馬鹿な俺にはわからなかった、その傷は。
引き続きありがとうございます。シリアス回です。シリアスシリアス。
「「「「‥‥‥。」」」」
ヤバい‥‥‥。気まずい‥‥‥。
キョロキョロと辺りを見ながら落ち着きなく不安そうな黄瀬さんの妹さんが俺の斜めにある椅子に座っていた。
逆にそんな様子を落ち着いて見ている我が妹、碧音は俺の隣に、そんな全員の様子を足を組みながら眺める性悪女、日夏は俺の前に座った。
つまり、俺は年下の女の子に囲まれているわけだ。
‥‥‥何を話せばいいんだ!?
「え、えっと、黄瀬さんの妹さん?どうしてここに?」
「ひーちゃん先輩が呼んだんです。でも、まさかあおちゃん先輩のお家なんて知らなくて‥‥‥。」
ひーちゃん先輩‥‥‥、日夏か。確かにアイツが呼んだってさっきも言ってたもんな。
それにさも俺の家をアイツの家のように言っていたもんな。あんな口調で言われたらそりゃ勘違いもするだろ。バカ日夏。
「それにしても碧音って”あおちゃん先輩”って呼ばれているのか。なんかちょっと可愛いな。」
言葉の感じから碧音のことだろう。”あおちゃん先輩”っていうのは。
「そうそう〜。ひーちゃんがつけたんだよ?可愛くないですか?お兄さん!」
「お前のことを認めるのは癪だが、確かに可愛いな。」
「‥‥‥ん。おきに。」
自分のあだ名を褒められて心なしか嬉しそうな妹を見てほっこりした。精神安定剤だ。精神が安定する‥‥‥!!精神が安定するってどういう意味だよ‥‥‥、俺‥‥‥。
いや、大丈夫だ!!俺!!何が大丈夫かは知らんが!!
‥‥‥俺、疲れているのかも知れない。
「あの、やっぱりあなたは‥‥‥、あおちゃん先輩のお兄さん、なんですか‥‥‥?」
「ああ。そうだ。高1だ。」
そう答えると、静かにいた彼女は堰を切ったかのように勢いよく話し始めた。
「高1!!お姉ちゃんと同じ学年!!それに千陽のこと、『黄瀬さんの妹』っておっしゃったってことはやっぱり!!姉の知り合いなんですね。そうなんですよね!千陽のこと、脅しに来たんですか!?お姉ちゃんに言われて!!」
「え。」
「きっとそうだ!お姉ちゃんが!!ついに!!千陽のこと!!いらないって!!あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「!?」
いきなり発狂しだした黄瀬さんの妹さんが暴れ出すまで時間はかからなかった。
******
「碧音。ちょっとお兄さんと話したいからちょっと席を外してくれない?」
「‥‥‥いや。」
「お願い。」
「__ん‥‥‥。」
黄瀬さんの妹が落ち着き、疲れて眠った後、日夏はそういった。
碧音は納得がいっていなかったようだが珍しく日夏が頭を下げて真剣に懇願している様子に『しょうがないな‥‥‥。』みたいな表情を微かに浮かべて自分の部屋へ去った。
「お兄さん‥‥‥、知っているんでしょ?」
「何をだ?」
「黄瀬ちゃんが家庭内暴力を受けていたの。」
「!?」
なんで、それを‥‥‥。
唖然とした俺を見て、黄瀬さんの妹さんが暴れだしてから固かった表情を少しだけ和らげた。
「だって、お兄さん。嘘つくの下手ですよ。あんな反応されたら‥‥‥、誰だって感づくものがありますよ。心当たりがあればもっと。」
あんな反応‥‥‥、そう言われて思い出すのは黄瀬さんの妹さんの話を聞き出そうとしたとき、目的を問われたことて嘘をついたことだ。
嘘をつくのが下手と言われたことには‥‥‥、苦笑するしかない。
「いきなり碧音からお兄さんから黄瀬ちゃんの話を聞きたいと言われたときから、分かってはいました。きっとこのことを知ったんだって。」
「‥‥‥いつから知っていたんだ?」
「そうですね‥‥‥。黄瀬ちゃんが入学してすぐ、ですかね。元々交流があったし話しやすかったんだと思います。お兄さんは何で?」
なんだ、最初っから知っていたのかよ‥‥‥。
そう思うと少しホッとした。
俺がバラしたわけじゃないならよかった。
「お前にも言ったように相談を受けたんだよ。お前らの後輩の黄瀬さんのお姉さんに。『妹が虐待を受けている』って。」
「『受けている』?その人は本当にそう言ったのですか?」
「ああ。」
「お兄さん、ちょっとこちらに来てください。どうやらお兄さんは勘違いをしているようです。」
「勘違い‥‥‥?って、ちょっ!!おまっ!何して!!」
それだけ言った日夏はなんと眠っている黄瀬さんの妹さんの服をガバッと勝手に胸のあたりまで一気にめくったのだ。
「静かにしてください。‥‥‥これで、わかりますか?」
「ひどいな‥‥‥。傷‥‥‥。」
痛々しい傷ばっかりだ。
青いものや肌が爛れてしまっているもの、深く傷つけられてしまっているものなどたくさんある。
「バカですか?お兄さん。」
「は?いや、以外思うことなんて‥‥‥。」
いつものおどけてバカにする感じではなく心底思っているような口調にちょっと悲しくなりながらその傷をもう一度見た。
__あまり許可なく見たくない‥‥‥。
これが同級生ぐらいの女の子で寝ている理由がお昼寝で、めくっている理由がイタズラならこの状況を楽しんだ‥‥‥、かもかもかも知れない。
だが、相手は妹よりも年下で発狂した結果がこれだし、めくっている理由が激重という絶対に楽しめないしなんなら罪悪感しかわかないのだが‥‥‥。
‥‥‥ん?
おいおい‥‥‥、俺はバカかよ!!
「おい。日夏。どういうことだよ。これ。」
「‥‥‥わかりましたか?お馬鹿なお兄さん。」
「うっ、TAKE2を求めるわ、じゃなくてだな!!この傷‥‥。」
もう治りかけている‥‥‥。新しい傷がない!!
__黄瀬千陽は虐待をもう受けていない!!
最後までお読みいただきありがとうございます。今回はシリアス回でした。ここで何か一言言おうと思っていましたが、ネタバレしそうで怖くてできませんでした。え‥‥‥、言わなきゃダメかな‥‥‥?じゃあ!!あえて一言!!サービス回を書きたい!!え‥‥‥?違う‥‥‥?マジの一言‥‥‥?う〜ん。あ!!黄瀬さんギャルキャラなのにほぼ露出がないんですよ!!書きます!!書きたいです!!書こう!!(強制終了)
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