side結月 あたしに現れない魔法使いサン。
シリアス回です。黄瀬ちゃん目線。
意味わからん!!って感じです。多分。そういう方はまたあがっていく佐久間っちくんの方を読んでくだされば幸いです。
黄瀬 結月side
「‥‥‥どうしたのかな〜?黄瀬 結月サン。」
「話し合いましょう。最初っからこうすればよかったのよ。下手に彼を巻き込むんじゃなくて。」
あっしは直接涼桃グループの中で力を持つ人に取り入ることができる涼風 桃さんの家にやってきた。
昔はよく来たから家はすぐに分かった。
あっしが尋ねると彼女は少し嫌な顔をしつつ、中に入れてくれた。
「そうだよ。卑怯者。ねえ?どうだった?イケメン君を騙すのはさぞ楽だっただろうね?あれ?もしかしてその派手な格好で誘惑でもしたの?」
「‥‥‥。」
別に、騙そうだなんて思っていなかった。なんて虫のいい話はできない。
実際に騙していたのだから。
「ねえ?どうなの?こうしてイケメン君を利用してお父様の跡を‥‥‥、涼桃グループの重役を狙っているんだよね?」
「そ、それは‥‥‥。違う、よ。」
「嘘だよね?僕、嘘が嫌いなの。大体、イケメン君にもう既に終わっている虐待を教えたのはこのことを露見させて、お義兄さんを失脚させるのが狙い、なんでしょう?」
「っ!!どうしてそれを!!」
「クスクス。少し調べればわかるよ。一年前、あなたとお姫様‥‥‥、姫川天乃が出会ったこと、そしてその時、あなた達二人で協力して児童相談所に行き、虐待をやめさせることに成功していること。あなたの義理の母は今、カウンセリングに通って心を治していること。とかなら簡単に調べられたよ?」
「‥‥‥。」
過去をまるごと調べられていたことに冷や汗をかいてしまう。
でも、負けちゃダメ‥‥‥。
負けたら、負けたらあっしは‥‥‥、あたしは‥‥‥。
震える身体を必死に止めようとするけど、うまくいかない。
__これじゃあパパに、失望、されちゃうな‥‥‥。
「どうしてイケメン君を使おう、と思っていたのかはわからないけど。でも、イケメン君は僕のコマだから‥‥‥、奪おう、だなんて思わないでね?」
冷ややかに嘲笑う彼女に必死に喰らいつく。
あっしの想いを、本当に言いたかったことをいうために。
これこそ、本当の願い。真の『目的』。
優しい佐久間っちを巻き込んででもあっしが訴えたかったこと。
「‥‥‥分かった。でも、違うの!!あ、あっしはただ義兄の『次期涼桃グループの重役』の地位がほしかったわけじゃなくて!!」
「‥‥‥じゃあ、何がほしいんだ?お前は?」
「っ!?王雅!?‥‥‥っ!!」
あっしの従兄弟で義兄で、あっしの通う高校の副会長を務める王雅が突然現れた。
それを見て慌ててふためくあっしを眺めていい気味だと涼風さんは嘲笑った。
「僕が呼んだんだよ。あんまりにも権力にまとわりつく鬱陶しいハエがいるから連絡したよ。ほら、さっさとお持ち帰りして?」
「待って!涼風さん!!話を!!」
これじゃあ、不味い。
そう思って必死に手を伸ばしても返ってくるのは涼風さんの軽蔑する目線だけだった。
本当に、あっしが虫になってしまったかのように錯覚してしまう。
「何を話すんだよ?」
「っ!!‥‥‥ぅぁ。」
その王雅の一言であっしの声は少しも出なくなってしまった。
出てよ!!声!!ほら!!出て!!
そう思っても涼風さんの冷たい目と王雅の声で喘ぎ声しか出ない。
__神様、あっしに勇気を!!
そう思っても出てくれないものは出てくれなかった。
「ほら、帰るぞ。」
あっしの手首を掴みながらいう王雅の声に反抗なんて、できない。
彼の言葉通りにただ一緒に帰るだけだ。
この先がどんな地獄だろうと。
ああ、ダメだった。勇気なんてでなかった。
他の人に頼ろうって思ってもうまく行かなかった。
涼風さんならきっと‥‥‥。そう、思っていたのに。
ああ‥‥‥、あっしに魔法使いなんていなかったんだ。
小さい頃、ママとパパが生きてたときよく読んで
よく童話の読み聞かせてくれた。その中であっしのオキニはシンデレラだった。
舞踏会に出れなくて泣いていたシンデレラ。
でも泣いていた彼女には魔法使いがいた。
でもあっしは?
泣いていても誰も助けてくれない。
佐久間っちは助けてくれたけど嘘を、ひどい嘘をついた。
涼風さんはあっしの話を聞いてくれなかった。
自分から動いた。でも結果は散々。
なんでうまく行かないの?
__あっしは、ただ‥‥‥、楽になりたいだけなのに。
最後までお読みいただきありがとうございます。黄瀬さん編クライマックスまであと少し‥‥‥?だと思います。王雅さんと妹ちゃん出てきたので。
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