無表情な妹は冗談がすぎる。‥‥‥マジで。(あと妹の友達コワイ。)
引き続きありがとうございます。
__翌日。休日であるため、俺はリビングのソファーでたそがれていた。
「‥‥‥。」
『忘れて。』
『『涼桃』グループの内輪争いとかそーゆーことだから。一般人のイケメン君には関係ないから。だから‥‥‥、ね?』
「俺は‥‥‥。」
どうすればいいんだ‥‥‥。
昨日言われたことが頭にずっと残って仕方がない。
あのあと、黄瀬さんが『もういいよ。ありがとう』って言って、その後目も合わせてくれなくなった。やっぱりギクシャクするよな‥‥‥。
お陰で一緒に帰ったとき愛華にも『‥‥‥何かあったの?』って聞かれたし。絶対に黄瀬さんのことだ。
‥‥‥俺はどうすればいいんだ?
もともと俺に関係することでは、ない。このまま忘れればいい。
虐待なんてもともと俺に手の負えないことが更に増えただけだ。たいそれたことなんてできない俺が関わった事自体間違いなんだ。
でも、胸のつっかえがあるような‥‥‥。
そのとき、髪を軽く結った少女の顔面がいきなり俺の眼の前に現れた。
「うわあっ!」
「‥‥‥おにい?」
「あ、すまん。碧音か‥‥‥。部活は終わったのか?」
「ん。‥‥‥おわった。ごぜんのみ。」
その少女は一切表情を変えることなく言った。
佐久間 碧音。
俺の妹だ。中学2年生ながら大人びていて、我が妹ながらなかなかに美人さん。
無表情なとこもあるがいいやつだ。
ただ、ラノベとかと違って血の繋がりがあるから、あれやこれやなんて流石に考えられない。
物心がつく頃からずっと隣にいることが記憶に残っているんだ。そんなこと、考えられるわけがない。
「‥‥‥おにい、は?」
「ん?俺の部活をどうするかって?ああ‥‥‥、一応俺も入ったんだ。」
これは本当だ。
入学して一週間ぐらい経ったときに面白そうな部活に強制的に‥‥‥、イエ、自分カラ入リマシタ。ハイ‥‥‥。
まあ、個性的な先輩が二人ほどいる弱小部だ。自分の好きなときに活動すればいいと自由度が高いし、楽しい。
「よかった‥‥‥。おにいは、もう『手遅れ、間に合わない』って‥‥‥、ひーちゃんが‥‥‥。」
「ひーちゃんって、日夏のことか。アイツマジで俺のこと嫌いすぎるだろ‥‥‥。俺のこと何だって思っているんだ?アイツ‥‥‥。」
日夏は碧音のクラスメイトで碧音の小学校からの友達だ。時々家に来るのだが、なかなか毒舌と言うか、なんというか‥‥‥。
「ひーちゃん‥‥‥、ちがう。」
「え?日夏が俺のこと嫌いじゃないって?そんなバカな。アイツが俺のこときらいじゃなかったら、もっと世界が俺の世界が平和に鳴っていたはずだ。」
会ったら俺のことをあざ笑い、おびただしい量のいじりを耳にタコができるほど繰り返すのだ。
これのどこが俺のことを嫌ってないと?好きだと?
「ひーちゃん‥‥‥、すなお、じゃない。」
「アイツほど俺への悪意に素直なやつはいない、と反論したいがそれはいい。ところでどうした?珍しいな話しかけてくるなんて。」
別に兄弟仲は悪いほうじゃないが、碧音は無口なため滅多に俺に話しかけてこないのだ。大体は俺から話しかける。
「ん。おにい‥‥‥、げんき、ない。」
「ああ。心配してくれているのか。ありが、」
「おんなのこ‥‥‥、ふられた?」
「ぶっ!!!違う!!!」
「うそ‥‥‥、よくない。」
「嘘じゃないって!マジで!!」
「そう‥‥‥。おにい‥‥‥、てひどく‥‥‥。おんなのこ‥‥‥。‥‥‥きずごころ。」
「だから振られるところから離れてくれよ!どんだけ女の子に振られてほしいんだ!?妹!!」
「‥‥‥? ちがう‥‥‥?」
心底不思議そうにコテンと首をかしげながらいう妹に俺は思い出す。
そうだった‥‥‥。
高校デビューするときに本を読んで勉強したはいいものの、実際の話し方が分からなかったから練習するために碧音に手伝ってもらったんだっけ‥‥‥。
そのときのアドバイスとして
『ん。おにい‥‥‥、はなさないで。じゃなかった‥‥‥。はなさないほうが、ぐっじょぶ。』
だった。
つまり俺の話術がダメダメだと我が妹は気づき、思ったのだろう!!きっと!!
(あ、この人もてねー。)
と!!絶対に!!今の感じがそれを物語っている!!
「んん‥‥‥?ちが、う‥‥‥?‥‥‥おにい、ならなんで?」
「なんでって‥‥‥、なにがだ?」
「いつもより‥‥‥、きも、あ‥‥‥。」
「おい!今キモいって言おうとしているだろ!?なあ!?お前喧嘩売るために話しかけてきたのかよ!?」
思わず言っちゃった‥‥‥、みたいな碧音に少しキレてしまう。
「まあいい。どうせ冗談なんだろ?」
俺は碧音のお兄ちゃんだからな‥‥‥。マジでは受け取らんぞ。こいつはたまに笑えない冗談を言う時がある。
今回もそうだろう‥‥‥。きっと。頼む!そうであってくれ!!
「それは‥‥‥。それよりも。おにい。」
我が妹様が話を変えやがったせいで冗談か本当かわからなくなってしまった。ど畜生。
「なんか‥‥‥、‥‥‥なやんで、る?」
「え?ああ‥‥‥。少し、な。」
碧音の登場で脳内がツッコミで占められていたが、碧音の言葉で黄瀬さんのことを思い出す。
「なあ、碧音。例え話なんだがもし碧音が自分の手に負えないような大きな壁に困っているような人がいたら‥‥‥。どうする?」
「‥‥‥めんどくさいっておもう。かってにしやがれ。」
‥‥‥俺、言葉遣い直そっかな。
遠い目をした俺に向けて、碧音の顔を彩る唇から少し舌がでる。
「うそ。」
「お前‥‥‥、さっき嘘はよくないって言ってなかったか?」
「ん‥‥‥?おにい、つかれてる‥‥‥。」
うわー、こいつ誤魔化しやがった‥‥‥。テヘペロして誤魔化した‥‥‥。テヘペロで許されるほど世の中そんなに甘くないんだぞ‥‥‥?
まあ、俺は許さんことも無いのだがな!!テヘペロッ!!
「で?どうなんだ?」
「‥‥‥まず、いっしょに、なやむ。」
「悩んでも解決方法が出なかったら?」
「‥‥‥かべを、しらべる。あつさ、とか、じゃくてん、とか。」
「そんで?」
「かべに‥‥‥、あうほうほう、さがす。」
「そうか‥‥‥。」
壁を、調べる。壁に合った方法を考える。
じゃあ、その『壁』って何なんだ?
涼風の家?派閥争い?
「‥‥‥おにい?」
急に黙り込んだ俺を見て俺のほっぺたをツンツンする妹を見て思った。
これは元々黄瀬さんの妹の話だ。
壁は、『妹』なのではないのか‥‥‥。
って俺は何を考えているんだ?解決方法だなんて‥‥‥。
涼風が言ったんだ。
『妹さんの安全は確保されているから大丈夫ってこと。』
って。大丈夫だ。
でも、気がつけば俺の口は勝手に話していた。
「なあ、碧音。知り合いに『黄瀬』って名字の人、いたりしないか‥‥‥?」
いるわけがない。
碧音の知り合いに黄瀬さんの妹がいるなんて‥‥‥、そんな偶然があるわけ‥‥‥。
「‥‥‥黄瀬?‥‥‥いる。」
「本当か!?」
え!?マジで!?
「ひーちゃんのこーはい。」
「しかも日夏の後輩!?ちなみに家族構成とかってご存知ですか‥‥‥?碧音様‥‥‥。」
「え‥‥‥。め、つけたの‥‥‥?ちゅーいちの、おんなのこに‥‥‥?いもうとより‥‥‥、としした‥‥‥。」
その言葉に碧音がドン引きしているのが分かった。
顔はあいも変わらずと言ったところだが、少しずつ物理的かつ心理的な距離を置かれているのが分かる。
‥‥‥いや待ってくれ!!年下には興味ない!!
「違う!?違うんだ!!碧音!!」
「‥‥‥へん、たい。」
「俺はロリコンじゃない!!」
だが、黄瀬さんが中学の時に妹さんは小学生って言っていた。
黄瀬さんが高校生なのを考えれば、中1なら十分に黄瀬さんの妹の可能性が出てくる。
‥‥‥話を、聞いてみなければ。
だが、問題は‥‥‥。
「‥‥‥ひーちゃんに、いう。」
「やめてくれ!!日夏にだけは勘弁を!!」
「‥‥‥でも、ひーちゃんしか、れんらくさき‥‥‥。」
「うわああああああ!!そうだった最悪だあ!!!」
「‥‥‥ひっし。やっぱり‥‥‥、へんたい。」
「だから何でそうなるう!?」
黄瀬さんの妹にたどり着くまでが大変すぎる。
最後までお読みいただきありがとうございます。
むこうみず太郎は自分のあとがきの長さを自覚して短くすることに決めました!省エネです!!
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高評価ありがとうございました!月並みな感想ですが、とても嬉しかったです!書いているときこれを見て頑張ろ!って気合が入ります。
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