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累計1000万PV突破!  「10/2書籍発売 コミカライズ決定」 異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する   作者: 米糠


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130 グラのパーティーメンバーの決断  1

ホームに帰って来たキル達をクッキーとゼペックが迎えてくれた。


ゼペックは帰って来た9人を見回し怪我人がいなさそうなのを確認すると安堵した様で有る。悪人顔の奥に慈愛の表情が隠れていた。


「おかえりなさい。皆さんご無事ですか?」クッキーは明るく微笑む。


「ああ、大丈夫だ。留守中変わった事は無かったかい?」


「ハイ。何も有りませんでしたよ。お食事の用意が出来ています。もう遅いですけれど皆さん一緒に食べましょう!」


クリスがニコリと笑い、ケーナが声を上げる。

「やった、もうお腹ペコペコだったんっすよ」


エリスもユリアも喜んだ。

「私もです」「うんうん」


クッキーはまずは食事とわかりそそくさと準備をしだすのだった。

キルはサイクロンサイクロプスの魔石で⭐︎5のジョブスクロールを作ったのはその夜のことで有る。





一方キルと別れたグラは彼のパーティーメンバーから相談を持ちかけられていた。


「ねえグラ、今日一緒に戦ったキル君のクランのクリスって子、もうすぐ特級になれそうだと言っていたわよね?

まだ1年も経っていないというのにスクロールって凄いのね。

私が使ったら特級になれるのかしら?」


赤い長い髪を掻き分けてグラを見つめるのは上級魔術師のサキで有る。

赤眼のベテラン魔術師はもう長い間進化していなかった。

彼女だけでなく多くの冒険者はある時を境に進化しなくなってしまう。

それが神から授かったギフトの星の数による限界だからで有る。


「私、⭐︎3の魔術師だからもうこのままでは特級にはなれないのよね。

でもキル君から⭐︎4のジョブスクロールを買えば特級になれるのよね」


「たぶんそう言う事だろうな。 欲しいのか?スクロール」

グラがその青い目で見返す。

その目には本気か、気持ちはわかると言っている様でもあった。


「迷っているけど、欲しいのは本当ね。それに買うならパリスに居るうちに買わないと………どう思う?グラ」


「実は俺も同じ思いじゃ」

横から口を挟んだのはフルプレートの鎧に身を包んだ180cmのゴリマッチョ、盾使いの

ロムで有る。


「拙者もでござる」

遅れて同意するのはノッポの上級剣士ホドであった。彼は東方の出身で黒目黒髪黄色の肌をしていた。背丈はロムと同じくらいで有る。


「オイオイ………全員スクロールを買いたい様だな。明日キル君のクランを訪ねてみるか?」グラがまいったという顔でそう言った。


「明日は休みにすると言っていたから朝早くに行けば会えるかもしれないわね」


「金はどうするんじゃ。銀行から卸していかねばなるまいよ」

ロムの茶色い目にも迷いの色が浮かぶ。


「⭐︎4のジョブスクロールは8000万、⭐︎5は2億5000万カーネルだそうだぜ。

流石に2億5000万は持ってないな」

グラもまいったという顔でその青い髪をかいた。


「冒険者を始めて15年くらい経つが拙者せいぜい6000万くらいしか持っておらんな」黒髪のホドも困り顔で有る。


「グラ、あんたどうせお金が足りなくてまったく買えそうがないでしょう、だから私達にお金を貸しなさいよ」


グラは眉間に深い皺を作って腕を組んだ。

そして諦めた様に頷く。


「まずは3人を特級にあげよう。

その後は俺の聖級上げのために強い魔物を狩まくるぞ。

それで良いかな」


そしてグラは大きくため息をついた。

ロムも額に右手の指先を当ててボソリと呟く

「今までの財産を全て吐き出して更なる高みを目指すか……」


サラはもう心を決めた様でキッパリと言い切る。

「これからはまた新たな冒険の始まりよ。助け合って先に進みましょう!」


こういう時男どもより思いっきりが良い女性のサラであった。

女は度胸で有る。


「グラ殿、貴殿にはすまんがスクロールを買うために大金を貸して貰わねばならぬが、その借りはその後の活躍でできるだけ早く貴殿の分のスクロールを買う事でお返し申す」


「そうじゃな。俺も特級になれば、今までよりみんなの盾になれると思うぞ」


「そうだな。そうと決まれば、明日はキル君のクランに行くとしよう」


「キル殿のクランの前に銀行で金を下ろさねばならぬであろう?」


「ダメよ。銀行が開く時間は遅いもの。お出かけされてしまったら買えなくなるわ。先に買いたいということを確実に伝えるべきだわ。お金は銀行に行ってから払うということでわかってくれるわよ」


「その方が良いと思うね」グラもサラの意見に同意する。


そしてこう付け加えた。

「朝、キル君のクランに行ってスクロールを買って銀行に行って金を払えば良いということさ。キル君はどうせ銀行に金を預けに行くに違いないだろう。だから銀行で払うことに嫌とは言わないと思うよ。大金なんだしな」


キルはもっと大金をストレージに入れて持ち歩いていたので特に銀行に用はないのだが、そういう事はグラにとっては予想外の事だった。


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