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89:身柄確保

 月は出ておらず星がまたたく淡い光の元アレッサと活動を開始する。

 二人共に竜の目のスキル持ち、完全暗闇では活動可能か怪しいが、星に照らされた明かりがあれば活動に支障は無い。

 相手の騎士も害意ある者として赤いマーカーの為に盗賊と全く区別が付かない、そもそも紛れて隠れているかもはっきりしないが、その為片っ端に当たる予定だ。

 不法侵入なんのその、先ずは大きな通り沿いの宿には居ないようだが一本道を外れた裏路地の宿にはけっこう紛れ込んでいる、窓からこっそりと入り込み鑑定を施す。

 別人であれば気絶させ外にぽい、他の者でも職業が騎士であれば拘束して聞きだす予定だったがそれらしい者には出会えず盗賊のみ。

 其方は全て外れて収穫無し、その為更に奥の裏通りで馬車の通れない地区へと舵を切る、領主館から見て先ずは南西から、相当な数が固まっているので外れだと思うが正面から店内を見てみると明らかに酒場だ、飲んだくれている者も多数いる、ちょっと俺の容姿だと不味いよねぇ。

 怪しまれない様にとアレッサに抱かれて店へと入るが余計に歪な組み合わせかなと自分達でも思ってしまう。


「おいおい、何だがこの場に似つかわしくないお嬢さんが、何か蜥蜴を抱いてご入場だぞ」


 あのなぁ、蜥蜴と龍の区別位しろよ、蜥蜴の顔はこんな厳つくないし、そもそも角なんて生えてないだろと思うマグロであった。

 その盗賊は顔も赤く目の終点が定まっていない、相当量の酒を飲んでいるらしいがそれでも少しは判別出来ているらしい。


「聞きたい事が有るのじゃがな、ここに騎士の馬鹿連中が来てないかの?」


「ひっひっひっ、流石に此処へは来ないんじゃねえかな」


「ちげえねえ、そんな肝っ玉の座った騎士なんざいねえよな」


「お嬢ちゃん、そんな腐った騎士はほおっておいて、俺達と飲もうや、その方が楽しいぞ」


「悪酔いしておるの、少し眠気でも飛ばすかの」


 と水球を全員の顔に目掛けて発動、威力が無いかった為全身ずぶ濡れですんだ。


「ブヘッ、何てことしやがる! お前たち、こいつをひん剝いてお楽しみといこうや!」


 やっぱりこうなるか、結局力で押し通すしかないと。

 殺しはせず強めに足を払っては頭から地面へ着地させて気絶させ、奥へ奥へと入り込む。

 負けじと聞きつけた者が寄ってきたが全く相手にならず同じく頭から着地する羽目に、本来ならこの程度の輩だと足が千切れ飛ぶが骨折しない様にかなーり配慮してる様だ。

 そして最終段階、最後の部屋へと到達し、警戒も何もせずドアを開けて侵入を試みると、開けたタイミングを見計らって槍による突きが此方に迫って来ていた。

 俺が左の手の平で受け止めて先端を握り、そのままアレッサは室内へと侵入し相手を奥へ奥へと追いやる、そうするとその攻撃して来た者が裸だった事が判明、もう一人女性がベッドに裸で横たわっていた、女性といちゃついていたのだろう。


『き、貴様ら、此処に何用だ! 俺様の邪魔をすると命を落とす事になるぞ!』


「事の最中であったか、それはすまなかったの、それで、命を落とすと言ってる割に迫力は無いがそれなりの立場なのかの?」


『ちっ、これだから俺様の事を知らぬ奴と話すのは面倒なんだ、俺様はアリストフ=サンビエル、この国の騎士達の頂点に立つ、いや、もうじき国王になる男だ』


 アリストフ=ザンビエル

 年齢:43歳

 Lv:57

 種族:人族

 職業:近衛騎士

 状態:良好

 

 なるほど、鑑定してみると間違いなく本人の様だ。


_____________________________________


〈聞こえてるか? こちらマグロだ〉


〈聞こえておりますマグロ様、捕獲対象ですが此方はまだ発見できておりません、屋敷に駐留する者達の中に居なかった為周囲の騎士達に手を広げ調べております〉


〈ありがとうセレス、ティア、此方でようやく獲物を見つける事が出来た、もう少ししたらさっきの部屋に送るから待機してくれるか〉


〈了解なのにゃ、印綬も見つかったのかにゃ?〉


〈それはまだだ、奴をそっちに送った後に部屋を探してみる、騎士を操れるほどの品っぽいし切り札だろうから他人には預けていないだろう、たぶんここにあると思う〉


〈その確率が高そうですね、それではお待ちしております〉


_____________________________________


「なるほどの、それは良い所で出会えたの、実はお主にぜひお会いしたいと願っている者がいての。

 年齢は二十歳から二十五歳の女性、身長は百六十cmと言った所かの、わらわの婿殿も奇麗な方だなと言っておった、体つきも胸が大きく女性から見ても羨ましいほどじゃ。

 どうじゃ、会ってはもらえぬかの、なに、五分も掛からん所にいるから直ぐに会えるのじゃよ」


 まぁ嘘は言っていないな、処刑する為身柄を拘束したいからな、意味合いは違うが会いたい事だろう、それに、転移すれば一瞬だしな。


「ほう、未来の国王に今から恩を売るとは殊勝な心掛けだな。

 良いだろう、俺が身支度を済ませる間に連れて来るが良い」


「では移動するかの【ゲート】」


 奴の後ろに転移門を発動させ更に押し込み無理やり転移させる、そして俺を放し寝ている女性も放り込み転移門を閉じる。

 槍の柄だけ持って行ったが大丈夫だろ、尖端は俺が持ってるし、転移門を閉じた事で奇麗に切れていた。

 後は家探しでも無いが脱ぎ散らかしている服を漁ると見覚えのある十cm四方の金属の塊、印綬を発見した。

 そして改めて【ゲート】を発動し部屋を後にする。


 アリストフ=サンビエルはマントを掛けられ顔は腫れあがり騎士に拘束されていた、女の方は殴られては居ないようだがマントを羽織り部屋の片隅で小さくなり震えているようだった。


「マグロ! こんな状態の奴を送るんじゃないにゃ!」


 ビシッっと奴を指さした状態でこちらを睨んでいる。


「ティア待つのじゃ、そもそもそ奴は裸で槍を持ち攻撃してきたのじゃ、悠長に服など着せてはやれんからの、仕方ないのじゃよ」


「それならそうと一言添えれば良かったのにゃ」


〈急いでたもんで伝えるのを完全に忘れてた、ごめんな〉


「・・・それなら仕方ないにゃ」


「印綬も奴が持ち歩いてたみたいでの、持っておったから回収して来たのじゃ」


 とテーブルの上に取り出して置く。


「良く取り戻してくれた、アリストフ=サンビエルも手の内にあり騎士を止められる、今夜はもう遅い、ひとまず解散とし、明日命令を撤回させ持ち場に戻らせよう」


 そう言う事ならと部屋に戻り、部屋で寝ているシラタマに抱き着き寝るのだった。


 翌朝早朝に起こされまたも会議室へ。

 ちょっと十時間の睡眠時間には足りないが仕方ないだろう、さっさと止めないと人死にが多くなるからな。

 騎士達を止めるべく行動する必要がある、その為にはアリストフ=サンビエルを越える権力者が出向き直接命令を撤回し、任務地へと戻させる必要があるとの事、要は国王自ら出向く必要があるのだ。

 ここで死なれては政権の譲渡に支障が出る為俺達も協力する事に、だが、俺達はザースバルスへ行った事が無い、そこで、地理に明るい女性騎士(かなり人数は少ないが)を抱っこして【フライ】で飛び立ち移動し、場所を確認後転移で帰還。

 馬車ごと転移して馬車で移動、都市に到着したら責任者を呼び出し命令を下すという流れになった、が、実際は無視された。

 そして先にザースバルスから行う事に、本人が行っておらず通信水晶でのやり取りのみ、この点から此方の命令を素直に受けるだろうとの判断だ。


 それならさっさとするにゃ、とティアが抱っこして窓から飛び出しそのまま飛んで行った。

 俺達は朝食がまだなので通路に待つ猫達へ肉と水を与えているとティアが戻って来た、どれだけスピードを出したのやら、行儀が悪いが食事をしながら状態を聞く事に。


〈それでティア、あちらはどんな具合だ?〉


「手前の町へテレポーターで移動を開始してるにゃ、今叩くなら的を二つ制圧しないと駄目にゃ」


〈うーん、自分たちの国の中だからな、斥候部隊は送らないよな、問題は隊長格の奴がどの位置に居るかだな〉


「手近な奴から聞きだせば問題無いにゃ」


「次々と転移させ王都の隣の町、ツヴァイヒルへ送り込むであろうな、そこで編成し兵站部隊を連れ連隊を組み来るはずだ」


 このタイミングでツガットから通信水晶による呼び出しがあった。


「マグロ様、ツガットさんからご連絡です」


〈また時間が押してる時に何考えてるんだよ〉


(聞こえてるぞマグロ、どんな事情かは知らないが煩いのが一人騒ぎ立てていてな、自分はベルアス=ストレング=カラドラスだと名乗っていてな、保護しろと煩いんだよ)


 そりゃ聞こえるように念話の対象にしたからね、わざと。


〈すまなかったな、聞こえる様に言ったんだ。

 なぁそいつ、下半身が細くて上半身がめちゃくちゃくちゃ太ってる奴か?〉


(風貌はそれで合ってるな、なんだ、マグロが帝国へ転移させたのか?)


〈そうだよ、それで、そいつの罪歴ってあったか?〉


(担当した衛兵いから聞いたが特に無いそうだ)


〈そうかそうか、そいつに伝えてくれ、お前、カラドラスに戻ったら処刑か国外追放、もしくは死ぬまで軟禁だぞ、それでも戻りたいな迎えに来てやると言ってくれ〉


(わかった、戻ると言ったら迎えに来るまで冒険者ギルドで身柄を預かっておく、戻らないと思うけどな。

 それで、早速カラドラスで事を起こしてるんだな)


〈今は情報をやる訳にはいかないぞ、聞きたいなら事後処理後話せる範囲で話してやるから詮索は無しだ〉


〈国家機密レベルの情報を聞かせてくれとは言わないさ、帰還した後も話さなくても構わん、その内伝わってくるだろうからな。

 忙しいところ悪かったな、失礼するぞ〉


 こうしてツガットとの交信は終了した。


〈さて、国王のおっさん、馬車なんてまだるっこしい乗り物は不要だろ、転移するぞ〉


「ほとんどザースバルスだったからにゃ、其方に乗り込むにゃ【ゲート】にゃ」


 ティアを先頭に嫁達が転移し次に国王とその取り巻き、後詰で俺と猫達で転移した。



 

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