表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イブは導かないでしょう  作者: 煙立
2/2

訝は行く

少し事件が出てきます。温かい目でみてくださいまし。

 「どこに行くんですか。」

「その子供たちのところだ。」

「何でですか。少しぐらい教えてくださいよ。というか、名前ぐらい教えてくださいよ。」

「フィール・ラ・訝。わかったら帰れ。」

「それで帰ると思って言ってますか。」

訝はまた怒りを覚える。しかし、そこで怒るわけにはいかないと自分に言い聞かせる。

「また無理矢理帰らせるぞ。」

楼は不思議そうな顔をする。心当たりがあったのだ。

「あの急に気持ちが変わるっていうか、あの感覚、訝さん何かしてたのですか。まさか、催眠術てきなやつですか。」

「催眠術だろうが、超能力だろうが、霊能力だろうが、知ったことか。僕がそんなことできるように見えるか。」

楼は目をそらす。

「見えますけど。」

訝はため息をつく。

 わいわいしてる子供たちが見えてくる。遊びながら歩いてるせいか、全然前に進む様子がない。

「おい、君たち今からどこへ行くんだい。いや、言わなくてもわかる。前大きな声でこの先に秘密基地があると話していたからね。案内してくれ。」

訝はいきなり話しかける。

「ちょ、訝さん、急すぎますよ。」

楼は慌てた顔をしながら言う。子供達には謝罪の気持ちを表した顔を見せる。子供たちは怪しみながら口を開く。

「おじさん誰。秘密基地は僕らのだぞ、案内なんてしないよ。」

「案内しろ。」

訝は睨むように見つめる。遠くの獲物を狙う動物のように、鋭い目つきだった。楼に見せた顔もこんな表情だったのかもしれない。

「分かったよ。」

真ん中にいた子が言う。周りの子は焦る。

「だめだよ。」

「僕たちのだよ。」

だが、真ん中の子は意思を変えない。

「いいの、いくぞ。」

仕方なく皆ついていく。訝は満足そうに歩いている。楼は訝を不思議そうに見つめる。

 途中何回か、真ん中の子は案内をやめようとしたが、訝に見られるとまたすぐ案内を再開し、その秘密基地へたどりいた。

「ここか。」

訝は建物のような物体に近づく。

「おじさん、合言葉が必要なんだよ。見てて。」

子供の一人が建物の扉に近づく。木でできた、小さな扉。言葉を発する前に、扉が開く。

「おい、馬鹿。」

訝は叫ぶ。扉出てきたのは子供ではなく、大人。手にはナイフ、扉に近づいた子供を抱き寄せる。

「お前ら、動くな。動くとこいつの命はないぞ。」

扉から出てきたのは男。それも最近ニュースで見た人物。

「訝さん、この人。」

楼もさすがに知っていた。昨日、この町の駅前で人を殺したとして捜索されてた男なのだ。

「ああ、殺人の容疑で捜索されている。逃げてきたんだろう、こんな夜を過ごすのによさそうな場所があれば、入りたくなるさ。ま、ほかの子供が入ってなくって良かったよ。」

男は顔に怒りを浮かべて、叫ぶ。

「さっきからうるせえぞ。黙れ黙れ。」

ナイフが子供の首にあたる。泣く子供。訝と男との間には距離がある。救出は難しいか。

「仕方ないか。楼、警察を呼べ。」

訝が叫ぶ。

「そんなことしてみろ。こいつの命はないぞ。」

楼も電話などできる状況じゃないと、思っている。訝は少し笑みを浮かべる。

「お前はそいつを殺せない。それだけじゃなく、自らそいつを放すぞ。」

そこにいた全員が男を見つめる。男はナイフを降ろす。

「ああ、殺すのはやめだ。ほら、行けよ。」

子供も放した。何があったのだろうか。

「早く警察呼べよ。」

自ら警察を求める。楼や子供と同じように意思を変えた。不思議なものである。訝が何かしたのだろうか。聞いても訝は笑みを浮かべるだけだった。

どうでしたか。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。これからも温かい目でみてくださいまし。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ