救出大作戦??前夜!!
よろしくお願いします。まだ続く予定です。
「黄瀬ちゃん!!ここ!?」
「は、はいなのです!ここが千陽のおうちなのです!!」
俺たちが走ってきたのは、大きな庭の付いた一軒家である黄瀬さんの家だった。
俺の家から少し離れたところにその家はあった。
できるだけ急いでついたのは俺が黄瀬さんと接したときのことを思い出して彼女の様子がかなり限界がきていると判断したからだ。こういう問題自体早く解決するべきという方向性で満場一致した
「‥‥でも、お義兄ちゃんが本当に、お姉ちゃんをイジメているのですか?」
「千陽ちゃんの話しを聞いた限りと‥‥、あとは俺の、勘かな。でも、大丈夫。もし間違っていても俺がお姉ちゃんに代わりに怒られてあげるから。」
走ってきたから全員が息を絶え絶えの中、なんとか会話を交わす。俺たちの表情は明るいとはいえないものばかりだ。
中でも千陽ちゃんはかなり不安げである。自身が虐待にあっていた、ということもあるのだろう。
義兄が姉に暴力を振っているという話しを聞いてからずっと震えている。本当は俺の家に置いてきたかったが、彼女自身が行くと強く希望したためそれ以上は何も言えなかった。
「んで、お兄さん?どうしますぅ〜?いきなり押しかけても不法侵入で捕まるだけですよ〜?」
「‥‥そう、だな。だから、一応助っ人を呼んでおいた。」
「助っ人?」
「ああ‥‥。」
俺はそいつが信頼に値するかはよくわからん。けれども、頼んで見る価値はあると思って運良く千陽ちゃんからそいつの連絡先を教えてもらうことが出来た。
不思議そうな顔をする碧音と日夏の後ろに怪しげな影が見えて、ため息をつく。『彼女』もこの家を知っていたらしい。俺たちと同時到着だとは思わなかったけどな。
「呼ばれて飛び出た僕だよー☆」
「はあ‥‥。普通に出てこれないのか‥‥。涼風。」
そう、涼風だ。涼風が我が妹に背後から抱きつく不審者となって登場したのだ‥‥。ってやめーい!!びっくりして我が最愛の妹である碧音が固まっているだろ!?
「っ‥‥!!っ‥‥!!」
ほら!声にならない叫びを何回も発しているだろう!!やめてさしあげろよ!!
「はじめまして!千陽ちんはともかく君たちは初めて会うね。僕は涼風桃。そこのイケメン君の同級生だよ。よろしくね。イケメン君の妹さんたち!めちゃくちゃ綺麗な子だね!さっすがイケメン君の妹さん!」
「‥‥?たち?って、どういうことだ?もしかして日夏のことか?」
「ええ?違うの?イケメン君の妹さんたちじゃないの?」
「あ、ひーちゃんはですね、そこのオニーサンの妹様であらせられる碧音の幼馴染なんですぅー。日夏って言います!!桃ちゃん先輩、でいいですよね?よろしくですぅー!あーよかった、お兄さんの将来のお嫁さんがいて〜。」
あ、こいつ、涼風と俺との関係誤解してやがる。
流石に訂正しようと、日夏が涼風に差し出している手を、俺が握ろうとすると先に俺よりも動いた人間がいた。
「止めて。」
今までに聞いたことがないような冷ややかな声で宣ったのは‥‥。
「すず、かぜ‥‥?」
にこやかな印象しかない涼風だった。
「あ、いや、これは違くて‥‥。よ、よろしくねー!僕のことはできれば『涼風先輩』とかがいい、かな〜、なんて!呼び捨てでもいいからね!あ、君は日夏、でいいかな?ちょっと距離縮めすぎかな?嫌?」
「はい!日夏って呼んでください!!桃お姉さま!」
「っ!あ、あの‥‥、呼び方、変えられないかな?」
「えー?可愛くないですか?」
「っ!あ、いや、まあ、そうだけど‥‥。あはは‥‥、よろしくね。」
日夏がグイグイと距離を縮めているのに対し涼風は苦笑しているという、なんだか不思議な光景だ。
いつも飄々としているイメージの涼風が押され気味だなんて‥‥。
「って、そんなことをしている場合じゃなかった!!おい、涼風。メッセ見たか?」
「‥‥ああ、そのこと?そうそう。僕、そのことで文句を言いに来たんだよ。僕は『関わるな』って言ったよ
ね?なのにさ、なんでこんなことになっているの?」
「そんなこと言っている場合じゃないっていうことを俺はちゃんとメッセージで書いたよな?」
「そんなの、黄瀬結月サンはイケメン君の気を引く嘘に決まっているよ。あ〜、白白しい。」
「おまっ‥‥。」
涼風のあんまりな態度に俺は絶句した。こんなことを、言うやつだったのか‥‥。
確かに俺達は出会って本当に少しの時間しか過ごしていない。だから涼風には俺の知らない一面を持っているってことは理解している。でも、こんな言い方‥‥、あんまりだ。
「僕もね、時間が惜しいの。イケメン君の頼みだから来ただけ。黄瀬の家に興味はない。」
「‥‥。」
千陽ちゃんが目を潤ませている様子に、涼風は目線を横に反らして見ないふりをした。
そんな二人に戸惑った様子の碧音。日夏は黙ったまんま。
‥‥ここは、年長者の出番ってか。
「そうか。お前、そんなやつだったのか。」
「元はと言えば、君が僕との『関わらない』っていう約束を破ったからいけないんだよ。」
その言葉に俺ははんっと鼻で笑った。
「約束ぅ?俺は約束をしていない!お前がなんて言ったか覚えているか?」
「っ!」
って言ったけどどうしよう。この間、涼風と会ったときのこと、スラスラ言えるほど覚えていない‥‥。
「ええっと、あれだ!『忘れろ』って言ったんだ!お前は!」
「っ!」
よしよし、動揺している。このセリフであっていたようだ。セーフ。
「‥‥確かに、約束はしていなかった。でも!僕がこれ以上君たちに手伝う必要性も何もない!僕はもう帰る!」
おいおいおいっ!?どうした!?涼風。いつものほら、なんかさ、クールさっていうのがないんだよ。
なんか、今日は‥‥、嫌なことがあったみたいな、そんな‥‥。
「焦っているね。」
「っ!?」
あ、そうそう!焦っている!!そんな感じ!
俺が喉につっかえていたことを言葉として表してくれたのは、さっきまで黙っていたのは日夏だった。
「焦っている?僕が?」
「はい!桃ちゃんお姉さま!」
日夏が涼風ににっこり元気よく言うが、一つだけ言わせてくれ。
『桃ちゃん』か『お姉さま』かのどっちかにしろよ!名前で欲張り大セット作ったって呼びにくいだけだぞ!?
__俺は今、ものすごく安心している。
こんなしょうもないことに突っ込めるほど安心している。
何故なら、日夏が味方かつ、とても機嫌がよさそうだからだ。
俺は知っている。こういうときの日夏は強い。
口元がにいっと上がっている日夏を眺めながら思う。
__何故なら、昔から俺がこいつに大敗を喫してきたからだ!!
「それでは取引をしましょう。」
「取引?日夏、君と?」
「いえ、おにーさんの代理だと思ってください。」
「それでいいのかい?イケメン君?」
勝手に俺を取引の材料にするなよ、と思いながら一応頷いておく。
「おう!どんとこい!」
いや、嘘だ。俺氏、めちゃくちゃ張り切ってた。
‥‥あの苦しげな黄瀬さんのためになら、なにかしてやりたい。そう思ってしまう俺ってば意外とお人好しなんだな。
「今から、この家のなかを自由に歩き回れるようにしてください。できれば長く。桃ちゃんお姉さまならできるでしょう?」
「ふ〜ん?なんでできると思ったの?」
「ふふ。できるのでしょう?桃ちゃんお姉さま?いえ、涼風お姉さまのほうがいいですか?」
「‥‥できるはできるけど僕に利点がない。故にこれは取引じゃなくて、ただの搾取だよ。生憎僕はこんなこ
とに構っている時間は。」
「もし、あなたの予想が正しく、黄瀬ちゃんのお姉さんがただのかまととぶった最悪な方だった場合、お兄さんへ借りをつくることができます。涼風さん、ほしいんでしょ?おにいさんの借り。」
え、俺の借り?そんなのがほしいのか?涼風?俺の借りがあったって、精々高級アイスぐらいしか買えない
ぞ?
「‥‥なんで。」
本当にほしいのか!?あんなに渋っていたのに俺の借りって聞いて目の色変えるの怖っ!俺、何を請求させられるんだ‥‥?
「あ〜あ、なんででしょ〜?ほら、碧音もお願いしなきゃ。」
「おねがい、です‥‥。おにい、いくらでも、かします‥‥。」
一気に戯けた口調になる日夏の様子に交渉が終了したことが分かった。
「どうするんですか?涼風お姉さま?」
「‥‥5分だけだからね。」
渋々した声に俺たちへの勝利がもたらされた。
そうして俺たちは作戦を立てだした。
最後までお読みいただきありがとうございます!!明日誕生日のむこうみず太郎(筆者)です!!
‥‥え?更新が遅いって?
ふっ。他愛のないことよ!何故ならこの連載は更新が超絶遅いことで有名なのd、あ、すみません。調子に乗りました。すみません。いや、マジ、あの、暴力はいけないんで、うあ、‥‥ゴメンナサイ。
改めまして、更新が遅くて申し訳ありません。ですが、こうして遅くてもゆっくり更新できているのは皆様の温かい応援のお陰様でございます。皆様がいなかったらむこうみず太郎は今頃この小説を書くのを止めていたことでしょう。本当に感謝の言葉しかありません。
さて、この小説もいよいよ一段落‥‥、つくかもしれなくもないかもしれなくもないです!どうぞこれからもお付き合いいただけると幸いです!
なので‥‥、見捨てないで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
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