俺と彼女の再会。そして__。
引き続き、ありがとうございます!
「なんだよ。これ‥‥‥。」
俺はおもわずビビった。
愛華の拳騒動から一日経った、今日の五時間目。
丁度数学のテストが返ってきた。
今日はこのテストしか返ってこないから、天乃を信じるか信じないか今回のテストにかかっている。
俺としては、ふざけ0の本音を言うと、天乃は病院に一度行くべきだとは思うが‥‥‥。
「次、佐久間。」
「あー、はい。」
先生に呼ばれて、教壇の前まで行く。
「おいー、健ー?何点だったー?」
「健のことだからどうせ百点だろ〜。はんっ。いいよな。優秀なイケメン様は。」
ぎゃーぎゃー騒ぐ友人二人(もちろん野郎)にしぶーい顔をしていった。
「なんだ?お前ら。圧力かけて圧死させたいのかよ?」
「健が圧死したら山に埋めるわ。」
「それか海に流すか。」
「お、いいな。海。」
「いや、山もけっこう捨てがたいぞ。」
「‥‥‥二人とも。海とか山とかじゃなくて、そこは普通に葬式に出してほしい。」
こいつら‥‥‥、俺になにか恨みでもあるのか?
そうこう話しながらテストを受け取り、中身を見る。
「ん?これは‥‥‥?」
俺が驚愕したテストを友人二人が横からかっさらっていった。
「どうだ!赤点か!?って、なんだ‥‥‥。」
「79点か‥‥‥、つまんねえな。」
な‥‥‥。79点、だと‥‥‥?
天乃は確かに『83点』って‥‥‥?
「やっぱり、例の予言、外れちゃったみたいね。」
「愛華‥‥‥。」
いつの間にか横にいた愛華が無愛想げに言う。
言っては、いるが‥‥‥、めちゃくちゃ嬉しそう‥‥‥。
まあ、言われたのが0点だったしな。
例の予言が外れてくれて嬉しいだろうな。愛華としては。
「次、白雪。」
「はい。‥‥‥見てなさいよ。健。今回は結構できたんだから。」
ふふん、と言いながら、愛華を呼んだ先生の方へ向かっていった。
「‥‥‥はあ。つまんねー。健がこんなにいい点数なんてな。」
「そうそう。ここで悪い点とるのが落ちってやつじゃねえの?」
そんな愛華を眺めていると友人二人がブツブツ言いだした。
「おいこら、お前ら、俺の不幸を望みすぎだろ。」
「いや、白雪さんみたいな幼馴染がいるリア充の幸福は妬みたくなるじゃん?」
「容姿端麗、品行方正、そして幼馴染だけに素顔を見せる可愛さ。どれをとっても完璧だろ?白雪さん。そんな彼女の幼馴染みなんて、ズルすぎじゃね?」
「そんないいもんじゃないけどな‥‥‥。」
「は!?どこかだよ!?どこが『いいもんじゃない』だよ!!」
どうやら二人には愛華のあの凶暴さが『意外な素顔』という可愛さへと昇華されているらしい。
‥‥‥目が腐っていると思います。
俺が醜い批判を受けていると可憐な声が俺たちに聞こえた。
「もう〜。うっさいな〜。」
「あ、黄瀬さん。」
「ハロー。佐久間っち。」
ニッコリと笑うその顔は愛華よりも『怖そう』と感じられるものだった。
黄瀬 結月。
彼女を一言で表すならギャル。
普通に悪いことしてそうな顔。
とは言っても、別に成績が悪いわけでも、態度が悪いだけでもない、格好だけのピュアなギャルだ。
そう、彼女は人畜無害系ギャル!!
ちょっと髪を染めて、ネイルして、ちょっと怖い顔立ちだけど、それがギャルに見えるだけの善良な美少女だ。
悪いやつではない!!
「な〜、結月〜。健のスペック高すぎ。俺落ち込んだ。慰めて‥‥‥。」
「嫌。」
うん‥‥‥、悪い子じゃ、ないよ。
ちょっと正直者なだけで‥‥‥。
まあ、その正直さ故、俺の友人は撃沈したわけだが‥‥‥。
「佐久間っち〜?何点だった?」
黄瀬さんはさっきまで愛華のいた位置に立ち、俺の友人二人から俺のテストを奪った。
「おお〜!!すごいじゃん。佐久間っち!!頭撫でてあげる!!よしよし〜♪」
「ア、アリガト‥‥‥。」
悪い子じゃない、というのは友人たちと喋っているとわかるのだが、やっぱり女子と話すの怖い‥‥‥。
しかも、黄瀬さんって今みたいにスキンシップが多いし、何言えばいいかわかんなくなってしまう。
でも、嫌いではない。
ちょっぴり怖いだけで。
複雑な心境にいながらわしゃわしゃと髪の毛を乱す黄瀬さんを黙って受け入れた。
「ちっ‥‥‥。結月も健狙いかよ。」
「あいつのスペック分けてほしいわ。ガチで。」
俺狙い?黄瀬さんが?
「ん〜?どした?佐久間っち?」
「ア、イエ‥‥‥。」
純粋な目で俺を見る彼女に思った。
うん。脈無し。
だって、絶対黄瀬って俺のこと、ペットか何かだと思っているんだろうな‥‥‥。スキンシップが多いのもそのせいなような気がする。ほら、犬を撫でる的な感じ。
こいつらはそこら辺をわかってない。
「ふふ〜ん♪」
まあ、黄瀬さんが楽しげなら何より。
「‥‥‥あれれ?」
と、そんな楽しげな表情から一転、不思議そうな顔をした。
「ド、ドウシタノ‥‥‥?」
片言になりつつも、彼女のその様子について訊くことができた。
「あ、うん‥‥‥。ごめん、もう一回見せて。テスト。」
「あ、うん。」
黄瀬さんがその解答用紙を見つめていると、愛華の声が聞こえて固まってしまう。
「嘘‥‥‥!?は、89点!?」
はっ‥‥‥?あいつ、89点!?
天乃、一体どうなっている‥‥‥!?
ぜんぜん違うじゃねえか!?
混乱していると、黄瀬さんが不意に顔を上げた。
「ねえ、これって‥‥‥。」
**********
「で、天乃。説明してもらおうか。」
「‥‥‥。」
「な、何で‥‥‥。」
昨日と同じく、何故か立ち入り禁止の屋上で天乃と会っていた。もちろん愛華も連れて。
「信じてくれてありがとう。」
「信じないわけにはいかないだろ‥‥‥。俺の点数が83点で、愛華には点数がないって当てたんだからな。」
あのあと、黄瀬さんは俺の解答の採点ミスを見つけ、先生に報告したら、プラス4点ももらえた。
それで俺は83点。
愛華は、名前の記入忘れで、‥‥‥本当は89点だったところが得点なしになってしまった。
それで、今、愛華は『何で‥‥‥。』と独り言をブツブツ言っている。
まあ、なにはともあれ、愛華の言っていることが正しかったんだ。信じないわけにはいかない。
「えっと、なんだっけな。ここは乙女ゲームの世界とやら、なんだよな?」
「うん。」
「一つ、質問だ。お前は誰だ?」
前に、目の前にいる彼女は自分のことを”姫川 天乃”じゃないと言っていた。
では、誰なんだ?
「わかんない。前世の人格‥‥‥、かな?自分が死んだことは覚えているの。」
前世の、人格‥‥‥?
「っ!?じゃあ、天乃とは別人格、ということか!?」
もし、天乃がこの人格に溶けて、消えていたなら、俺は、俺は‥‥‥!!
「あ、うん。多分‥‥‥。二人でこの身体を使っていたから、邪魔だな〜、って思っていたから。」
「‥‥‥。」
『邪魔』‥‥‥?
先に使っていた『天乃』のものを勝手に使っておきながら?
‥‥‥駄目だ。冷静にならなくては。
天乃が、俺の知る天乃という人格が生きている。
そのことを、まずは喜ばなくては。
天乃が、生きている‥‥‥。
「その天乃を呼び出すことはできるのか‥‥‥?」
「うん。多分。時々、『出てこい』!!って思っていると出るから。」
『出てこい』って‥‥‥、色々雑い。
「まあ、それでいい。話をさせてくれないか!?」
天乃に、天乃に会って話したい!!
そのためなら、なんだって。
「‥‥‥いいよ。」
「本当か!?」
「うん。でも、もうひとりの私には、近づかないほうがいいかも。」
「は?」
「勘ってやつ。」
何を言っているのかわからない‥‥‥。
彼女の言う言葉を処理してもしてもしきれない。
なんで、近づいたら、駄目、なんだ‥‥‥?
「じゃあ、私、『出て』。」
『出て』といった瞬間に彼女が倒れた。
「天乃!?」
急いで彼女を支えた。
彼女はどうやた気絶したようだ。
ぼんやりとしていた愛華も駆け寄ってくる。
「天乃ちゃん!?」
「天乃!?大丈夫か!?」
俺たちが口々に叫んでいると、薄っすらと目を開けた。
「健‥‥‥?」
「もしかして‥‥‥、『天乃』、か‥‥‥?」
俺にとって本物の、天乃‥‥‥?
一緒に本を読んで、遊んで、『約束』して‥‥‥。
なあ、天乃。
会いたかった。
お前に言いたい、
好きだ。好きだ。好きだ。
約束を果たした、勝ったのはもちろん俺で__。
そう、言いたかった。
でも、先に天乃の口が開いて、
「なにやっているの!?健!!あなたに一番会いたくなかったっ!!」
最後までお読みいただきありがとうございます!!
【宣伝】
ブックマーク&高評価よろしくおねがいします。
しなかったら、更新頻度が落ちます。(多分)
【宣伝終了】
こんにちは!むこうみず太郎です。
名前変更したんですよ!!太郎ですよ!?むこうみず太郎!!
なんか日本昔ばなしにいそうな名前じゃないですか!?いかにもって感じしませんか!?
ということでつくってみました。お話。
[むかーし、むかし。むこうみず太郎というものがおった。そのものは、愛華という名前のお姫様に恋をし、なんやかんやあって結ばれた。おしまい。]
うん!!全米がなく、素晴らしい話ですね!!全世界に広めましょう。
‥‥‥調子に乗りすぎました、すみません。愛華姫様大好き、あ、やめ、い、石投げないで!!
__また次回☆