第39陣:求めていた終着点
ここまでご愛読頂いた方には感謝を。書いていく内にどう進めば盛り上がるのだろうかと疑問に思う所もありましたが来週の分で本編は完結です。
今後は色々な媒体で知識を新たに吸収出来たらと思います(ぶっちゃけ早々面白い話が簡単に思い付かないor書いていく内に壁にぶつかる)
最後は外伝で閉めさせていただきますので宜しくお願いします!
地面は幾つか砕かれ今居る戦場に嵐が巻き起こる。サタンと融合を果たしたハルトの一撃が常に尋常では無いくらいに絶大なる攻撃力に俺とアイリスとレイピアは膝を付く。
対してレイピアによって呼び出されたアズラエルは俊敏な動きで口から吹雪を吹いたり前足に付いてる爪で引っ掻こうとする。
しかしサタンによって精神を変えられているハルトにその攻撃を受け止めながらも拳で腹の部分を殴打する事でアズラエルは項垂れながら床に転がっていく。
「くだらん。ハルトに期待されていたようたが所詮は我よりも程度が知れている雑魚!お前達ごときで我を妨げるなど無謀にも程があるぞ!」
屈強な肉体を持つ上に付け入る隙も与えさせない程に精度のある非常な攻撃を塞ぐにもそれなりの動きが必要。
しかし、こいつには相手の距離を一瞬で追い詰める圧倒的な素早さに拳一発でも尋常では無い程に痛みが走る。
何としようと身体を動かそうとも、サタンは先を読んでから叩き込んでいくという容赦の無い戦闘スタイルに見事に抜けられなくなっていやがる。
「どうした?床に這いつくばっても我に優しさは無いぞ!もう立てないのであれば3人共々に偉大なる我が地獄へと送ってやる!」
結構だ。お前みたいな国を破壊し何よりも人類を滅ぼしかねない奴なんかに殺されるくらいなら俺は身体を引き換えにしてでもお前と道連れとして地獄に送ってやる!
だが、そんな事をする為に決戦の場に赴いてなどいない!俺は今日こそハルトをお前から引きずり降ろして存在を抹消させてやる必要があるんだよ!
その為にもまずはお前の存在を丸ごと消してやる……覚悟しろサタン!
「なっ、まだ這い上がるというのか」
「悪いな。俺はまだまだ地獄には行けない。何故なら為すべき事があるからだ」
「為すべき事だと?ふんっ、そんな血にまみれた身体で何が出来る?」
「こんな身体でも、動けるのならやる事なんざ決まっている。だから立てるなら立て!アイリス、レイピア!」
ハルトの事を何よりも想いそして一瞬卒業するという事も無理だと分かっていてもハルトの最期を見届けたいと願うアイリス。
クラスメイトとして一応の仲で自分も蚊帳の外には居られないとアイリスと一緒に決戦の場に赴くと言い放ったレイピア。
俺と生徒達は僅かな違いがあれど諦めないという一心を貫き、サタンに痛めつけられた箇所を手で擦りながらも這い上がる。
「貴様等、どうやら死にたがりの集団のようだな」
「諦めが悪いんだよ俺達は。お前は大人しくやられて素直にハルトを引き渡せ」
「抜かせ。ハルトは自らが望んで我の中に入り込んだのだ。今さら引き抜くなどという行為を我がさせるなどと思うのか?」
お前の自己中心的な回答はどうでも良い。今の俺が1番心の底で聞きたいのは!
「ハルト、お前はいつまで殻に閉じ籠るつもりだ?いいからさっさと出てきやがれ!」
「ハルト君!」
「まだあなたには私達に相談をせずに勝手に出ていったという罪がありますわ!だから、あなただけは無理矢理にでも!」
説得の最中に放り投げる2つの球体。いち早く球体に気付いた俺とアイリスとレイピアは一目散に後ろに下がってから互いに邪魔にならないように妙に頭を抱え始めているハルトを牽制していく。
「ぐぅ!何だ……何故、俺の事をそこまでして」
ようやくハルトを引き剥がせそうだ。これでサタンと分離させられれば勝機が生まれる。
「ハルト・レーヴン。俺との最後の授業を始めたい……だから、その忌まわしき身体から抜け出せ」
「黙れ、黙れ黙れ!ハルトが自らの意思をかなぐり捨てて我との融合を果たした上で国その物を壊さんとする偉大なる野望を邪魔する貴様には、それ相応の鉄槌を叩き込んでやろう!死という最高の戒めをなぁぁ!」
悪いがお断りだ。俺はお前みたいな怪物に真剣に付き合える程生真面目でも無いんだ。
だから、お前には俺と何よりも帝国の今後の明日を担っていくかもしれないアイリスとレイピアで追い出してやる!
「レイヴン・カノン!」
複雑に為す星の形を素早く描いて、刀身を前に押し出すような形で発動させると星から黒色に形成された強力でありながらも追尾を可能とした遠距離攻撃を放つ。
その攻撃を両手でがっちりと受け身態勢に入ったサタンの背後にアイリスが灼熱に帯びた剣を一気に振り下ろしていくと同時に遠くで見守っていたはレイピアは強靭な武器で無い限り抜け出す事が困難である程の鎖に押し込まれる。
「これで自由に動けませんわ」
「おのれ!我はまだ抗うぞ!」
「残念♪もう少し計画性があれば苦労しないで私達を始末出来たのにね」
強靭な鎖に縛られたサタンを十文字に切り裂く。するとサタンの中に融合していた核であるハルトが自らの意思で抜け出す。
これに驚くサタン。対照的にハルトは静かに立ち上がる。
「良いのか?今一度我の下で融合を為せば圧倒的なる力を使う事が出来るのだぞ?それに我と居れば何も考えずに済む」
「それも良いが、俺としてはハート教官との最後の授業を為さねばならなくなった。そういう事でお前との契約関係はこの場で凍結だ」
椅子の隣に掛けていた双覇刀を引き寄せてサタンの心臓に狙いを定めるハルト。
サタンはふと笑ってから鎖に縛られている状態でありながらも必死に抗う。
「残念だ、本当に残念だ!こうなった以上誰も容赦せん!ハルト・レーヴン、お前については我のエネルギーとして無理矢理にでも組み込んでやる!」
レイピアが為した鎖を手と足の力だけで引きちぎると禍々しい翼と何もかも食いちぎる表情を表に出すサタン。
ハルトは冷静になって双覇刀を構え出す。
「一時休戦です。俺は世を破壊しかねないサタンを己の手で殺します」
「水臭い奴だな。俺も協力させて貰う……こんな召還獣を表舞台に出せば帝国その物が瞬く間に消滅するからな」
利害がそれぞれ一致した俺とハルト。互いに得意とする武器をサタンに突き付けてアイリスとレイピアを合わせた0組の総攻撃を放つ。
だが、それでも驚異的な力を示すサタン。俺とハルトは同時に攻撃を喰らいながらも全力で立ちはだかる。
ハルトはサタンの契約を破棄した為に以前とは違って強力な斬撃は放てない。
それでもハルトは死力を尽くして双覇刀を何回も振り回してから左右を交差するように斬撃を振り下ろす。
「双覇……連獄斬!!」
左右に解き放たれた斬撃を簡単に受け止めるサタン。アイリスとレイピアはその間に大きな一撃を放ってサタンをよろけさせる。
数に押されそうになるサタンは歯を食い芝って己が持つ最大限の力で圧倒しようとするも背後から身体の傷が癒えていないアズラエルが重くのし掛かる。
「これでお嬢の役には立ったな!」
「獣風情が!我の偉大なる肉体に触るな!」
「お前も私と同じ獣だろうが」
「一緒にするな!我はお前達と違って偉大なる者であり先に死んだカオスハークと同様に並ぶ邪神なのだぞ!」
召還獣同士のいがみ合い。俺はハルトと無意識に呼吸を合わせて身動きが上手く取れないサタンの方へと飛び掛かっていく。
「双覇一閃!」
「クロス・エッジ!」
サタンはアズラエルを力で引き剥がして分厚い壁を生成。俺とハルトが壁を押し潰そうとした際には不意に瞬間移動を果たしたサタンの一撃によって大きく吹き飛ばされる。
ハルトは武器である双覇刀を落としてゴロゴロと転がっていく。
一方で俺は吹き飛ばされた最中に太刀とレイヴン・セイバーを地面に強く刺して態勢を直す事に成功する。
「ちっ、やっぱり無傷では難しいか」
「あれを使うしか無いのね。覚悟は出来ているかしら?」
「どうなるかは分からんが、ここでやらなければ全員死ぬ。なら、やるしかない」
「何をごちゃごちゃと!そんなに死にたいのであれば、先にお前から殺してやる!」
俺とレーナは最大限に持っているルナをフルに活用して、その場で高めていく。
すると視界は一気に目映く照らし出して姿を劇的に変える。サタンの攻撃が襲い掛かる瞬間に背中から溢れてきた黒き翼で華麗に回避してから、がら空きになったサタンの背中を邪悪な波動を周囲に知らしめる長刀を一直線に振り下ろしてから圧倒的な速さで切り刻む。
「ぐはっ!何だ、その力は!一体どこから引き出した!?」
「奇跡が織り成す最高の力よ♪」
「こいつで地獄に送ってやる。精々あの世で感謝しろ!」
黒色のオーラを最大限に纏わせる長刀。俺はその武器を両手で構えてから翼の力で一気に急加速しながら距離を詰めていき強力な一閃を解き放つ。
サタンは攻撃を受け止める為に自らが作り上げし槍で抗うも俺とレーナが合わさりあった力に為すすべもなく破れ去るとサタンはやがて身体が黒く染められていくと同時に余りの痛みに奇声を上げる。
「ぐああああっ!たかが人間にぃぃ!我が敗北を許すなどと!」
ボロボロに崩れていく身体に未だ抗うサタン。奇声を高らかに上げて再び攻撃態勢に入るも背中に突き刺さりし刃によって動きが止まる。
「こいつで終いだ」
「おのれぇぇ!我は貴様等を絶対にぃぃ!ぬがぁぁぁ!」
背中に突き刺さした双覇刀を一思いに引き抜いてから真っ二つに振り下ろすとサタンは自分が果たせなかった野望に叫びながら姿が綺麗に消えていく。
そうしてしばらく時が経つと視界が眩しくなり舞台は再び宰相室に引き戻される。
「帰ってきたわね」
「そうだな。後はお前の処分だけだ……ハルト・レーヴン」
「俺を殺せば帝国としては万事解決になるんですよね?分かっています」
俺の意思を汲み取ったハルトは黙って武器を構える。レーナと融合していた身体を元の姿に戻してレーナを後ろに引き下がらせてから俺は太刀だけを構える。
「そうだ。お前の存在をこの世から消し去ってやれば事態は収束する。それでも人間同士で争い合うという歴史は続くかもしれないが」
だが、0組だけで無く帝国の明日を担っていくかもしれない生徒達が力を合わせていけばいずれ帝国いや世界に平和が訪ずれる。
だから俺は明日を迎える為に目の前に居るお前という名を……切り裂く。
「これが最後の授業。ハート教官、俺が持てる全ての力を解放します」
「来い!やるからには俺も徹底的に叩き込んでやる!」
ぶつかり合う刃。俺とハルトが必死に争う姿に合流してきたクロノもミューも手を出す事無く見守る。
その中で先にパターンを読んでいきながら切り合っていき、最後までぶつかる事で俺の所有する太刀とハルトの所有する双覇刀は見る見る内に刃零れを落としていく。
俺は部屋の壁を足場代わりにして跳躍しながら勢いを付けて太刀を振って双覇刀に付いている片方の刀身をへし折る。
へし折られた刀身は金属音を鳴らして、床に転がっていく中でハルトは苦渋の表情でもう1つ残っている刀身を前に突き出して俺の胸を貫く。
「ぐっ」
「油断が命取りに繋がる……これで終了です」
「まだまだ油断はするもんじゃ無いぜ」
貫かれた刀身を左手で固定しながらも足を使って後ろに蹴飛ばしてから刀身を無理矢理にでも引き抜いて武器が無くなったハルトを一思いに切り伏せる。
「ふっ、やはりサタンの力が無い俺ではハート教官の足元にも及びませんでした」
「そんな事は無い。お前は今日を経て随分と強くなった」
太刀を握り締めて、両手を広げて降参するハルトの胸を何ヵ所か切り刻むと血が床に零れ出す。
それでも、自分の野望を為し遂げたハルトはどこか安らかな表情を浮かべながら床にバタリと倒れる。
唖然としながらもハルトの方に駆け寄るアイリスとレイピア。
「アイリスとレイピアには迷惑を掛けた。これからは……今後の明日は勝手だがお前達に任せる」
「ハルト君のやり方は間違っていた!けど、あなたが死んでも私の中で生き続ける限りハルト君は私の中で消えないよ」
血が付着した手を頬に近付けるアイリス。ハルトは意識が朧気ながらもふと笑う。
レイピアはと言うと黙り込んで見守る。やがてハルトの方から手を放すと俺の顔を見ながら最後の言葉を呟く。
「ハート教官。短い期間ありがとうございました……これで俺はもう後残りはありません。これからも活躍を遠くから期待しています」
後残りが無くなり死ぬ事を怖れないハルト・レーヴンの息吹きは見事に枯れる。享年帝国暦004年10月10日。
宰相をも殺し世界の破滅を招こうとしたハルトは最後の最後に抗い俺の一手が天へと召された。
そうしてアイリスの悲しみが部屋に広がる中で、時は自然と流れていき季節は桜が満開の時期になる春に訪れようしていた。




