ハグとはなにか誰か教えてほしい(真剣)。
引き続きありがとうございます。
「義兄にとっては『そんなこと』じゃないの。『黄瀬』が『涼風』に仕えた結果がこのザマよ。さて‥‥‥、分かったかな?どうして佐久間っちに頼りたくなかったのか。」
「ああ。」
黄瀬さんが部外者である俺に下手に事情を明かして、副会長がもしそれを知ったら、副会長は協力関係にあるヤンキーどもに俺を‥‥‥。
だから黄瀬さんは言いたくなかったんだ。
俺のために。
「まあ、身から出た錆というのは違うけど、身内から出たボロだから。」
と、苦笑する彼女に一つ、疑問を抱いた。
「じゃあ、なんで逆に土下座をしてまで俺にすがったんだ?」
巻き込みたくないと思いつつ巻き込んでしまうって‥‥‥、もしかしたら一番ひどいかもしれない。
何も考えない無知よりも、一人で挑む蛮勇よりも。
どうして彼女はそんなことをしたのだろうか?
「本当は巻き込みたくなかったの。でも、佐久間っちならうまくいくかも知れないって思って。」
「どういうことだ?」
「涼風さんと、仲いいんだよね?」
「まあ、悪くは無いんじゃないのか?」
俺も緊張せず話せるからな。涼風とは。
「だからだよ。『黄瀬』の上に立つ『涼風』の力がほしい。そのための橋になってほしいの。佐久間っちには。」
「‥‥‥なるほど。」
確かに涼風は『涼桃グループ』の令嬢らしいから力を貸してもらえば、『黄瀬』至上らしい副会長もきっと言うことを聞くはず!!
だから涼風の友人である俺を伝って‥‥‥、うん?
「なんで涼風とか生徒会長とかに直接言わないんだ?」
「今はこんな倉庫で話しているからバレっこないけど、下手に涼風さんとか生徒会長とかに話してコソコソ企んでいるのがバレたら、あっし義兄に殺されちゃうよ‥‥‥。お願い‥‥‥、佐久間っち。どうか、妹を‥‥‥。」
「‥‥‥。」
今までの話からして黄瀬さんの言うことに間違いないだろう。
にしても‥‥‥、色々と聞きすぎたかもしれない。黄瀬さんには悪いことをしてしまった。
そう思わせるほど彼女の体はいつの間にか小刻みに震えていた。
話せば話すほど自分の置かれている現実に絶望してしまうのだろう‥‥‥。
俺にもあったからわかる。
あの、どうしようもない、真っ暗な世界を。
「黄瀬さん、言ってくれてありがとう。もういいから。生徒会長とは知り合いじゃなくて無理だけどちゃんと涼風には俺が言っておいておく。‥‥‥絶対に妹さんを助よう。」
「佐久間っち‥‥‥、ありがとう‥‥‥。」
俺は立ち上がって、黄瀬さんに手を伸ばした。彼女はその手をしっかりと握って立ち上がろうとする。
しかし立ち上がる拍子に勢い余ったのか黄瀬さんが俺の方によしかかってしまう。
「あ、ごめん。‥‥‥んん!?」
すぐに離れようとしたが、それは叶わなかった。
彼女が俺の背中に手を回して顔を俺に押し付けた。。
「ちょ、黄瀬さ、」
「何も、言わないで。」
特段大きな声でもなかったのにその声を聞くだけで何も言えなくなった。
彼女がどう思っているかは抱きしめられていることにより顔がわからなかったため不明だ。
一方俺はというと柔らかな感触に心臓が大暴れだし、自分の身体全体が熱くなるのがわかる。
くっ!!どうせDTだよ!!悪いか!!
紳士だから、もうちょっと堪能‥‥‥、じゃなくて!!早く離れたかった俺だが先程同様、黄瀬さんから振動を感じ俺は突き放せずにいた。(本当だからな!!堪能したいとか思ってないからな!!)
だが、このままでは‥‥‥、俺が危ない!!黄瀬さんに狼してしまう!!
かくなるうえは!!
__3.1415926535‥‥‥。
‥‥‥円周率を考えた。
駄目だ!!この先がわからん!!
え、あと何がある!?
えっと‥‥‥、この間言っていた保健室の育緑先生のバストは、って違うんだよ!!バカ!!こんなときにそれ考えたらバカだろ!!ああ、バカだよ!!ど畜生!!
落ち着け‥‥‥。なにか別のことを考えよう。
それにしても、黄瀬さん意外と着痩せするタイプなのか‥‥‥、じゃねえよ!!
ええっと、そうだ!!深呼吸!!
吸って‥‥‥、吐いて‥‥‥、吸ったら黄瀬さんのいい匂いがああああ!?!?
やべえ!!何しても地雷じゃねえかよ!!
「ありがとう‥‥‥。本当に、これでやっと開放される。」
「き、きききききき黄瀬さん!?もういいの、カナ!?」
ぼそりと何かを呟いた黄瀬さんの声に思わず声を出す!
もう色々と限界なので離してほしい!!
*****
その後俺の反応を面白がった黄瀬さんが
『あは♪佐久間っちオモロッ!』
とさっきまでとは違ういつもの『ヒャッホーイ☆』な口調に戻りながら離してくれなかった‥‥‥。
ようやく離れることを許された俺は、俺は‥‥‥、口から魂を吐いた。
しょうがないだろ‥‥‥、これは‥‥‥。
倉庫の中に抱きしめあった男女二人って‥‥‥、黄瀬さんは何を考えているんだよ‥‥‥。
襲われても文句は言えないぞ!?これ!!
まあ、そんなこんなで倉庫から出た俺は奇跡的に先生に見つかることなく、しらーっと授業に戻った。
『保健室に行っていました。』と告げたからだろう。特に追求もなかった。
黄瀬さんは体調が悪かったことにして、『治ったから佐久間っちと戻ってきましたあー☆』と言っていた。
‥‥‥嘘つくのうますぎだろ。
まあ、なんやかんやで無事‥‥‥、無事‥‥‥。
うん。俺に『なんでお前があの美少女黄瀬さんといる!?』という不幸の手紙と愛華のファンから危険物が若干きたが、無事に昼休みまでを過ごすことになった。
よかったよかった‥‥‥、よかったのか?
__そして昼休み。
「黄瀬さん、今から涼風のところに行く。」
「‥‥‥うん。あっしも行く。」
「‥‥‥大丈夫なのか?」
「‥‥‥な〜に言ってるの?佐久間っち?」
「‥‥‥そうか。」
強がりなのは見てわかるが‥‥‥、俺は何も言わないでおいた。
こうして俺たちは黄瀬さんとともに涼風のところに行き‥‥‥。
「だが断る。」
涼風に笑顔で協力を拒否された。
‥‥‥は?
最後までお読みいただきありがとうございます!!
今回はシリアスです。
断じてシリアスです。
ハグシーンなんかは確実にシリアスです。はい。
【宣伝】
評価&ブックマーク、大変嬉しかったです!!ありがとうございます!!お陰様でがんばれました!!
ブックマークをされると喜んで執筆スピードが早くなります。
評価をされると嬉しみで投稿スピードが早くなります。
【ツイッター】
いいね、リツイートありがとうございます。毎日ありがたみを感じています。
☆つぎのこうしんおくれます




