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初恋の女の子が逆ハーを形成しながら俺に迫ってくるのは何で!?  作者: むこうみず太郎
第二部 人畜無害系ギャルさん。
40/42

救出大作戦!!開始!!

そんなに進まない?です。

「確か‥‥、こっちですっ。」

「分かった!」



小声で黄瀬さんの妹さん(千陽ちゃん)と会話を交わす。俺たちがいるのは‥‥、天井裏だった。



俺たちの作戦はこうだった。


まず涼風が囮として、副会長と黄瀬さんを別離させる。もし副会長がいないなら、それでよかった。だが、いた。


涼風が副会長の目を誤魔化しながら打ったであろうそのメッセージによってその可能性がないことが証明された。涼風がそういうならそうなのだろう。今、涼風が俺たちを裏切るメリットはないはずだ。それは日夏も保証していた。


副会長がいた場合、俺は千陽ちゃんと共に、黄瀬さんが暴力にいつもさらされていたであろう場所に隠れながら突撃する手はずになっていたため、こうやってこっそりと不法侵入(これがバレた場合、千陽ちゃんはここの住人であるため俺だけ罪に被されることになるかもしれない。解せぬ)しているのだが‥‥。何故か、天井裏で‥‥。あれ、なんで‥‥。



作戦の続きをぼんやりと思い出す。


何やら千陽ちゃんが言うには、この家は元々から黄瀬さんのご両親と黄瀬さんたちが住んでいた家らしい。そこにご両親の代わりとして義母と義兄が入ってきた訳だから、この家をよく知っているのは千陽だと主張した千陽ちゃん。そして、ボディーガード兼黄瀬さんをよく知っている知人Aの俺が家に入ることとなったのは、自然な成り行きだった。



我が最愛の妹(碧音)に危険なことはさせたくなかったし、碧音が来たら黄瀬さんだって驚いてしまう。更にこの救出は人数が多ければ多いほど不利な戦いだ。日夏と共に別の仕事を分け与えた。


千陽ちゃんだって連れてきたくなかったが、家の構造をよく知らない俺が救出できるわけがない。本人の強い希望もあり、一緒に彼女(黄瀬さん)を救うこととなった。



最初、庭にこそこそと入った俺はそもそも家に入れないと思った。


しかしどうやら黄瀬さんはズボラさんらしく、庭の横にある黄瀬さんの部屋に備え付けられた人一人分ならなんとか入れそうな窓をいつも開けているらしいそんな姉の事情を知っていた千陽ちゃんがそこから俺を招き入れた。


幸いにして黄瀬さんの部屋は一階だったし、その窓はそこまで高くなかった。


彼女のズボラな一面を意外に思いながら俺は彼女の部屋に入った。しかし、そこで衝撃の光景を見た。



「『オタクに優しいギャルが実際に存在しているなんて初耳なのだが!?18』??」



そう、彼女の部屋一面には、肌面積の多いラノベが撒き散らされていたのだ。




__いや!せめて本棚に入れろよ!!



思わず殻の本棚にツッコミを入れてしまったのは、不可抗力だと思う。というか一見ギャルに見える彼女がこういう本を好むのはちょっと意外だった。さっと見る感じ、ギャル系が多いな。これ。


部屋に備え付けられている机の周りは勉強道具やメイク道具が綺麗に整頓されているだけあって、なんというか残念感が極まっていた。




「行きますよ。」



と千陽ちゃんに言われなかったら俺は一生ツッコミ続けていたと思う。


静かに部屋の隅に移動した俺たちはバレないように静かに彼女の扉を開けた。



(あれ‥‥?)



後ろをふと振り返ったときに彼女の机にある真っ白なブレスレットが目についた。白金の紐に可憐な花が付随しているものだ。


あれは、俺が、中学生のとき、天乃に‥‥。



「何しているのです?」

「っ!?いや、なんでもないよ。行こう。」



千陽ちゃんが小声で不思議そうに尋ねたのを笑って誤魔化した。




__俺の動揺を隠して。





こんなことを考えている場合じゃないと首を振った俺と千陽ちゃんはこっそりと静かに広い廊下を歩く。



どうやら玄関と廊下の間には一室設置されているらしく、玄関から廊下を見られることはないらしい。ただ、疑念を持たれたら終わりだ。


涼風が時間稼ぎをしてくれているとはいえ、時間には限度がある。早く、だけど慎重にことを進めなければ‥‥。



「ここです。」



囁くような声量で言う彼女はある一室を指さした。茶色いドアだった。他の部屋よりも部屋同士の感覚が狭く、ここが小さな部屋であることを考えられる。俺はゴクリとつばを飲み込みながらその金色に光るドアノブを押すが‥‥。



「っ!?ち、千陽ちゃん‥‥、これって引くやつ!?」



その重厚そうな茶色の扉を力いっぱい押し込んでもびくともしない。千陽ちゃんの方を向くと、眉をひそめていた。



「いいえ、押す形であっています。‥‥もしかしたら、鍵をかけられるのかもしれません。でも、千陽は鍵の在処を知りません。」

「これか‥‥。」



ドアノブの下に鍵穴があることに今更ながら気がつく。どうやら俺は焦りすぎているのかもしれない。そんな単純なことにも気がつけないなんて。


だが、どうする?鍵がないなんて‥‥。俺には解錠行為(ピッキング)はできないぞ!?青ざめた顔で黙り込む千陽ちゃんもできないだろうし‥‥。


くっそ!!どうしたら、どうしたらいいんだ!?



「‥‥ここの部屋に窓はないんだったな。」


「はい。ここは一応物置として使われるための部屋として設計している、とパパが言っていました。そのため、窓などはありません。でも、いつもはここに鍵なんて、かけたことがないのです‥‥。掛ける必要もないので鍵がどこにあるかさえも‥‥。」


「黄瀬さんがここに閉じ込められている可能性が高くなったな‥‥。今もこの家にいるんだろ?黄瀬さん。」


「‥‥はい。お姉ちゃんのスマホのGPSはこの家を指しています。お姉ちゃんはいつもスマホで支払いをしてたので、スマホ無しで出かけるなんて‥‥、考えられないのです。」




でも、扉を無理やり開けたら、物音がなってしまって副会長にばれてしまう!それに、黄瀬さんが無事か聞くことさえも、物音を立てることが許されない今、できないし‥‥!!


鍵穴、鍵穴さえ開けることができなければ‥‥。




「あっ、黄瀬さんが開けることもできないのか!?普通、こういうのってそういう風にできているだろう!?」

「この部屋、内側から開けることができないんですよ‥‥。」

「なんでだよ‥‥。」

「多分、業者さんが間違えてそういう鍵にしちゃったみたいです。」



おいっ!!業者さん!!



「小さい頃、お姉ちゃんが千陽と遊んでいたときにお姉ちゃんが悪戯で締めたときがありまして‥‥。お姉ちゃんは内側から開けるだろうと思っていたので放置していたのですが、開かなくなっちゃったのです。」


「ええ‥‥。」


「そのときも鍵なんてかけることなんてなかったので、そこで初めて不具合に気がついたのです。不幸なことに油断したお姉ちゃんが鍵を失くしちゃって、パパとママとお姉ちゃんが必死に探していたのを思い出しましてしまいました。」


「‥‥そうか。」


なんだか場違いな話だったが、少しほっこりしてしまった。黄瀬さんの悪戯好きなところとか、二人の中が垣間見えるエピソードだ。


だが、そんなことをしている場合じゃない。いつまで涼風が副会長を留められるのかわからないのだ。



「ああっ!」

「しっ!!」



突然、大きな声を出した彼女に俺は思わず彼女の口を無理やり閉ざした。



「おい、なにやっているんだよ。千陽ちゃん!」



彼女の耳にささやきかけると、彼女は俺の腕をびしびしと叩いた。そして、彼女は隣の部屋を指した。



「ど、どうしたの?」



彼女から手を離して問うと、彼女は興奮したように隣の部屋の鍵を開けて俺を押しこんだ。隣の部屋はシンプルで、机や椅子、それにダブルベッドと低めのタンスがあるだけだった。



「な、何何何!?何が起こってんの!?」

「あおちゃん先輩のお兄さん‥‥。」



小声で後ろからそっと呟かれ、ドキッと‥‥。



(するかあああああああああああああああっ!!)



流石にこれが大事な局面だということは分かっている!こんなところでふざけるわけがない!!ただ、ちょっと!!ちょっとだけ、その‥‥、呟きが、えっ。‥‥い、いや、やめとこう。これ以上は犯罪になりそうな気がする。


身体をちょっとぷるぷるさせていると、彼女が後ろからドンドンとシンプルなダブルベッドに追いやられた。


え、ちょっ!?どうなってんの!?


「あの、あそこのタンスの上に登って、天井裏につながる入り口を開けてください。」

「え、えっと‥‥。ごめん。どういうこと?」


あ、違った。彼女はダブルベッドの近くにある低いタンスっぽいやつに登らせたかったらしい。


でも、どうしていきなり、と戸惑っている俺に彼女は小声のまま事情を話してくれた。



「さっき、千陽が話した内容、覚えていますか?」


「あ、ああ。」


「あそこの鍵、結局その日は最後まで見つからなかったのです。」


「え、じゃあなんで‥‥。」



「千陽が、あの物置にあったもので天井裏に入って、この部屋まできたのです。そう。この天井裏、あっちの部屋と繋がっているんです。」

「っ!?」


よくそんなことを思い出せたな、と思ったが、彼女が言うには彼女のお父さんが『ここは屋根裏も物置にできるように人が入れるぐらいの大きさで設計してもらった』と自慢げに言っていたことを思い出したらしい。黄瀬さんの家のお父さんは自分の家と家族が大好きなんだな、と苦笑してしまう。


だが、そのお陰で彼女の言いたいことが分かった。そういうことか‥‥。つまりはここを通って彼女を救え、ということか。


「千陽が、先に行きます。なんとなくあちらの方に行く道筋は覚えていますから。でも‥‥。」


「でも?どうした?」


「あおちゃん先輩のお兄さんはどうしてお姉ちゃんを助けたいのですか?」


「‥‥。」


「義兄‥‥、王雅お兄ちゃんがお姉ちゃんにひどいことをしている、というのはなんとなく、わかりました。千陽が見たことも、それで、納得がいくのです。お姉ちゃんが王雅お兄ちゃんと一緒にいた後、すごく悲しい顔をしていたのは、そのせいだったんだって。」


「‥‥。」


「でも、やっぱり危ないですよ!こんなの。今なら引き返せます!!やっぱり、やめましょうよ。こんなの。千陽は、あおちゃん先輩のお兄さんに酷い目にあってほしくないです。千陽たちの勘違いだっていう可能性もまだあるじゃないですか!それに、本当に困ったことになったら他の人がなんとかしてくれますよ!それにお姉ちゃんだって立派な高校生です。助けだって、求められるはずです!!‥‥千陽と、違って。」


「千陽ちゃん‥‥。ごめん。でも、多分、黄瀬さんは君が思っているよりも、ずっと繊細だと思う。」



俺が彼女に接して思ったことは、見た目に反して繊細な子だってことだ。ずっと怖いものから目を反らしているだけで、彼女は本当は怖いんだと思う。彼女を抱きしめたときに感じるその震えている感触が俺のなかで今もなお、残っているのだ。



「そんな黄瀬さんを助けたい、だなんて言っているのはきっと傲慢なんだと思う。ただの偽善だなんて分かっている。『他の人が助けてくれるだろう』?もっともな意見だ。」


「なら!」


「でも、俺が助けられたのに()()()が起こったら、俺は一生後悔する。‥‥だから、なにかなかったとしてもいい。むしろ何もないほうがいい。ただ、今の黄瀬さんが本当に無事か、確認したいんだ。」



俺の言葉にぎゅっと一度唇を噛んだ彼女は俺に向かって口を開く。



「‥‥天井裏を開けてくださいませんか?千陽の身長じゃ届かないのです。」

「‥‥分かった。ありがとう。」



肯定してくれたことに、まず安心する。今までのは俺に迷惑をかけるかもしれない、姉が無事じゃないかもしれないというこの先が不安で出た言葉なのだろう。そんな状態の彼女に俺の言葉が響いてくれたことに少し照れくささと嬉しさが生じる。


まあ、ここは、彼女に任せるしかない。そう思い、天井裏につながる点検口を開け、身長の低い彼女を補助して天井裏に入れた。



「少々狭いですが‥‥、いけます。スマホを貸してください。」

「了解。」



スマホのロックを解錠し、ライトをつけて、彼女に渡した。


俺はその辺にあった椅子を持ってきてタンスの上に乗せて登った。幸い、ぐらつくこともなく無事に天井裏に入れた。



天井裏は本当に真っ暗で埃っぽかった。正直、少し怖ささえも感じたが、先導する千陽ちゃんのスマホの光が俺に安堵を与えた。


中は人一人座るぐらいの大きさで、歩くのは無理だ。


小柄な千陽ちゃんはよつん這いになりながら先導しているが俺には頭が何度もぶつかってしまって少し難しそうである。諦めて匍匐前進(ほふくぜんしん)することにした。




__こうして、俺たちは天井裏に来た。




「あ、ここです。」


そう言いながら彼女が何やら作業をすると、天井裏全体が光に当たる。ついたたようだ。まあ、隣の部屋だし、距離は短い。だが、姿勢がきつい。



「よい、しょっ。」



軽やかに下がる彼女。どうやら下にクッションがあったようだ。俺も彼女のなんとか苦労しながら音を立てないように下がった。


俺の降りた前には‥‥、乱れた格好で縛られた彼女がいた。



「だってね、佐久間っち、あたし‥‥。」



と呟く黄瀬さんに俺は答える。



「ん?どうした?」

「どうしたじゃないよ〜。もう、佐久m、‥‥え。」



振り返って俺を見た黄瀬さんは驚愕の表情で固まった。そして、次に大声を出そうとしているのが分かって、慌てて彼女の口を押さえた。



「俺たちは黄瀬さんを助けに来たんだ。いいか?OK?」



そう言うと黄瀬さんは大きく頷いた。と、思ったら狼狽えながら俺の隣を指さした。


こういう動作って姉妹で似るものなんだな、と思いながら彼女から手を離し、俺の隣を見ると‥‥。



「ち、千陽ちゃん!?大丈夫か!?」

「はっ‥‥、はっ‥‥!!」



過呼吸をしながら倒れている千陽ちゃんがいた。



「千陽?!ちょ、大丈夫!?」



黄瀬さんが慌てて彼女に近づくが、拘束されているため何も出来ずにいた。


俺も千陽ちゃんに駆け寄ろうとしたが、千陽ちゃんが黄瀬さんの身体を執拗と言えるほどに凝視していることに気がついた。



「黄瀬さん!拘束を解くから、早く服を着て!!」


「そんなことしている場合じゃ!!」


「そうじゃないんだ!千陽ちゃんは虐待を受けていたんだろ!?千陽ちゃんが発作を起こしている原因は黄瀬さんのつけている痣だ!!それで虐待を思い出すんだ!!痣を隠して!!顔にもついているけど、とりあえずなんとか隠すんだ!!」


「‥‥分かった。」



俺は黄瀬さんの服での拘束を解いた後、千陽ちゃんに駆け寄る。



「いい?千陽ちゃん。呼吸を整えて俺を見るんだ。俺を。」

「っ‥‥!」




千陽ちゃんの背をさすり、看病していると最悪なことに気がつく。



バタバタとした足音がこの部屋に近づいていることに気がついたのだ。






__まずい!!侵入が副会長にバレている!!



最後までお読みいただいきありがとうございます!!むこうみず太郎です!!


やったああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!ここまで書けたどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!


という喜びが隠せません。たくさん書けた自分を褒めてやりたいです。ヨシヨシ。エライエライ。


今月働きすぎじゃないかなって思うほど書いていますよね!!!!!!


‥‥え?これが普通?何も聞こえません☆むこうみず太郎の耳には何も聞こえないのだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!(あ、うるさい?ごめんなさい。)


さて、真面目な話、結構この章の終盤を無事に迎えられそうなのは皆様の応援のお陰様です。深い感謝の意を示さずにはいられません。本当にありがとうございます。皆様がいらっしゃらなかったら、この作品は打ち切りになっていました。本当です。ありがとうございます。


これからも応援よろしくお願いします!!


【宣伝】


・ブックマークの登録よろしくお願いします。(進捗の速さが2増える。)

・広告バナー下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えてほしいと心から願っていますが無理にとはいいません。(上から目線過ぎていつか読まれている方にぶん殴られそう。)

・感想があるとめちゃくちゃ発狂します。前しました。発狂が家族にバレそうになりました。恥ずかしかったです。


それでは、またお会いできることを願って。

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