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初恋の女の子が逆ハーを形成しながら俺に迫ってくるのは何で!?  作者: むこうみず太郎
第二部 人畜無害系ギャルさん。
28/42

『黄瀬』と『涼風』

引き続きありがとうございます。続シリアス回〜黄瀬さんを添えて〜。

「『涼風』って‥‥‥。」



脳裏に思い浮かんだのは、ニヤリと笑う一人称『僕』の庶民派お嬢様だった。




「生徒会長が御曹司で、一年E組の涼風桃さんが直系のご令嬢。多分佐久間っちが思い浮かべたのってお嬢様の方じゃない?今日の朝、教室で会ってたじゃない。」


「ああ。やっぱりそうなんだ。」




‥‥‥”うちは大きな会社をいくつも持っているからね。”




天乃‥‥‥、の二重人格のクロと涼風の従兄弟に出会う前、涼風は確かにそう言っていた。


ってことは『涼桃グループ』は涼風のうちのことってことか?




‥‥‥”風上(かざかみ) とうむ。一応、うち一族の御曹司?ってやつでうちの学校の生徒会長。”


ああ、言ってたな‥‥‥。涼風。




っていうか、ほぼ初対面だったのによくあそこまで俺に話したな。涼風は‥‥‥。ってそんなことはどうでもいいんだ!!





「黄瀬さんの家が側近‥‥‥、ってやつ?ってどういうこと?」



「『涼風』の家にあっしのご先祖様が忠誠を誓ったのが始まりらしくて、それから『黄瀬』は役割を変えながら『涼風』のサポートをずっとしてきたらしいの。

そして、現在の『黄瀬』の役割は『涼風』の味方として『涼桃グループ』の重役として重用されてきた、そうよ。

その証拠にパパが生きていたときは、会社の中で偉い人で有能だったってママが言ってたもの!」




「‥‥‥。」


「聞いてる?」




静かに佇む俺に何故かジト目をする彼女に歯をキラリと輝かせる。




まったく‥‥‥、ちゃんと聞いてないと思われているなんて心外だ。


ここは一つ威厳のある言葉を!



「勿論!聞いて()()いるよ!」


「‥‥‥。」



その絶対零度の視線に俺は、







「マジでスミマセン!!」





いや、深く考えることを放棄しているだけで内容は理解できている。




『黄瀬』は『涼風』に仕える立場で、だから黄瀬さんのパパンも会社でお偉いさんしてたってこと、だよな‥‥‥。


そんぐらいは誰でもわかるけどな‥‥‥。




「ただ、いつの時代の話かな〜って。」




今は令和なのだ。


なのに身分を感じさせるような『忠誠』とか『役割』とかついていけない!!



__令和っ子舐めんな!!




ということを説明すると、黄瀬さんが俺がボケーっとしていた理由に納得がいったらしい。





「なるほどね。でも今はそんなことを考えている場合じゃないの。しっかりしてよ、佐久間っち。」


「あ、はい‥‥‥。ごめんなさい。」




黄瀬さんにしたらふざけるなって感じなんだろうな‥‥‥。


黄瀬さんにしたら妹さんの身の安全がかかっているのだ。



黄瀬さんの置かれている前時代的な考えよりも優先しなければならないことがあったのに、こんなことを考えている自分が恥ずかしくなった。






バカバカバカ‥‥‥。俺のバカッ‥‥‥!!


‥‥‥言っては何だけど、これ、俺が言って需要はあるのか?





「まあなんとなくは理解できているみたいだし、続けるね。」


「あ、はい。」



「今、『黄瀬』の一族が『桃風グループ』の重役に一人といていないの。理由は、簡単‥‥‥。パパがい

なくなって後継者がいないから。このことで今『黄瀬』に力がないの。」




なるほどなるほど‥‥‥?


重要な役割に就いている人がいないから黄瀬さんの家には力がない、と。




「パパの跡を従兄弟の義兄かあっしが掴みとる予定だったの。でもパパが死んだときは義兄やあっしは中高生。当然会社に入れない。重役を継ぐためためには完璧までとはいかなくてもある程度の完成は必要だから。最低でも大学に入らなくちゃいけないし‥‥‥。」



「大変だね‥‥‥。」




そんな大変なことしないといけないなんて。



まあどこの会社もそんなものなんだろうな‥‥‥。


勉強して、いい大学入ったら出世するって感じは。





「力がなくなったことで重役に継げる可能性が低くなったの。代々仕えてもこのざまよ。」


「‥‥‥。」


「そこで義兄は考えたのだと思う。『黄瀬』を没落させないことを。」


「没落‥‥・。」




確かに今までの関係性はなくなり、忠誠を誓った黄瀬さんの家のメンツはなくなる。



メンツがなくなるだけで本当に没落はしないだろう。


だが黄瀬さんの一族にとってはそれこそが『没落』なのだろう。




「その結果、この辺を仕切る裏と強いつながりを持つヤンキーと手を組むことにしたの。」


「は!?」


「権力を手に入れ保つためには‥‥‥、表向きだけの力では成り立たないの。わかるでしょ。」


「嫌な話だがな‥‥‥。」





大企業の賄賂に関するニュースがテレビなんかで報道されているから偉い人に黒いことがあるのは理不尽に想いつつ理解はしていた。


だが、こうやって俺らと同じ学生がしているとは‥‥‥、世も末だな。





「『暴力』という力を手に入れた義兄はその力を黄瀬一族のために使っていて‥‥‥。そのお陰で今は『黄瀬』の力が保たれているの。」



「それが‥‥‥、どうしてお義兄さんが黄瀬さんの妹の虐待をやめさせることをさせてくれない理由になるんだ?」



「今までの話からわかるように、義兄は『黄瀬』の勢力を保ち、『黄瀬』一族の繁栄することを願っているの。何故ならそれが自分の繁栄につながるから。そして‥‥‥、それに妨げになるものは絶対に許さない。だから‥‥‥。」





妨げ‥‥‥。





「つまり黄瀬さんのお義母さんの虐待は『黄瀬』一族の妨げだってことか?」


「‥‥‥そうなの。もしそれが世の中に明かされたとき、『黄瀬』は、特に私達一家は一体どんな目で見られるかな‥‥‥?」




でも、だからといって虐待を放置するのか?義妹を?


一人の妹を持つ兄として信じられない。




「義兄にとっては『黄瀬』の誇りを守ることが一番なの。家族でもきっと容赦はしないでしょう。

 もしあっしが『妹が義母に虐待されています』って児童相談所に通報したら、きっと噂になるだろうし‥‥‥。もしかしたら学校にも噂が広がるかも知れない。

それは『黄瀬』の名を汚すことになると義兄は判断するでしょうね。そうなる前にあっしや妹‥‥‥、運が悪ければ義母は、義兄と協力関係のあるヤンキーに何されるか分かんない。義兄は『黄瀬』のためならなんでもする。

もしこの噂を無くす方法があるなら、元凶を消すのが一番、でしょ?」





「そんな、ことのために‥‥‥。」


こんにちは。最後までお読みいただきありがとうございます。シリアス回‥‥‥、黄瀬さん頑張ってくれ!!


今回は2話連続投稿しようと思います!お楽しみに!

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