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90:離反者処分

 転移した場所が場所だった、転移作業をしている西門のすぐ内側に転移したものだから多数の抜剣した騎士達によって包囲された、密集している中に飛び込んだとも言えるが。


「即刻武器を放棄して投稿しろ! 東方国境警備隊隊長のバルバロッサ伯爵は何処だ!」


『今が好機ぞ! 国王陛下をお助けしろ!』


 国王が人質同然の位置に居るからか全く攻撃はして来ず、一定の距離で睨み合いに、これではらちが明かない。

 おっさんの言葉も届かないんじゃどのみち遣らなきゃダメっぽいな、指示していたあいつを攫うか。

 低空飛行し足を捕まえて引き倒しズルズルと、とっいてもかなり高速で引き寄せると頭が地面で擦れて血だらけであった。


〈こいつが伯爵か?〉


「分隊長だな、バルバロッサ伯爵は何処だ?」


『・・・・先行しております』


「我からの命だ、即刻持ち場に戻れ、バルバロッサに変わり貴様が指揮を執り持ち場にて待機しろ」


『陛下、それでは陛下の身が・・・・』


「我の事は良い、バルバロッサの身柄は我達で預かる。

 そう言う事ですのでこの者の解放をお願いします」


 そう言う事ならとそのまま【ハイヒール】を掛け足を放してやった。

 そしておもむろに立ち上がり。


「陛下のご命令だ! ザースバルスから撤退せよ、これより砦へと帰還する! 伝令は各部隊長へと伝えよ!」


 此方はこれで対処は完了、テレポーターを利用しツヴァイヒルへ転移、此方は伝令が先ぶれとして到達していた為混乱は無くバルバロッサ伯爵も加え、次はリル・ファルツ方面へ。

 さてさて、トップは捕らえている為、副官が指揮していると思われる。

 次の【ゲート】は俺の番だ、リル・ファルツを制圧後、王都側の町の確認も済んでいる為そちらへ転移、空間把握で丸分かりなのだが此方では一悶着諍いが発生した。

 此方に国王が居ようと攻撃して来たのだ。


「止めよ! 【真摯の断罪者】と戦ってはならん! 即刻武器を捨て投降せよ!」


『奴らは国の簒奪を目論んでいる! よって陛下の身柄が無くば民心の掌握は不可能、陛下の命は安全だ! 心置きなく【真摯の断罪者】を始末し陛下をお救いするのだ!』


 何と言う無茶くちゃな理論、それを言うならこのおっさんの首だけあれば良いんですけど、この国を疲弊させた責任を取らせました、これからは税金を帝国並みに下げますとね。

 そうすれば民心は確実に掌握可能、逆に処刑もせず生かせば不満が募り民心掌握どころか暴動に発展しかねない。


〈彼方も殺す気で来てるから遠慮なく殺してくれ、さてと久々に対人戦でもしますかね〉


 とりあえず前回の魔物対策用に作った鉄球100個を3cmに仕立て直し、【エアブラスト】の応用で発射、10人ばかり貫通して殺す事に成功した。

 うーん、普通に魔法を使う方が楽だな、魔力を吸収される訳でもないし・・・


 皆は建物へ被害が及ばない様に単体用魔法で追撃、相手はろくに隊列すら整わせず単に囲んでいるのみ、連携も何もあったもんじゃない、一塊に隊列を組んでくれている方が楽なんだが仕方が無い、空間把握を利用し上空へ【ストーンアロー】を回転付きで発射、曲射にて頭上からの頭の狙い撃ちだ、多重起動で100発ずつをひとまとめとして連発して遠方に居る騎士から処理をする。

 10分も掛からず制圧完了、ただし、盗賊との区別が不可能なので建物内に居る者も含めて葬り去った、勿論建物に穴が開くが知った事ではない!


〈こっちは終わったな、それじゃリル・ファルツにも残ってるだろうからちょっくら行って来る、皆は王城へ戻っててくれ【ゲート】〉


「遺体回収が必要だからにゃ、セレスとアレッサで回収しとくにゃ、猫達はダイアンの護衛をしとくにゃ【ゲート】にゃ」


 実質呆然しているが一応はこちらの言っている事は理解しているようで、ティアの発動した転移門を使い城へと戻って行った。


 俺はリル・ファルツの東門の中央付近に転移し、騎士達がテレポーターの利用の為順番待ちしている中に突入していた。

 あっさりと取り囲まれたが上に高度を取れば無問題、10mほどの高さでポバリングしながら先ほどと同じく、とはいかず建物内の敵対者は対象に入れず100発の【ライトニングアロー】を多重起動で1セットとして連発、残りは領主館に乗り込み各個撃破。

 倒すのは10分も掛からないが遺体を放置は非常に不味い為そちらの回収が非常に面倒であった、町中に分散している為に3時間ほど掛かりようやく完了、なんだかんだでお昼の時間帯になっていた。

 ちなみに元領主の家族だが、足を切断し遺体を回収したようだ、土台の鉄はそのまま放棄されていた為そちらも回収済みだ。

 そして一番遅く城に戻って来た。


「マグロ様、お疲れ様です、其方の首尾はどうでしたか?」


〈テレポーターは潰さずに騎士のみ殺して遺体も装備も回収済みだよ、流石に移動中とあって各地散らばっていてな、思いのほか時間が掛かった〉


「此方は明日ですが、冒険者ギルドマスターと商業ギルドマスター全員を招集する事が決まり通達しております。

 そしてダイアンさんの意向で国王並びに脱税していた者達ですが貴族を含め、便乗して私腹を肥やしていた者達を処刑、その家族を国外追放する事が決定されました」


〈各マスター達を呼ぶ時期を早くしたいと思っていたから朗報だな。

 そっちは良いんだけど処刑する対象なんだがな、家族を国外追放でいいのか? 下手すると反発されるぞ〉


「マグロの懸念は最もだけどにゃ、ダイアンに任せる事に容認したからには任せるにゃ」


〈不可能とは言わないがハードルは高くなるから覚悟はしとけ、前準備は怠りなくな。

 そちらは兎も角便乗していた奴って判別可能なのか?〉


「各役職で統一した給料にするように国法で定めている、それに、副業をせずとも十分に余裕のある暮らしが可能な様に配慮している、当然副業は禁止事項だ、あちらこちらに縁を作り地位を利用させない為だ。

 この給料に見合わないほど羽振りの良い者は対象として問題無い」


〈それは役職についてる当事者だけだろ、家族が余分に稼いでいたら羽振りが良くなるんじゃないのか、特に冒険者なら実力次第で大金を稼ぐのも容易いぞ〉


「無論そこに配慮はする、家族が仕事をしている場合、それに対する報酬がいくらほど出ているのかをだ、これを加味したうえで羽振りが良ければ出所不明の資金を得ていた事の証明になるという寸法だ。

 此方の調査にも時間を頂きたい、3日もあれば纏まるだろう」


 荒療治が必要とは言え、冤罪で殺す奴が混ざりそうな案件だな、如何したものやら。

 

〈・・・・・〉


「マグロ様、何かご懸念でもおありですか?」


〈証拠が曖昧のまま処刑したら冤罪で殺しかねないなと思ってな、大半は思惑通りに行くとは思うが、無実の者を殺しかねない、犯罪判定の水晶で調べられないのか?

 横から掠め取るなら窃盗辺りが出そうなものだよな〉


「領主が貢献したとして別途恩賞として渡した場合は全く判定には出ない、そう言った抜け穴を利用するものも少なからずいるものだ。

 当然領主の方には脱税や詐欺などの罪状が現れようがな」


〈それじゃ、その恩賞を渡した場合、支払いの帳簿には書くんだよな?〉


「書く場合と書かない場合がある、個人の懐から与える場合は全く書かない、逆は然り」


〈お互いに秘密の共有となれば書かない事も考えられるが、領主にしてみれば帳簿を見れば丸わかりだよな、保身の為に書く奴の方が多い気がするが・・・・〉


「婿殿、そんな事を言っていては纏まるものも纏まらぬのじゃよ」


 面倒だが有用な人材まで殺しては本末転倒、逆に高位の役職に就け重宝すべきだからな、最初の計画からかなりズレたがこれだけは譲れないな。


〈ふむ、冤罪だけは避けろ、帳簿に書いてある時期に褒賞に見合う功績が無ければ処刑しろ。

 書かれていずに羽振りが良い奴はピックアップしてそのまま泳がせる、そして今後身辺調査をしろ、処刑に値すると判断した際に捕まえて刑を執行しろ〉


「マグロさんがそう言うのであれば、叔父上宜しいですね?」


「決定に従おう、それならば明日中にでも終わるだろう」


〈それじゃ次だ、そこの俺を睨んでるバルバロッサとかいう奴、何処まで聞いた?〉


 ウザいにもほどがある、死にたいのかね、敵対するなら容赦なく殺す対象だが。


「陛下が退位され、そちらのダイアン殿が王位に就かれるとは聞いている」


〈ふむ、納得していないようだな、異論があるなら一応聞くぞ、その代り、死ぬ覚悟をするんだな。

 ついでに一つ忠告しておく、税金を下げる事に反対した公爵は俺が殺した、遠慮なく殺すんで何時でも喧嘩売っていいぞ〉


「貴様! それが相対した相手へ向ける言葉か!」


〈クククッ、あはははは! あの時のやり取りを聞いてないからそんな事が言えるんだよ、本来ならあんなクソの話題なんぞ話すだけでも反吐が出る!〉


「マグロ殿、それ以上の挑発は止めて頂きたい、バルバロッサもだ、異論が有ろうとなかろうと決定に従え、これは命令だ」


「了解しました・・・ダオルグ様の事は把握しましたがベルアス様は如何なさいました?」


〈ダイアンに暴言を吐いたからな、帝都に送り込んだ、ま、国外追放だな、処刑しといた方が良かったか?〉


「・・・・・」


〈こっちもしなきゃならんことが詰まってるからな、さっさと昼食にして塩を調達に行って来るわ〉


 一方的に予定を決め猫達にせっせと食事の準備をしてあげ、次いで出来立ての料理を取り出して済ませる、セレスに食べさせてもらう形でだ。

 セレスと猫達を連れて我が家へと帰還する、そうすると此方でもトラブルに見舞われた様だ。


「お帰りマグロちゃん、1つ報告がありますわ」


〈一人減ってるみたいだけど、それと関係あるのか?〉


 そう、何故か調査団員の人数が一人減っているのだ。


「大量の蟻の魔物に遭遇したみたいですわね、負傷者は多かったのですが幸いに巣の中へと運び込まれたれたのが幸運でしたわ」


〈あー、保存食にしようと半殺しで確保したのか、不幸中の幸いだな、と言う事は巣の中に助けに行ったのか〉


「護衛の一人が助けを求めて来たのですわ、足の速い者を向かわせたのですわね。

 彼方の治療は済んでますわ、ただ、護衛二名は部位欠損まで負われてますわね、傷の回復はしましたが其方の回復はしてませんわ」


〈無料で部位欠損まで治療する事はないわなぁ、緊急時ならいざ知らず、ここでは治療費が無料ですと変な知識を与えかねないしな〉


「マグロちゃんなら部位欠損も治療は出来ると伝えはしてますわよ、後は彼方からの要望と交渉次第ですわね」


〈そうだな、本来なら護衛側が自力で費用を用立てる必要があるのだが此方からもぜひ売ってもらいたい品がある、その売却契約と+αの金銭で手を打とう〉


「それは何ですの?」


〈ここ、熱帯ならではの植物だが、果物を含めた植物に関するレポートと、薬草と毒草関連を育てる知識。

 平たく言えば調査した資料を売ってもらいたい、当然お金は支払うからその権利だな。

 そっちは依頼主の領分だから後は冒険者側にある程度の金銭的な負担だな、分割払いでも物納でも構わないが島の資源を取り過ぎる様な事は避けるように伝えてくれるか〉


「なるほどですわ、伝えておきますわね」


〈俺は宝物庫で塩が作れるか試して来る、無理だったら海水を煮詰めるしかないな【ゲート】〉


 転移先は地下二階、何もないがらんどうの空間だ、相も変わらず周囲すべてがミスリル製、全体的に銀色に輝いて見えるから長居は無用だ、眼に悪そうだから。

 先ずは塩ことソルトだ、塊で出る為岩塩が適当か、一度試しにとインターネットで購入したグレープフルーツの果肉の色に近いのが有ったので購入したのだ、それが良いだろう、ただ、異物が混入して色が付いている為自動解体にて余分な物質を取り除く方が賢明か、とりあえずは成功しなきゃ絵に描いた餅だしな【ソルトウォール】


「マグロ様成功しましたね、しかし、塩はこのような色をしているのでしょうか、流通している塩は若干灰色掛かっていますが」


〈本当は透明度のある白だよ、あれは異物混入してる色に染まってるだけ、元々摂取量がごく少量だから健康被害に合ってないんだね〉


「では、この塩の塊にも混ざってるのですか?」


〈混ざってるね、害は無さそうだし自動解体で粉末化する時に取り除けば良いよ。

 それは兎も角この量じゃ足りないな、100倍【ソルトウォール】〉


 ででーんとお目見えした岩塩の塊、収納まで時間があるのでついでに砂糖を作る事に。

 不純物を極力除けた品が良いだろうと想像して【シューガーウォール】 こちらも無事に出現、ならば100倍で追加作成して2分間待って収納して不純物を取り除きながら粉砕するとこのような結果となった。


 アイテム

 塩:185840kg

 砂糖(グラニュー糖):129280kg


 これだけあれば上等だろう。

 夕方まで時間がある為空の樽を取り出し、その中へチュリーロッサを自動解体した果肉を適当な大きさで取り出し、もう一つ空の樽を取り出す。

 チュリーロッサの水分のみを水操作で引き抜き空の樽へ捨てる、コツは乾燥マンゴー程度に留める事だ、乾燥させ過ぎでも噛めない事は無いがバリバリの煎餅並みは嫌だからな、今後開発が進んだバルカント諸島の特産品の一つとなる。




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