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ワード1ページ小説

お誘い

作者: 神月 里央

休み時間になると、知り合いが居ないのを見計らって、彼女に話しかけに行く。

「なあ、岸、今度の土曜日とかって空いてたりするか?」

「ええ、別に用事は無いわよ?」

彼女は俺を見上げながら、返事を返す。

「貰いものの、映画のチケットがあるんだけど、一緒に行かないか?」

俺はポケットから二枚のチケットを彼女に見せる。

「いいけど、何の映画?」

「何だっけかな、まあ、今話題の青春もののやつ」

そう言って、チケット1枚を彼女に渡す。

「あ~これ見たかったのよね、オッケー土曜日ね」

そう言うと嬉しそうに目を輝かせてくれる。

「そんなに楽しみにしてくれるなら、誘ってよかったよ」

「そんなに喜んでるように見える?」

彼女は照れながら両手で顔を隠す。

「もうすっごく」

俺が笑いながら言うと、授業開始のチャイムが鳴る。

「んじゃ、よろしくな」

「うん、わかった」

顔を隠したままの彼女の返事を聞くと俺は席に戻って行った。

そんなにこの映画見たかったのか、そんなことを思いながらチケットを鞄に直す。

普通、貰い物の映画のチケットなんて、そうそう手に入るはずもない。そうこれは、1日かけて考えた。デートのお誘いなのだ。

岸の好みそうな映画を見つけて、わざわざチケットを2個買ってまで準備した甲斐があったっもんだ。そんなことを思いながら俺は心の中でガッツポーズを取る。

席についてそんなことを考えていると彼女がこっちを見ているのに気づく。

俺が気づいたことが分かったのかスマホを見てとジェスチャーをしている。

スマホをみると岸のアカウントからメールが送られていた。

「デートなんだからプラン考えててよね!」

デートだと思ってくれている嬉しさに、俺は声にならない声が出てしまいそうになる。

パッと顔をあげて彼女のほうを見るとこっちを見ないようにしているが耳が少し赤くなっているのが見える。

「ちゃんと考えてるから楽しみにしとけよ」

そう送って俺はスマホを鞄に直した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短いけど、まとまってて面白かったです
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