side桃 一人の『計画』の支配者
引き続きありがとうございます。
side桃久々で緊張する‥‥‥。(っていうか、やっぱり桃の話は重くなる。)
〜涼風 桃〜
今日も彼__、遅刻したイケメン君と接触した。
彼自信は気づいていないようだが、皆の目線を独り占めする彼といることで自分の存在感が目立つ。
これが狙いで彼や同じく目立つ愛華と接触しているがなかなかどうして、こんなにうまく行ってしまうのだろう?
性格のいいイケメン君や優等生の愛華といることは『涼風 桃』へのいい印象を与えているらしい。
本当は別のメリットから近づいたのだが。
「ああ‥‥‥、もう‥‥‥。」
ものにしてしまいたい。自分の操り人形にしてしまいたい。
あまりにも完璧すぎるそれらにそんな歪んだ感情が湧き上がってくる。
でも、イケメン君に対してはなんの代償もなしには出来ない。
そのことがわかっているからからかう程度で抑えている。
『何で?』、そう言われたら、
「私はあなたを許さない。」
そう昏い目で現在僕に言う、彼女__、白雪 愛華を引き合いにだすだろう。
あはは‥‥‥。
ちょっとイケメン君にチョコをあげようと思っただけなのに、ここまで過剰な反応を起こすなんて。調べたところ小中学校とずっと優等生の愛華が、会ったのは少しとはいえ、かなり親密度があるはずの僕を叩くなんて。
やっぱり彼女はイケメン君に依存している。出会った当初からなんとなくそんな気がした。彼へ向ける目がただの愛情ではないのだ。
だから彼を自分のものにできなかった。
僕が今から起こそうと思っている『計画』の邪魔を彼女にされたらたまったものではないし、そもそも彼女の協力がなければこの『計画』は面倒なことになるからだ。
イケメン君にかつて語った『イケメン君を下僕にしない理由』のもう一つの理由ははここにある。
だから、ね。
「説明させてほしいな。愛華。」
「そんなのいらない!!早く健の視線から外れてよ。邪魔なの、邪魔!!健の視線は私だけのもので!!」
こんないい機会、逃さない。いや逃せない。
イケメン君を保健室に追いやって、誰もいないところで彼女とふたりきり。かつ彼女が錯乱して理性を失っている今が最高の状態だ。自分に有利に交渉を進められる。
「ねえ、愛華。もし‥‥‥。もしイケメン君を独り占めできたら‥‥‥、どうする?」
「そんなの、あんたに関係ないでしょ!?」
「ねえ。考えて。もし、本当に、あったなら‥‥‥。」
「そんなの、そんなの‥‥‥!!」
『できるわけない』という気持ちとともにどこか期待するような表情の彼女にニッコリと微笑む。
そうだよね。
彼の心を縛れる自信がないから周りのやつらを排除しようとしているんだもんね。
自分に自信がないもんね?
「ねえ、もし『涼桃』という会社規模でイケメン君を囲い込んで逃げる心配をなくしてイケメン君を好きにできるように便宜を図ってあげるとしたら?」
「‥‥‥!?」
「あれ?意外だったかな〜?提案。」
そうだよね。さっき叩いたことを怒るか、今の罵った言葉にキレるかだと思うよね?もしくは僕がイケメン君を無理やり奪うか。
とんでもない。一応涼桃の社長の後継者としての『教育』は受けているのだ。
このぐらいで感情など波紋の一つも起きやしないし、そのときの利益不利益ぐらいは考えられる。
「ちょっと。ちょっとだけ『お手伝い』してくれるなら、『涼桃』の力貸してあげる。」
「‥‥‥詳しく聞かせて。」
「勿論。」
ああ‥‥‥。
うまく行きそうな感触に思わず哄笑してしまいそうなのをぐっとこらえ、説明をしようと口を開いた。
__全ては僕の手のひらに。
******
「‥‥‥本当に、健が、手に入る。嘘、じゃなかったんだ‥‥‥。」
「僕が嘘を吐いてるって?失礼だなあ‥‥‥。」
「‥‥‥ごめん。」
「で?協力してくれるのかい?白雪 愛華。」
「‥‥‥全ては、健のため。」
『健のため』?
本当に彼を思うのなら‥‥‥。
いやいい。僕にとって重要なのは彼女が僕の思い通りになるかどうか。
「じゃあ、そろそろ戻りなよ。きっと保健室から戻ったイケメン君が愛華を待っているよ。」
「うん!!」
キラキラと好きな人と歩む人生を思い浮かべながら、頷く彼女は輝いているように感じた。
そして去っていった愛華の背中を眺めながら僕はかすかに声を出した。
「ねえ、知っている?スポットライトは」
「一人にしか当たらない?でしたっけ。あなたの座右の銘のようなもの、でしたよね?」
「あれ?来てたんだ。」
僕の言葉を引き継いだのは疲れたようにどこか年月を感じさせる少女だった。一般的に美しいとされる顔を持つ少女は僕に近づきながら教えた。
「あなたを探しに。クラスで存在感を出してきたあなたを探している方々を見ましたよ。最近の彼女たちとの接触の効果が出たようですね。」
「ふ〜ん。そんなことよりもさっきの愛華の姿見た?あの姿。とっても滑稽だと思わない?」
「‥‥‥彼女の希望をちゃんと聞く気はあるのですか?あなたを見ていると不安になります。」
はあ‥‥‥、とため息を吐く彼女に嘲笑を浮かべて言う。
「まあ、多少『手違い』があってもしょうがないと思うな〜?」
「あなた‥‥‥、まさか‥‥‥。」
「だってあの子に渡すにはもったいないかな〜、なんて。そんぐらい使えそうだもん、イケメン君は。」
「約束は守ったほうがいいですよ?」
「そんなのしらない。必要なのは僕にとって『利益』か『不利益』か、だから。まあ要らなくなったらあの子にあげるから。」
「‥‥‥。」
その言葉を聞いて疲れた雰囲気を一新させ、殺気立つ少女に思いっきり笑った。
「冗談だよ。君も望むことだし危害は一切加えないから。」
「はあ‥‥‥、できれば迷惑をかけすぎないでくださいね?頼みますよ?」
「了解了解!」
またもや老成したような雰囲気に戻った彼女は、やがて何かに祈り始めた。
「何祈っているの?」
「‥‥‥あなたの計画、うまくいくといいですね。」
はぐらかされた。
そう気づいて再度聞くことはなかった。
どんな内容かはだいたい分かるから。
「そうだね。だから僕のお手伝い、ちゃんとしてね?それが君にとっての最善だよ。祈りなんて__、捨てなさい。」
そう言うと、その紅い唇を笑みの形に歪めた彼女が頷いた。
「そうですね。私に必要なものは‥‥‥、一つだけですよね。祈りなんていらない。全てを殺してきたのです。失敗は‥‥‥、許されない。」
「そう。これは大企業である『涼桃』の命運がかかっているからね。許されるのは成功という文字だけ。それ以外は命が儚くなるだろうね。」
「はい。それでは帰ります。」
「‥‥‥ねえ。」
背中を見せて愛華と同じように去ろうとする彼女を引き止めた。
「何か?」
「君がここに来たのって、愛華のこと心配になったから?」
振り返る彼女にそう問いかけた。
「いいえ。私はただ彼女の様子を知って、今後の計画に支障が来さないようにと。重要な駒のことを十分知って置かなければ。彼女は計画の歯車なのですから。」
「ふ〜ん。そっか。それもそうだね。」
はあ‥‥‥。
呆れと言うか、親心のようなものを目の前の老成したような彼女に感じてしまう。
「それでは失礼しますね。」
「バイバイ。」
もう振り返らない彼女にそっと呟く。
君は素直じゃない。
いつもお読みいただきありがとうございます。
ちょっと更新頻度が遅れて申し訳なく思います。
今後の展開は健一郎sideが何個か来ます。
ここからは新キャラ出したりワチャワチャしつつ一人ひとりに焦点を当てていきたいと考えています。
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【宣伝終了&近況について】
自分は結構友人が少ないのですよ。だから友人には優しくするよう頑張っているわけなのです。
そんななか、友人と話していると、
「〇〇ってことがあってさ〜。(ただの世間話)」
「うん。そうだね。」
「すごくない?むこうみず太郎!!(自慢)」
「うん。そうだね。」
「聞いてる?(呼びかけ)」
「うん。そうだね。」
__泣きたかったです。
むこうみず太郎が何をしたというのでしょうか?何か嫌なことでもしてしまったのでしょうか?
と思っていたら、その後は普通に離すことが出来ました。
あれは友人なりの冗談、というふうに思い込んでいます。
以上!!さようなら!!またお会いできますように!!




