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ことば遊び

やわらかな朝は、また (旧題:狭間(はさま) から あなた 夜話)

作者: 日浦海里

朝もやの立つ草原で

色とりどりの揺れる花

薄紅に染まる地平線

燕尾(えんび)が空に吸い込まれ

大空に今日の幕が開く


風は緑の波起こし

北に向かって旅に出る

郷里(くに)の待ち人に会えるの、と

化粧したように頬を染め

恋する顔で空に舞う


さすらい人が足を止め

視線をやるは山の上

住み慣れた地を離れても

千里の先に思い馳せ

空の下にいる人想う


他愛もない事なれど

小さき日々の重なりが

繋ぎ繋がれ世は巡る

天衣無縫(てんいむほう)に流れゆく

留まることなく流れゆく


鳴る波の背は穏やかに

西に引いては密やかに

濡れた砂肌は艶やかに

音色はそっと涼やかに

残る響きは切なげに


浜辺に寄せる白絹は

引いて寄せては泡となり

振り返ることなく生まれ消え

碧眼(へきがん)の底に飲み込まれ

星の光となって舞う


真白に輝く星の火で

水面(みなも)が創る衣たち

無垢(むく)なる少女が待ち焦がれ

巡らぬ時は千の秋

も一度いつかと願う月


灼けてくすんだ紫紺の空に

結縁(ゆえん)を繋ぐ誰そ彼(たそがれ)の刻

夜に瞬く一番星は感情の波で揺らめいて


来来世世(らいらいせせ)の契りと言えど

利運(りうん)得られればまた今世でと

流浪の人に願った言葉は

連理(れんり)の枝に比翼(ひよく)の鳥と

朧月(ろうげつ)の先で繋がって


湧くは男も女も共に

一途な思いを知ればこそ

歌え踊れと二人を囲み

(えにし)の神に感謝する

大空の下で幕は閉じる

タイトルは『はさま から あなた やわ』と読みます。

並べ替えるとある文字列になりますので、

もし宜しければ考えてみてください。


この作品には本文にも仕掛けがあります。

ある読み方をすると……。

気になる方は活動報告に解説がありますので、

宜しければどうぞ。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2275893/blogkey/3168185/


それから

普段聞き慣れない語句が並んでいるかと思いますので

用語解説を載せておきます。


【用語解説】

『天衣無縫』

 天真爛漫なさま。純真に、思う通りにふるまうこと。


『結縁』

 本来この字はけちえん、けつえんと読むため、読みとしては正しくない。

 仏道に帰依するという意味の他に、縁を結ぶという意味もある。

 由縁とかけるために、あえて「ゆえん」という読みを宛てている。


『来来世世』

 来世の更に次の来世。輪廻を繰り返した先の遠い未来


『利運』

 良い巡り合せ。

(当然に出会う巡り合せという意などもある)


『連理比翼(比翼連理)』

 男女/夫婦の情の繋がりが深く強いことの喩え

 「比翼」左右一対の翼と目を共有する、雌雄一体となった空想上の鳥。

 「連理」連理の枝。別々の根をもつ二本の木の枝が繋がり、連続した木目をもつもの。



最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 仕掛けはわかりました。 アナグラアムは苦手です。。。(^^;)
[良い点]  活動報告を拝見してから読みました。  タイトルと詩の言葉遊びがすごいの一言です。  そしてさらに物語になっている……!  美しい情景が目に浮かぶようですし、  >巡らぬ時は千の秋   …
[一言] 活動報告を拝見して、読みにきました。 こ、これはすごい……! タイトルがまた素敵ですね。コンセプトを思い付いたとしても、こんな美しい詩になるのが素晴らしすぎます。 この仕掛け、折角なのであと…
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