通の冒険者ならMP切れが心配になるのだろうが、キルについては今のところ問題にする必要はない。このまま半日は魔法を撃ち続けられそうである。
キルは魔法を連射しながら前に進んでいった。戦闘はキルがリザードマンを近づけない様に1人で倒しつつ、サラやホド、グラ達は自主的に開いたストレージにリザードマンの魔石を拾って放り込見ながら進んでいった。
「こりゃキル君だけでも問題ないね。俺達石拾いに来たみたいだよ」
「今のうちは良いですけれど今に上位種とか出て来ると思いますからその時はお願いしますよ。それと中級精霊を石拾い用に呼び出しますから戦闘に備えてください」
キルはそういうと土、風、水精霊を魔石拾い用に呼び出した。
魔石拾いは精霊に任せてグラ達は戦闘体勢で歩き出した。
この調子で2時間ほど少しずつ陣地を前に進めて行った。
第2階層の降り口が見えて第2階層に降りる。
第2階層にもリザードマンがたくさん跋扈している。
キル達は第2階層も調子良く進んでいった。
しかしリザードマンの数は一向に減る様子がない。
しかも最奥に上位種らしい強そうな気配が混じったいた。
こいつはまずいな~と思うキル。やはり上位種がいた。おそらく⭐︎5レベルの魔物に違いない。
⭐︎5と言えばツインヘッドシルバーウルフと同じランクである。
単体とやりあうのならまだしも周りにこれだけのリザードマンがいたら厳しいとしか言いようがない。
それにこの先は、第3階層は多分もっと強い魔物が跋扈しているに違いない。
ツインヘッドシルバーウルフから手に入れた⭐︎5の魔石から⭐︎5のジョブスクロールを作ったのでキルのステータスは全ての戦闘職が⭐︎5で聖級に進化できていた。
この階層はなんとかクリアできるかもしれないが、次の階層は、次の階層のボスは相当強いに違い無い。
第2階層でボスがここにいたということは、こいつら自体が下の階から押し出されてきたのでは無いか?ゴブリン、サイクロプス、こいつらが1、2階層に居たとすればリザードマンは本来なら第3階層にいたはずじゃあないのだろうか?
リザードマンを殲滅しても魔物が溢れるのを止められないのでは無いだろうか?
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
最低でも第3階層、第4階層まで殲滅しないと溢れは止まらないかもしれない。
最低でもだ……。
ゴブリンとサイクロプスの間に別の魔物が居た可能性だって有る。
イヤ、いたに違いない。ゴブリンとサイクロプスでは強さに違いがあり過ぎる。
とすれば本来リザードマンはどの階層に居たのだろうか?
どの階層から魔物が増えすぎているのだろうか?
リザードマンを駆逐しながらキルの心配はドンドン強まっていった。
「キル! 集中しろ」
グラがキルの様子の変化に気づいて声をかけた。
いかんいかん。目の前の敵に集中しないと…………。
「疲れたの?魔力切れかしら?」
サキが心配そうにキルの顔を覗き込んだ。
「イエ、魔力は半分以上残ってますよ」キルが答えた。
実際MPは2割も減っていない。
「これ休みってどうやって取るんですか?どこまでいっても魔物が満ち満ちていたら戦いを中止して休憩ってわけにはいかないなあ……なんて」
「そうね。土魔法で壁を作って塞ぐとか?」
「壁を破られるまでの時間は稼げるのじゃがのう。時間稼ぎにしかならんがのう」
「キル君も2時間魔法を撃ちっぱなしだから俺たちと交換して休んだほうがいいかもね」
「イエ、乱戦になると今の様に効率よく倒せなくなるのでもう少しこのまままとめて倒させてください」
「そうかい。確かに近接戦闘になると今ほど効率的には倒せなくなってしまうね。じゃあ、無理をしないで代わりたくなったら申し出てくれ」
キルはグラの申し出を断って魔法を連射し続けるのだった。




