愛されること。泣きたいこと。
引き続きありがとうございます。シリアス回です。
「ぎゃ、虐待?」
土下座から体操座りに座り直す彼女から出た言葉に戸惑う。
確かに驚いた。
クラスメイトの妹が虐待を受けているという事実に。
だが、最悪命を落としかねない、って感じを出していた黄瀬さんの感じに違和感を覚えてしまう。俺が死を覚悟するまで‥‥‥、のことなのか?
今は令和だし、児童相談所に行けばいいだけの話じゃないのか?
ただ、思ったのは。
「黄瀬さんは‥‥‥、大丈夫、なの?その‥‥‥、義理のお母さんからの‥‥‥。」
「‥‥‥。うん。平気。」
微笑む彼女に納得する。
高校生だし力は黄瀬さんのほうが強くなるだろうし殴られはしないか。
「あっしの話‥‥‥、聞いてもらってもいい?」
「うん。」
というか話を聞かない限り、対処方法がわからん。
対処間違えて黄瀬さんの妹さん死んじゃいました〜、なんて笑えないしな。
俺は黄瀬さんの隣に腰掛けて話を聞くことにした。
「あっしと妹はママとパパ。二人に愛されて育ってきたの。‥‥‥あっしが中2のときまえでは。」
「何が‥‥‥。」
俺も愛されて、きた。そう思う。
確かに母さんに嫌いな食べ物を大量に出されたり、父さんに俺の寝顔を勝手に撮って俺の部屋一面に貼られたり、妹に俺の本棚から勝手にアレな本をもってたりしていたが、それでも母さんと離婚した父さん、妹に愛されてい‥‥‥、たのか!?これ!!
むしろ嫌がらせされていないか!?
‥‥‥ていうのも愛情表現で本当に愛して、くれていたんだろうな。
彼女も彼女の妹もこんな暖かな家庭だったはずなのに、なんでそんな虐待なんて。
「パパとママ、二人で買い物してきたときに‥‥‥、事故に、あっちゃって。それでっ‥‥‥!!」
震える言葉を打ち切ってしまって俯く彼女の心情を黙って推し量る。
父さんと母さんが‥‥‥、いなくなる。
二人共イラッとする悪戯をよく仕掛けるが、それでもいきなりいなくなったらどうなんだろう。
二人が離婚すると知ったときのように驚くのだろうか。
二人がいなくなったと寂しくなるのだろうか。
それとも‥‥‥。
「天涯孤独になったときに、パパの姉の伯母さんが引き取ることになって。」
「他の親戚の人は?」
「ママの方の親戚は連絡先が分かんない。パパの方の親戚はたくさんいるはずなんだけど遠縁の人しかいなくて近縁の人が伯母さんだけで‥‥‥。
それで‥‥‥、引き取らなきゃ外聞が悪かったらしくて伯母さんが引き取ることになったの。そして私達は家族となって、伯母さんが義理のお母さんになったの。」
「‥‥‥なるほど。」
「そしたら弱い人を苛めたいのか、中学生の私じゃなくて小学生の妹に育児放棄は勿論、暴言を吐いたり、殴ったり‥‥‥。機嫌が悪いときには酒瓶を割ったりして‥‥‥。
庇えるものは庇っているけど『追い出す』とか言われたら反抗できないし、こんなのが続いているからもう、妹が‥‥‥。」
それはもう、メンタルがボロボロになるだろ‥‥‥。
酷すぎる‥‥‥。
俺の妹が同じ目に遭ったとしたらなんて考えるだけでもゾッとする。
自分でも感情の入り過ぎは承知していながらも妹の顔が頭に浮かんで叫んでしまう。
「何で児童相談所に行かないんだ!?黄瀬さんもこのままじゃいけないってわかっているんだよね?」
「そんなの分かっているよ!!あんな家、妹に早く出ていってほしい!!でも、駄目なの‥‥‥。だめなのぉ‥‥‥。」
その目からポロポロと涙を流す黄瀬さんに俺は『伯母さん』とやらをぶん殴りたい気持ちになった。
拳が疼くぜ‥‥‥。
にしても、
「何で駄目なんだ?」
黄瀬さんだってこういう問題には行政が入る方がいいに決まっていることは分かっているはずなのに。
「義兄が、いるから。あっしの二つ上の。」
「義兄って、黄瀬さんの性悪伯母さんの実の息子?」
「うん。黄瀬 王雅。この学校の副会長。佐久間っちも見たでしょ?『アイツ』だよ。屋上であっしといた『アイツ』。」
「ああ。あの『アイツ』。」
黄瀬さんと一緒にいた男の正体がずっと気になっていたから知れて満足ではある。
‥‥‥が。
「副会長が?児童相談所への通報を邪魔する?」
聞き間違いだよな?
まさかこの学校の代表といえる地位に就いている副会長が義妹とはいえ、虐待を見逃すなんて‥‥‥。ハハッ。まさか。
「‥‥‥なの。」
「え?なんて?」
「そうなの。黄瀬 王雅。私の従姉妹で義兄でこの学校の副会長は‥‥‥、義妹である私の妹への虐待を見逃しているの。故意に。」
「‥‥‥は?」
はあああああああああああ!?
何なんだよ!!この学校!!
この間、涼風の従兄弟である会長はなんか情けないし!
その上副会長は実の母親から受けている義妹を見捨ててるって‥‥‥。
それはない。マジない。
この学校の生徒会どうなっているんだよ‥‥‥!!
ん?あれ?
「ソイツがいるから軽々しく児童相談所に行けないってこと、だよな?」
少なくとも今までの会話を考えるとそうなる。
「どういうことだ?」
なんで見逃すだけでも飽き足らず妨害まで‥‥‥?
「‥‥‥それには、あっしの『家』の説明をしなきゃいけないの。」
そういうと、彼女は口を開いた。
「『黄瀬』は代々、『涼風』の側近なの。ひいては『桃風グループ』の。これが、今の『黄瀬』を狂わしているの。」
そういう彼女は、虚空を睨んだ。
最期までお読みいただきありがとうございます。そして申し訳ありませんでした。本当はもっとここ短いはずなのに書き直しても長くなってしまうんです!!
おかしい!!この小説は美少女&コメディ&愛華というワイワイする小説のはずなのに!!というわけなので、多分あと少しすればギャグ回に入る‥‥‥!ハズ!!(違ったらどしよ‥‥‥。)(いや、いける!!)(とかいうのがお前の悪いクセだ!!むこうみず太郎!!)
ですので引き続きよろしくお願いします!
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それでは良いお年を!!来年も『初恋の女の子が逆ハーを形成しながら俺に迫ってくるのは何で!?』よろしくおねがいします!!




