プロローグ
見ていただき、ありがとうございます。
「おい‥‥‥、ついに生徒会全員落ちたらしいぞ‥‥‥。」
「マジか‥‥‥。サッカー部のエースもらしいぞ‥‥。やべえな。」
そう噂する彼らの前を通ったのは噂の当事者の一人のロングストレートの少女だった。
サラサラな髪の毛、輝く大きな目、陶器のような肌‥‥‥。
制服からもわかるプロポーションは、男どもの目線を引きつける。
そう、彼女こそが入学二ヶ月目にして数多の男を落とす天使と名高い、姫川 天乃だった。
通称‥‥‥、名字からとり、
「姫。」
「あれが、姫‥‥‥。」
有象無象が彼女が通るたびに噂する!
そう、彼女こそがこの学園の支配者!!
「で?姫川さんの観察、楽しかった?」
「観察じゃない。彼女がちゃんと楽しい学校生活を送れているか確かめているだけだ。」
ハートのヘアピンをという変わったものを身に着けたポニテ少女が話しかけてきた。
クラスメイト兼幼馴染の愛華だ。
みんなが言うにはこいつは外見はいいほうらしい。小さいときから一緒にいすぎて分からん。
俺にわかる外見的特徴といえば、C‥‥‥。
あ‥‥‥。
し、しらない!!
俺は何も知らないぞ!?
それに幼馴染の着替えなんて見たことはない!!
断じてない!!
っていうか、俺、何に対して弁明しているんだ!?
閑話休題。
性格は腹黒。これなら幼馴染の俺にでもわかる。
なにせ俺に対しては当たりがきついのに他の人には優しいのだ!!
これが腹黒じゃなくて何になる!!
「それが観察じゃないの?なんならストーカーじゃない?」
「ストーカー!?どこにいる!?俺が成敗してやる!!」
「あんたよ!」
「は?俺がストーカーなんてどこ見て言ってんだよ!」
「今この状況を見て言ってるのよ!廊下から姫川さんつけながら見てるなんてストーカー以外ありえないでしょ!!」
「確かに‥‥‥。」
「納得するの!?」
「忙しいやつだな‥‥‥。」
「誰のせいよ!!」
「自分自身のせいだろ?」
「あんたのせいよ!あ、いや、でも正論っちゃ正論か‥‥‥。正論すぎてむかつく。」
「それより静かにしてくれないか?愛華。天乃に見つかる。」
「はぁっ!?‥‥‥はぁ。ホント、健はさ、姫川さんにご執心よね。」
「そりゃあ、約束、だからな‥‥‥。」
約束__、
俺が高校に入る前、つまり中学の頃、俺は陰キャってやつだった。
そんな地味メガネ根暗の俺の前に現れたのは天乃だった。
つっても、天乃もその頃は地味なメガネで
イジメられないように、ひたすら黙っているような、間違っても今のような華やかな子ではなかった。
そんな俺と天乃が出会ったのは図書室だった。
図書室によく通っていた俺は司書さんと仲良くなっていた。
そんなとき、司書さんが同じ学年の天乃のことを紹介してくれたのだ。
それをきかっけに話し、仲良くなり話をする仲になっていった。
だんだん俺は天乃のことが話せば話すほど好きになっていった。
太陽のような優しい性格。
はっきりとした正義感。
品を感じる喋り方。
そんな彼女に恋に落とされた。
でも、俺は地味だし万が一天乃がイジメに遭ったら庇える自身がない。
そんな自分が嫌で情けなくって、告白することができなかった。
そして、ついに卒業式の日になった。
そんなとき、天乃に言われたのだ。
『ねえ、約束しない?』
『約束?』
『うん。お互いに馬鹿にされないように強くなるの。』
『強く‥‥‥。』
『うん。どっちが強くなれるかな?』
『これに勝てたら何かもらえるのか?』
『う〜ん。じゃあ、健くんが勝てたら‥‥‥、**し**げる。』
もともと陰気で告白できない自分にうんざりしていたところだった。
いい機会だと、俺は陰キャを脱却すべく、努力した。
メガネを下ろし、メガネをわり、メガネを歪めた‥‥‥、というのは半分冗談だが、まあ、それなりに色々したものだ。
その努力のお陰で高校では一軍に入ることができた。
「でもさ、気がついてないんでしょ?健のこと。」
この約束について知っている愛華が話す。
「ああ‥‥‥、まあ‥‥‥。」
実はその後、母親が再婚して名前が変わった。
陰キャを脱却するための努力したうちに外見を変えるべく、今まで依存していたメガネを裏切りコンタクトにした。
つまり、誰も俺のことが中学の俺と同一人物だと気が付かれない。
それは天乃にも言えることだった。
入学式の日、同じ高校に入った天乃を探し、見つけた。
天乃も約束を果たそうとしたのか、可愛くなっていたが俺にはひと目で分かった。
何故なら天乃の晴れ姿をイメトレして、っと、コホン。
とにかく俺は見つけた天乃に話しかけた。
ちょっと驚かせようと、背後から、
「元気にしてたか、」
と、天乃に声をかけた。
『可愛くなったな。俺もあの約束通りちょっと頑張ってみたんだ。それで、天乃__』
そう話そうと思っていたのに、
「ひぃっっ!!」
と怯えられた。
これには俺も焦って、振り返った顔を確認するが、明らかに天乃のものだった。
メガネを外れていたからか前よりもハッキリとした顔立ちにはなっていたが。
コンタクトにしたんだろう。明らかに天乃だと安心して
「俺だよ、佐久間、」
と言ってから後悔した。両親が離婚して変わったあとの名前で名乗ってしまった。
「すみません!知らない人です!!」
と言われ逃げられた。
「う、嘘だろう。」
俺が名乗っていた名前が新しい名前だったとしても分かると一瞬信じていたが、まさか逃げられるとは‥‥‥。
「まあ、幼馴染のあたしでもあんたのイメチェンには驚いたもの。しょうがないわ。」
「まあ。それは‥‥‥。そう、なんだけど‥‥‥。」
その後が悲惨だった。
話しかけようにもなんだか避けられているのだ。普通に傷つく。
こんにちはorおひさしぶりです。
むこうみずです。
今作は一度消してしまったので、編集をし直したところがあるので、もう一回読んでいただけるともっと面白い‥‥‥、かもしれませんね。
まあ、むこうみずがいいたいことはひとつだけ‥‥‥。
愛華さん最高!!!!!!
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