第二話 追跡
「はあ、やっと着いた」
(思ったよりも時間がかかってしまった)
当初の目的道理に周りを見渡す。
「何もない……だと」
いや、ない訳ではないが小さい村が一つ見えるだけであった。
「あそこを目指すか…でも、遠すぎる」
(そうだ、能力は何処まで使えるのか試してなかったな)
「能力発動、まずはこれから試すか……加速!」
能力を発動させ、走ってみる。
「使える、よし!あの村まで走るぞ!」
嬉しさのあまり余力の事を考えず村へ走ってしまった。
「はっ、はっ、着いたけど疲れた」
何キロ走ったのだろうか、軽く10キロ以上は走っただろう。
普通ならばレガリアの力でこの程度では疲れなど感じないはずなのだが。
「さてと、ここの事を聞きますか」
村に踏み入れると、何やら雰囲気がおかしい、静か過ぎる。
「これは血の臭い?何があったんだ?」
辺りを、探しても人一人も見つからない。
ふと、地面にまだ出来たばかりの新しい足跡があった。
「これは……子供一人に、鎧か何を大人が通っていった足跡のようだ、
これ以外に足跡がない、前者は逃げたとして、後者は追いかけたのか?」
それも、この足跡を追いかければわかることだ。
慎重に、足跡を見逃さないように追跡を始める。
「はっ、はっ、」
一人の少女が走っていた。
「待てぇ!」
後ろからは武装した二人組が少女を追いかけている。
(逃げないと)
「キャッ!」
少女が何かにつまずき転ぶ。
「捕まえたぜ、さあどうしようか、クヘヘヘヘ」
下品な笑い声を上げながら二人組の男達が近づく。
「よし決めた!てめえはずたずたに切り殺してやるよ」
男が武器を振り上げ、それを少女に向かって振り下そうとする。
「オラッ!」
殺されると思ったのか少女が目を閉じてうずくまる。
だが、武器は少女に落とされる事なく、
変わりに男が糸が切れたように倒れる。
「えっ?」
何が起こったがわからずただ驚く少女。
「なっ、てめえ何もんだ!」
もう一人の男が声を張り上げる。
そこには、青い鎧のような者を着た、者がいた。
「名前か……そうだな、聞かれたからには答えないとな」
その者は一呼吸おいてから話し出す。
「私の名は、クロ…いや、ジャック、ジャックザリッパーだ」
一降りの短刀を持った者は、そう名乗った。