第十五話~大人になる~
長々と続いた同窓会。
料理に腹を膨らませた俺たちは緩やかに酒を楽しみながらの昔話に花を咲かせる。時刻は日付を跨ごうかという頃合いに差し掛かりつつあった。
高校時代のオカルト同好会の思い出話から始まり、大ナマズ様やアオシシ様などの神様たちとの交流の思い出、そして大学時代の話へと移っていった。
「そういや寺山、お前大学は京都だったよな。舞妓さんの彼女とかいたのか」
「喧嘩売ってんのかテメェ……!
俺の学部じゃ女子なんてほとんどいなかったし本物の舞妓さんは苦学生の俺じゃ会うことも叶わねえよ!」
「えぇ~、それじゃあ普通にナンパとかしなかったの?」
「なにニヤけてやがる百目鬼ぃ……!
んな暇ねえよ!ずっと課題研究で各地の寺社仏閣回りしててほとんど寮にも帰れなかったわ!」
「悲惨だな……百目鬼は彼氏の一人や二人できただろ?お前可愛いんだから」
「か、かわわっ……!?
からかわないでよ!ウチは全寮制の女子大でほとんど外にも出られなかったよぉ。
バイトもできなかったし、彼氏なんて全然……それに私には心に決めた人がごにょにょ……」
「そういう繋くんはどうなんですか?」
「え?」
百目鬼の言葉を遮り、空になったピッチャーをガンっとテーブルに叩きつけたナガメの顔はまるで鬼のように真っ赤で、眉間に皺が寄っている。
……oh、こりゃ完全にデキあがってるな。
そりゃそうか、親父さんから貰った二升五合の大吟醸とビールのピッチャー3杯をひとりで空けたんだし。
「私が桜幡でずっと一人寂しく神社の仕事の傍ら通信制大学で勉強していた時、繋くんは東京でどんな爛れたキャンパスライフをしてきたんでしょうかねぇ!?」
ナガメは目を血走らせ、怒気と酒気を吐き出しながら追加の芋焼酎をボトルごと一気飲みし始めた。
お前の肝臓どうなってるの、ブラックホールなの?
「な、ナガメ~?落ち着こうか?
俺しょっちゅうお前に連絡してたし、長期休暇には絶対帰ってただろ?そんなやましいことしてる暇なんて……」
「ふんっ、そんなの私へのアリバイ作りに決まってます!
どうせその甘いマスクと耳障りの良い囁きで先輩から同級生、後輩までチョロっと誑かして食い荒らしてたんでしょう!
第一、繋くんのその高身長脚長マッチョ塩顔イケボに狂わされない女がいるはずがないんですよ!料理も上手いし力持ちで頼れるし頭脳明晰だし優しいし!!
そんなスパダリの繋くんを東京の目聡い女どもが放っておくはずがありませんからね!!
ねぇ、遥ちゃん!?」
「え、あ、うん」
「お前ら喧嘩するのか惚気るのかどっちかにしてくんね」
「うるさいです!黙っててください非モテの方は!」
「おい!それを言ったら戦争だろうが……!」
ナガメの怒りの矛先が何故か寺山へと向かい、白熱した……否、ぐだぐだな口論へと発展する。
それをなんとか宥めた俺と百目鬼は互いを見合せて肩を竦めるのだった。
ああ、もうめちゃくちゃだよ。
「ってかよ、実際のところどうだったんだよ八塚。
東京は享楽の街だしな、櫛田の言うように女遊びに興じてたんじゃねえだろうな?」
「そうです!絶対そうに決まってます!
東京にいた頃の繋くんには女の臭いがちらついてましたし!!」
「そ、そうなの八塚くん!?」
またしても俺へと向けられる矛先。しかも今度は百目鬼まで興味津々だし。
まだ続けるのかよこんなくだらないこと……。
「大学へは勉強と就職のために行ったんだ。そんな浮わついたことを目的に行ったんじゃねえよ」
ナガメの飲みかけの芋焼酎を空いたグラスに注ぎ一口呷る。
うわ、強っ!こんなのらっぱ飲みすんなよナガメ……。
「……それじゃあ聞きますけど、一昨年の“隅田川の花火大会”……誰と一緒に見てたんですか」
「ブーーーーーッッ!!」
「おわっ、汚ねぇぞ八塚!?」
「な、ナガメっ、何故それを!?」
嘘だろ!?
あの時は誰とも連絡取ってなかったし、“土御門先輩”と二人きりだったはず……!
「や、やっぱり……!
この時のYouTwobeのライブカメラに映っていたのは繋くんと東京の浮気女だったんですね……!!」
ナガメは目を血走らせながらスマホの画面を見せつけてくる。
……間違いない、この浴衣はナガメが俺に贈ってくれたもの。それにこのスカイツリーが見える位置も見覚えがある……。
俺は吹き出す額の汗をおしぼりで何度も拭き取った。
マジかよ……神の悪戯にも程があるだろ!
「ち、違うぞナガメ!先輩とは何も……」
「先輩……?また先輩ですか!?
この年上キラー!!
嘘つき嘘つき嘘つき!!!
東京での交遊関係は全然教えてくれなかったし、聞いてもはぐらかしてばっかり!あの女狐のことだってギリギリまで隠してましたよね!?
なんでそうやっていつも隠すんですか!!
どうして私には何も教えてくれないんですか!!」
「……素直に教えてもすぐそうやって怒るだろ……?
俺の言い分なんて聞きやしないじゃないか、いつだって」
「……っ」
あまりにも一方的に責められ、胸の内に秘めていたものが一気に溢れ出るのを感じる。
違う、俺はこんなことを言いたいんじゃないのに……俺が悪いのに。
「そんなに俺のことが心配だったら何で俺と一緒に東京に来てくれなかったんだよ。俺だって寂しかったよ、ずっと。
でも、お前は頑なに桜幡から出ようとしないじゃないか。たかが車で数十分のむつの街にだって一緒に行けた試しがない。
なぁ、お前にとってそんなにこの町が重要なのか。そんなにあの寂れた神社が大事なのかよ。
……俺なんかより、ずっと───」
───気づいた頃にはもうナガメは顔を伏せ、テーブルには水溜まりができていた。
俺はとんでもないことを言ってしまったのだと今更になって理解した。
「……もういいです……繋くんは私のことなんて忘れて東京に戻ればいいんです。
こんな重い女なんか捨てて……その先輩さんと一緒になればいいじゃないですか」
「な、ナガメ、ごめん……言いすぎた」
「私はこの町でしか生きられないんです!
お父さんとお母さんと、お祖母ちゃんが残してくれたあの神社を離れられるわけがない!!
繋くんみたいに自由奔放に生きるなんてことは許されないんですよっ!!」
頭を思い切り殴られた感触がした。それもとびきりデカいハンマーでだ。
8歳で両親を事故で亡くし、最後の肉親である祖母さんも中学に上がる前に亡くしたナガメにとって、あの神社は家族との大切な思い出の詰まった場所。
簡単に捨てられるわけがない。俺はそのことをわかっていながら、なんて残酷なことを抜かしてしまったんだろう。
ナガメの言う通りだ。
俺は自由、どこにだって好きな時に行ける。それは俺が何も“背負うもの”がないガキだからだ。
俺は何も反論することができず、俯くことしかできなかった。
「……もう帰ります。後は三人で楽しんでください」
ナガメはテーブルに数枚の万札を叩きつけ、挨拶もそこそこにおぼつかない足で店を出た。
俺はそれをただただ見送った。
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「こりゃまたこっぴどく怒られたな」
俺の空いたグラスに瓶ビールを注ぐ寺山の顔は、意外にも平静だった。
百目鬼も苦笑いの表情を浮かべ、俺の背中を擦っている。
「……悪い、せっかくの同窓会なのに」
すっかり気の抜けたビールを一気に飲み干す。喉を通るアルコールに最早何の高揚感も感じない。
まるで水を飲んでいるかのような虚無だ。
「なんか懐かしいな、お前らの痴話喧嘩」
「そうだね、学生時代もよくあったし」
「……痴話喧嘩じゃねえよ」
ナガメの残していった芋焼酎のボトルを呷る。ツンと香る焼酎の強い匂いが俺の目頭を熱くさせた。
「……なぁ、覚えてるか?
小学1年の頃だったかな、桜幡の公民館でポケビーの映画やってたの」
「ああ、お前と櫛田で観に行ったんだっけ」
この町には映画館はない。かつてはあったらしいが、親父やかっちゃの生まれる前にはとっくになくなっていたらしい。
隣のむつ市にすら映画館はなくて、せいぜい文化会館で時折子ども向けや話題の映画を年に数本上映するのみだ。
俺たちが小学1年生の頃、何かのイベントだったのか桜幡公民館でポケビー……ポケットビーストという人気アニメの劇場版を上映することになった。
幼少期から桜幡を出たことのないナガメにとって、初めての劇場での映画。
珍しくあいつははしゃいでいた。
「内容は……なんだったかな。
伝説のポケビーが、孤独な女の子の願いを叶えるために、必死で父親代わりに奮闘する話だったか。
でも、そのポケビーは女の子の願いが具現化しただけの幻で……女の子の窮地を救って力尽きたあと消えてしまうんだ」
ナガメはずっとスクリーンから目を離さなかった。俺の手をぎゅっと強く握り締めながら。
「あいつ、すっごく楽しそうでさ……来年もまた一緒に観ようって、目をキラキラさせて……。
でも、桜幡で映画が上映されることは二度となかった」
ナガメはどんな気持ちだったのだろう。
たかだか映画のひとつ、レンタルすれば楽しめる世の中だから別に困らない?
んなわけねえだろ、映画館で観るからこそ映画は人々に夢を見させてくれる。
娯楽なんてほとんどないこの町であいつだけが夢を見られず縛られている。まだ遊びたい盛りなのに、いつもあいつだけがこの町から離れられない。
「お前らも知ってるだろ。あいつ、小中高で修学旅行どころかバス遠足にだって行ったことがないんだぞ」
俺と両親が説得してもダメだった。
小学校の時なら、ちょうどナガメの祖母が亡くなったばかりで遠慮したのだろうと理解できるが、中学高校の多感な時期に一人だけ修学旅行にもどこにも行けないなんてあっていいのかよ。
あいつを縛っているのは何なんだ。
神社か、あいつの死んだ家族か。
それとも……俺の知らない、もっと“重大”なことがあいつをこの地に縛りつけているのか。
「俺はあいつに見せてやりたいだけだ。
なにも世界を旅しようとかそんなんじゃねえよ。ただ俺らと同じく当たり前のように外出して、ドライブして、近場を日帰り旅行するだけでもいい。
お前の生きている世界はこんなにも広いんだと教えてやりたいんだ。
テレビやネットで見る世界だけが全てじゃないんだと、夢がたくさん転がっているのが世界なんだと……!」
残っている焼酎のボトルを一気に空にした俺は勘定をテーブルに叩きつけ靴に足を通す。
寺山と百目鬼は少し笑みを浮かべ、俺に向かって言葉を紡いだ。
「今ならまだ近くにいるんじゃねえかな」
「うん、ナガメちゃんは気分がどんよりした時は決まって海を見に行くよね」
「……悪い二人とも、二次会はキャンセルだ。埋め合わせは今度させてくれ」
船原や親父さんにも詫びを入れ、俺は急ぎ足で店を後にし、漁港の方へと走る。
……月がまるで血に染まったように紅かった。
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「……繋くんの馬鹿」
私は海浜公園の砂浜に腰を下ろし、紅い月に照らされた海面を見ていた。
打ち寄せる波と潮の香りがささくれ立った心を少しだけ癒してくれる。
繋くんが悪いんです、私の気持ちも知らないで色んな女の子に色目を使うから。
きっと“東京の先輩”とやらも綺麗な人なんでしょう……あの女狐と同じように。
「……綺麗で……スタイルも良くて……ファッションセンスもメイクも繋くん好みなのでしょうね。
それに、きっとどこへだって繋くんと遊びに行ける」
頬に熱いものが伝う。
わかってる……わかってるよ。
繋くんにとって私はつまらない女なんだってことくらい。
デートのひとつだって満足に行けないし、ファッションだって古臭いんでしょう。
仕事だって神社の管理と土いじりという地味なもので、華があることなんて何一つしていない。
本当は繋くんは桜幡になんて帰ってきたくなかったんだ。私のいる桜幡になんて。
きらびやかな東京で、きらびやかな彼女を作って、あっちで自由に暮らしたかったんだ……そうに決まってる。
帰ってきた今も、きっと繋くんの心は東京に置いてきたままなのだ。
彼がいつも望んでいた、魅力的な“広い世界”がそこには広がっていたのでしょう。
「……でも、どうすることもできないっ……!
だって私は……この地から離れることは許されないのだからっ……!!」
私を縛りつけているのは神社でも家族との思い出でもない!
あの剣が私を深く突き刺して離さないのだ!!
桜幡を離れようとすると身が引き裂かれる程の激痛が走る!
自分が自分でなくなる!
だからあの時お父さんとお母さんは……!!
───ザッ……ザッ……。
……誰かが砂を踏みしめる音が近づいてくる。
もしかして、繋くんが追いかけてきてくれたのだろうか───。
「こんばんは~お姉さん、どうしたん?」
「彼氏とでも喧嘩した?俺らが慰めてやろっか」
……観光客だろうか。桜幡の人間ではないことは確かだ。
気づけば私の後ろにガラの悪そうな数人の男がたむろしていた。彼らのものと思われる黒のミニバンからは喧しい音楽が漏れ出ている。
「……ご心配ありがとうございます。もう帰りますので」
「ヤッバ!超お嬢様って感じじゃね?」
「結構タイプかも」
「どうせ暇っしょ?俺らとドライブ行こうよ。
お姉さんみたいな綺麗な人ほっとく馬鹿な彼氏なんて捨てちゃってさ」
こいつらは私の話を聞いていたのか。
下品な目でこの私を舐め回して……挙げ句の果てに繋くんを侮辱した。
「もう一度言います。もう帰るので放っておいてください」
「そう固いこと言うなよお姉さん」
「俺らこう見えて優しいんだよ」
「ベッドではいっつも泣かせてるけどな!ギャハハ!」
ああ、もう煩わしい。
その薄汚い声で私の耳を汚すな。
汚らわしい汚らわしい汚らわしい汚らわしい汚らわしい汚らわしいッッ!
……もういいです。この男たちは死刑ニシテシマイマショウ。
マタ余計ナモノヲ喰ベナキャナラナイ……コンナ不味ソウナ人間ヲ……。
マタ、朝食ノ量ヲ減ラサナキャ───。
「マジで超いい女じゃん、俺が独り占めして拐っちゃおっかな」
「ッ!!
ソノ汚ラワシイ手デ私ニ触ルッ…………っ!?
け、繋くん?」
突然背後で誰かから肩を寄せられたかと思うと、そこには少し怒気を孕ませた表情の繋くんがいた。
下衆な男たちは突然の来訪者に驚いた様子だった。
「は?誰だよテメェ、その女の彼氏か」
「いや」
……なんですかそれ。私は繋くんの彼女ですらないんですか。
私の心が再び黒く染まっていき、握り締めていた拳の中で爪が食い込んだ。
……すると繋くんは私の爪が食い込む拳を抉じ開け手を繋ぎ、微笑みながらこう返した。
「この娘は俺の嫁だ。だから、ガキは大人しく帰りな」
そう言って繋くんは右手の人差し指をピンッと立てると、突然男たちが物凄い勢いでミニバンへと吸い寄せられるように乗車し、急発進でおぼつかない運転のままどこかへと走っていった。
「な、なんだよこれ!?
て、手がハンドルから離れねえし足もアクセルとブレーキから離れねえ!!」
「どうなってんだよ!か、体が勝手にっ」
「うわぁぁぁっ!?
前見ろ!!ぶつかるぶつかるっ!!」
小さくなったミニバンからはこちらまで聞こえるような絶叫が響いていた。
それを見て呆気に取られ立ち尽くしていると、突然繋くんが私を背負いどこかへと歩きだした。
「け、繋くん!?
何してるんですか、下ろしてください!」
「やだよ。
言ったろ?お前を拐っちゃうってな」
「ば、馬鹿なこと言わないでください!
それに言ったでしょ、私のことなんて忘れていいって!」
「忘れられるわけないだろ、俺の愛する女を」
「……っ!
そ、そういうことを他の女にも言ってるんです、絶対。
どうせ私は……つまらない女なんですから……」
「俺はお前の全部が大好きなんだよ。
顔も、髪型も、スタイルも、性格も、匂いも、肌の温もりも……全部、全部な」
「……っ」
ズルい。
ズルい男。
いつだってあなたはそう。
私が涙を流せば決まってそうやって慰めるんだから。
「グスッ……私を馬鹿にしてるんでしょう、繋くん。
そう言えば私がコロッと騙されて許してくれるって、そう思ってるんでしょう。
いつまでも私は子どもじゃないんですよ……!」
「……ああ、俺はいつまでもガキなんだ。
親父からは良い大人になったと言われても、お前を泣かせてばかりのガキだ。
お前を喜ばせられた試しがない……いつだってお前を傷つけてばかりだ」
魚市場の向かいにある公園で私を下ろした繋くんは此方へと振り向くと地面に膝を着き、そっと私の手を取る。
その手は……汗と熱にまみれていた。
「だから……俺もそろそろ大人になろうと思う」
繋くんは上着のポケットから何か小さなものを取り出し……それを私の左手の薬指にはめた。
「……っ!!」
「俺の嫁になれ、ナガメ。
俺は……覚悟を決めた。もう、お前を離さない。そして、俺はお前の傍から離れないことを誓う」
……ああ、酔いすぎて幻覚を見てしまったんだ。
だって、繋くんが私に指輪をくれて……私と結ばれる誓いまで立ててくれるなんて。
「そして、俺はお前に……“広い世界”を見せてやる。必ず」
「……無理ですよ。私は絶対に桜幡から出られないんですから」
「……いつになってもいい。どんな障壁があろうとも、俺はそれをぶち壊す。
だから待っていろナガメ……俺は、どんなことがあろうともお前の味方だ」
強い力で全身が包み込まれ、繋くんの匂いが優しく私の鼻を撫でた。
……無理です、無理なのに……どうしてなのかな。
あなたが私をこの“檻のような運命”から救い出してくれると信じてしまう。
信じるだけ無駄だとわかっているのに、あなたの言葉を聴く度に私は期待してしまう。
それはいつからだろうか。
それはきっと。
もっと。
もっと昔からのような。
そんな気がするの。
「お慕い申し上げます“八束彦”様」
「我もだ……“櫛名田比売”」
お互いに酔いが回りすぎたのか、身も知らずの名前を呼んでしまった。
でも、何故だろう。
そう呼ばれるのは初めてではないような気がした。
私たちは互いに口付けを交わし、夜の闇に溶けていく。
月はいつの間にか雲に隠れ、私たちを照らすものはなにもなくなっていた───。
いい加減くっつけよと思ったのでくっつけました(国士無双)




