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サムライ美女

「いやいや、これは逃げないとやばいだろ」


 今、和也の目の前には大きな熊がいた。

 熊の体は灰色で、体長2メートル以上はあるだろう。

 そして川にいる魚に夢中で、和也の事にはまだ気づいていなかった。


「確か熊には死んだフリが有効って聞いた事あるけど、異世界でその常識は通じるのか…?」


 地球…元の世界では熊に遭遇したら、死んだフリが常識。

 だけど、元の世界でも死んだフリは半分有効では無くなっている可能性がある。


 和也はずっとゲームをしていた為に、新常識の知識がなかったのだ。


「とりあえず、逃げた方が死んだフリするより良さそうだし静かに来た道を戻ろう」


 そう言い、和也は元来た道へと踵を返したが…


 〝パキッ〟という音がその場に響いた。


「あはは…これはちょっとやばいよな」


 恐る恐る、後ろを振り向くと魚に集中していた熊が和也の方を向いていた。


 そして熊は和也の方に体を向き直し、ゆっくりと和也目掛けて歩き出した。


「ですよねー。こっちに来ますよね。うん、分かってたけど俺逃げ切れるか?」


 和也の不安…それは、スキルを使えたとしてもMP的に二回が限度。

 しかも、一度も実践をしていない為にまともに発動するのか分からない状態。


 そんな思考を一気に巡らせた和也は、ある決断をした。


「だれか、たすけてー!!!!!!!」


 そう、大きな声で叫びながら全速力で逃げる。


 だけど、大きな声と走ったら熊も追いかけるのは当然。

 和也は死に物狂いで、逃げる事をがんばった。


「むっ…そこの男、助けが必要か?」


「助けてください。お願いします。もう、走れません…」


 小川の入り口からほど遠くない場所で、どこからか声が聞こえた。

 和也は息を切らしながら、その声の主に助けを求めた。


「了解した!」


 そう返事をすると、和也の頭上の木から誰かが飛び降りて来た。


 飛び降りてからの行動は早かった。

 声の主…その人は女性で和服を着て帯刀している。

 そして熊目掛けて一直線に走り込み、帯刀していた刀を抜刀して一撃で熊を斬りつけた。

 そのまま熊は、身動き一つせずにその場で倒れた。


「お主、大丈夫か?」


「はい、貴方のおかげで何とか助かりました」


「そりゃ、良かった。むっ、自己紹介がまだだったな。私の名前はミユと言い、サムライだ。お主は?」


 彼女———ミユは黒髪で整ったスタイルに豊満な双丘、和也の世界にいたら数多の男から声をかけられる程の美しさだった。

 

「俺の名前は、和也。倉崎和也と言います」


「くらさきかずや?和也が苗字とは珍しいな」


 この言葉を聞いて、和也の頭には〝?〟が浮かんだ。


 実はこの世界は海外と同じく名前が先に来て、苗字が後に来る。

 その事を知らなかったので、和也はそのまま名乗りミユに珍しいと言われたのだ。


「………あっ!違います!!和也が名前で倉崎が苗字です!!なので、和也と呼んでください!!」


 理解した和也は即座に訂正をして、ミユに和也と呼んでもらうように頼んだ。


「そうだったのか。和也はこれからどこへ行くのだ?そもそも、武器を持たずにその簡単な服装で森に入る事自体間違っています」


「実は…気がついたらここにいたんだ。俺も自分の名前以外、何でこうなってるのか分からない。だから、街か村を探して歩いていた」


 多少、話の改変があるかもしれないが別の世界から来たと言っても信じてもらえないと考え、和也はそう告げる。


「そうであったのか。なら、共に街へ来るか?私はクエストでそこの熊を討伐に来たんだが、終わってしまったのでもう帰る所なのだが」


「是非ともお供させていただきます」


 直角九十度の綺麗なお辞儀をして、ミユに頼んだ。

 ミユは首肯して、「では、こっちだ」と言って街へと向かった。

お読みくださり、ありがとうございます。


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