正体を探りに、いざ小高の家へ!物語が動き始める!
小高から聞いた、衝撃的な一言。小高のおばぁさんの、若い頃が、綾を書いた、人物画の絵にそっくりだって!?
――どういう事だ。だって夢の中に出てきた綾は、どう考えても、二十代にしか見えなかった。小高のおばぁさんは、今も生きているのに、そしたら何故、若い頃のおばぁさんが出てくるのか――
なぁ、空太そう言えばお前は、
その夢に出て来た女性の、名前は知ってるのか?
そう、小高が話しかけて来た。
「あぁ、知ってるよ。夢の中では、山木綾って、言ってた」。
そうか山木……綾か……
その名前で間違い無いんだな?
「あぁ」。
山木綾は家の……
ーー ピーンポンパンポーンーー
ーー ピーンパンパンポーンーー
――始業のチャイムが鳴った――
空太悪い。また後で話すは。良かったら練習の後、俺の家来ないか?ばぁちゃんもいるし。
「分かった」。
こうして練習の後に、小高の家に行く事になった。
ーーいざ小高の家へーー
「小高の家に行くのも久しぶりだなー」。
そう、空太が口を開いた。
あぁ、中三の卒業式以来、一年半振り位だよな?
もう、高二の九月か。あっという間だな。
「そうだな。あっという間だよ。でもここら辺は、本当変わらないな」。
そう言って、空太は、立ち止まって周りを見回した。
ーー周りには、川があり、遠くには山も見えるーー
「なんかさ。当たり前に、こんな毎日がある事って、実は、凄い事だよな。今朝までは同じような毎日が退屈で、憂鬱だったけど、本当に幸せな事って、意外と近くにあるって言うか、当たり前にある毎日は、当たり前じゃないよな」。
何だそれ?お前、頭でも打ったか?笑
そう小高は、茶化しながらも、何故か、本当に嬉しそうな顔をしてた。
ーーそろそろ着くぞーー
母ちゃんただいまー!
今日は、久しぶりに空太が来たんだ。
えっ!?本当に!
小高の母は、嬉しそうに迎えてくれた。
久しぶりね。空太君。元気にしてた?今日は、カレーあるから、是非、沢山、食べていってね。
「ありがとうございます」。
空太と、小高は、リビングに行って、
小高の家族と一緒にカレーを食べた。
ばぁちゃん。食べ終わったばかりで悪いんだけど、
ちょっと良い?
そう言うと、空太とおばぁさんと小高が、小高の部屋に集まり話しをする事になった。
ーー話を切り出したのは、おばぁさんからーー
で、今日は何しに来たの?
「はい。今日は、おばぁさんに聞きたい事があって来ました」
聞きたい事?
「そうです」。
そう言うと、空太は、バックから、あの絵を取り出した。
「この方を知っていますか?」
おばぁさんは驚いた顔で空太の絵を見た。
それは、綾の絵だね。でも何故この絵を???
ーー空太は今までの事をおばあさんに全て話したーー
なるほどね。そうだったんだね。
私の名前は、小高チヨ子。旧姓は「山木」
綾は死んだ双子の妹の事なの。
ーーそう言うと懐かしそうに話を始めたーー
私は、昔から、何をやっても、綾には勝てなくて、勉強でも、スポーツでも、何にも敵わなかった。私は、少しだけ綾を憎んでいた。明るくて、何でもできて、私には無いものを沢山持ってたから。でもそんな綾が影では、一番努力をしてた。
私も綾も、中学を卒業してすぐに家計を支える為に、働き出した。でも、綾は、それでも、小説家になると言う夢を諦めず、何度挫けても、それを乗り越えてきた。それで二十三歳の時やっと、小説家として連載を持てたんだけどね。
ーー自動車事故だったのーー
ごめんなさいね。暗くなっちゃって。
でも、今夜も、もし夢で綾に会えるなら、
私は元気にしてるって事、伝えて欲しい。
空太は大きく頷き、
「分かりました!」と、返事をした。
ーー今日は本当にありがとうございましたーー
そう言うと、空太は小高の家を出た。
今日、また綾さんに会えたら、伝える事。聞きたい事も沢山ある。何故、俺なのかは分からない。でもそんなの、夢で直接聞けばいい。
空太は家に帰ってから、いつも通りに過ごし、
23時に布団に入った。
綾さんにまた会うぞ。そう心に誓って眠りについた。