街に着いたらギルドへ行こう
ミユと街へ向かってから三十分。
和也は目的地であった街へとやっと着いたが、門番の人に身分証を見せろと言われた。
勿論、この世界の身分証なんて物は和也は持ってなかったのでどうしようかと考えていたら、ミユさんが口添えしてくれたおかげで無事に中に入る事ができた。
「和也、ここが鍛治を盛んにした街『スミス』だ。この街から様々な国へと武器が輸出されてる他、この街だけで売られてる限定武器なんて物もある」
「輸出?てことは、この街はどこにも属してなくて中立都市みたいな感じになっているのか?」
輸出という言葉に引っかかった和也は、ミユに質問をした。
本来、同じ所から輸出したら片方に偏りが出るはず。それなのに、様々な国に出してたら生産が追いつかないと。更に言えば、この街にしかない武器まであるとすれば戦争になると考えていた。
「そうなるな。そして、限定武器は剣とかではなくて主に包丁とかナイフなどの日用品で戦争にはならないのだ」
和也にそう伝えると、何故かVサインして来た。
ミユの行動に少し苦笑いをする和也だが、とりあえず身分証が欲しかったのでギルドの場所を聞く事にした。
「ミユさん早急に身分証作りたいんだが、ギルドはどこにもあるのかな?」
「そうだな。冒険者カードがあれば他の街にも普通に入れる様になる。私もこれからギルドに用事があるからこのまま私に着いてくるといい」
ミユに促されるまま、その後ろについて行く。
ギルドに向かうまでの間、周囲の街並みを眺める和也。
街の中にはレンガ作りの家が多く、看板には剣のマークや盾のマークなど様々ある。
その中には食事処や店先に野菜やお肉、魚など豊富に販売しているお店もあった。
「和也さんは随分と珍しい目で見ますね。何か不思議なことでもありましたか?」
「いえ、立派な家だなと思い。流石、鍛治が盛んな街ですね」
「そうですね。私も初めて来たときは同じ反応をしました。すっかり馴染んでしまいましたけどね」
笑いながらそう答えるミユ。
そして馴染んで来たと言う言葉でここに滞在して長いのかと思った和也は、聞いてみた。
「ミユさんはこの街に来てから長いんですか?」
「まぁ、一年はいますね。普通は色んな所を回っているのですが、今はここでお金を稼ぐ為に一時的に滞在しております」
その言葉を聞いて、和也は首肯して納得していた。
和也もいつか冒険者になって稼ぎたいと考えていたらミユが続けて話した。
「和也さん、ここがギルドです」
和也は顔を見上げると、大きな建物が目の前にあった。
「ここが…ギルド。他の建物より大きいですね」
「えぇ、街一番ですし、ギルドマスターが最高責任者をやってますからね」
「ギルドマスターがこの街の最高責任者!?それはまた凄いことですね」
「全ての国が来ますから、力あり者じゃないと揉め事が起きた時に止められませんしね」
苦笑いしながら理由を説明してくれるミユに、和也も釣られて苦笑いをしてしまう。
でも、今までの話をまとめるとその話は納得のいく事だと密かに感じていた和也であった。
「では、中に入りましょうか」
「そうですね」
ギルド前に着いてから数分間話していたので、いよいよ中に入る。
ギルドはどんな感じなのか、転移する前の世界で見た本と同じなのかワクワクしていた。
〝ガチャ〟と扉が開く。
「やぁ、ミユくん。依頼の方はどうだったかな?おや?そこの隣にいるのは誰かな?」
扉を開けてすぐに、アフロ頭にムキムキの体をした男の人が立っていた。
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