side結月 12時の鐘がなるとき。
結月sideです。
「‥‥‥。」
ただあたしは上を向いて照明をぼんやりとみる。ただそれだけ、それだけですべてが終わる。
でも、それがあたしには苦痛で、しんどくて、逃げ出したくて‥‥。
逃げたくて逃げたくて。
でも王雅は社会的立ち位置がかなり高かった。それに、佐久間っちには関わってほしくなくて言えなかったけど、本当は『黄瀬』を繁栄させるために、王雅はヤンキーよりもやばいやつを味方につけた。だから、逃げられなかった。彼の持つ権力で揉み消されてしまう。
だからこそ、あたしは佐久間っちを隠れ蓑にして、『涼風グループ』に連なる権力者と懇意にしている涼風さんに密かに近づいてSOSを伝えようとしたのに。涼風さんに断られても、お家にいって真実を知ってもらえればって思って、彼女の家の玄関に入ったのに!!
それでも、駄目だった!先を越されてしまった!真実を伝えることさえできなかった!!
やっぱり、義兄のバックが強すぎる‥‥。情報戦じゃ、手持ちのないあたしには不利すぎる。
じゃあ、正直に、佐久間っちに真実を伝えた方がよかったの?誰かに相談すればよかったの?
でも、そうしたら、あたしには一生このスキャンダルが付きまとう可能性が出てくる。もう、パパの跡は確実に継げなくなる。それだけは駄目!!『だから女は』ってただでさえ男尊女卑の風潮が強い涼風グループの権力者たちに今以上に思われる!!
あたしは、あたしの夢を、そしてパパとママの夢を叶えなきゃいけないの。
それにこんな卑怯なことをする王雅に失脚させられない!!
でも、もう‥‥、限界、だよ。
黄瀬の跡継ぎを諦めろって何回も王雅に脅迫されて、何回も暴力という憂き目にあって、何回も何回も何回も、こうやって襲われて、もう、いや‥‥。
助けてよ‥‥。でも、もしあたしがこんな目にあっているのを千陽に知られたら、なんて思われる?千陽はなんとも思わなくても千陽自身が危険な目に遭うかもしれない。
だから、ばれないように、大きな力に近づかないといけないのに‥‥。
‥‥バレた。
もう、あたしはおしまいかもしれない。今日はいつも以上に殴られている。痛い。いつもはしない顔にまで被害が及んでいる。
あたし、ここで死ぬのかもしれない。
王子様なんて期待していなかった。ただ魔法使いがほしかった。
だから、だからもしかしたら涼風さんが魔法使いなんだって、期待、していたのに‥‥。
妹を助けるときに魔法使いが現れたから、今回だってきっと現れるって願っていた。
でも、来なかった。
あたしに救いは‥‥、なかった。
意識も朦朧としてきたし、王雅もただやるだけ。
青くて大きな斑点はまだまだ増えてきそうだ。
ふふ。あはは。
もう苦しいから、殺して‥‥。
いや、もうすぐ殺されるだろう。あたしの望み通りに。王雅が今まであたしを殺さなかったのはちょっとしたお情けと、殺すことの大義名分がなかったからだ。
でも、もうそんなことを気にしてはいられないのだろう。諦めさせようと、そして自分の性癖を満たそうという行為が涼風本家にバレてしまってはかなりのスキャンダルとなる。そしてそれを被害者であるあたしが密告しそうになったのだ。もう、彼の頭には口封じしかないのだろう。
あたしが死んでも千陽は大丈夫。王雅には従順だったからこんな目にはあわない。ただあたしが両親の夢を追いすぎたんだ。これは夢を守るためとはいえ佐久間っちに嘘をついたあたしへの罰なのかもしれない。
ふふ。もうすぐあたしは死ぬ。自分で分かる。身体の感覚で。
すると唐突にリビングの掛け時計のオルゴール音がなる。わたしは乾いた笑いをもらし、鬼のような形相の王雅の目を皮肉げにみる。
「12時の鐘がなったよ。」
あ‥‥。
最後までお読みいただきありがとうございます!そして更新遅くてすみませんっっっ!!!
どうもむこうみず太郎です!!すみませんっっ!!
さて、もうすぐ終わりそうな第一章に感無量です。さて、とっても更新が遅い本作品と知られている今作品ですが(有名だと嬉しい)それもこれも皆様に支えられているから遅くても更新できているんだな‥・・。と思います。ずっと暖かく読んでくださっている皆様のためにも不肖むこうみず太郎、打ち切りにならないよう、全身全霊をかけてゆっくりと(おい!?!?むこうみず太郎!?!?)頑張っていきますのでどうか最後までお付き合いください。
なんとか途中打ち切りにならないよう、がんばります!!具体的には一年に一回くらい、あ、怒らないでください〜〜〜〜!!!!見捨てないで〜〜〜〜〜〜〜!!!!!(´;ω;`)
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