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87:王都掌握

 先ずは三人で先日俺が寝ていた部屋へ転移した。

 かなり厳重な体制を執っているようだ、通路にも各部屋の前に二名ずつ騎士を配置しているのが手に取るようにわかる。

 先ずは王の身柄を確保だな、それで相手の騎士達を先ずは無力化させる。

 セレスとティアにはこの部屋から通路へ行かせ堂々と活動させる事で引き付けてもらう。

 俺は気配遮断のスキルを使い窓から一旦外へ出て直接王を攫いに行く。

 族の侵入に対して通路へ向かう扉へ注視、そして王を守るべく騎士達は前面に出ている為、俺の位置からは一番近い場所に居る、恰好な獲物だ。

 窓を開ければ音がする為それは下策、【ホール】を使い窓を刳り抜き、さっさと確保するのだった。


『族の侵入だ! 王の身を守る事を最優先にしろ!』


「そうにゃ、侵入者にゃ、捕まえたければ向かって来るにゃ!」


 階段付近に居る者が階下の者へ伝達し、城の中すべての者へ四階に侵入された事が知れ渡った、同時に騎士団本部、衛兵の詰所にも伝令が送られ王都全ての戦力が集中する事になる。


 俺は城の外より窓に穴を空けこっそり侵入し、王の顔を知っている俺は後ろから両肩に指を突き刺して掴みあげ王を空中に吊るした。

 王を除けば騎士が四名、文官が一名と言った所か、王の寝室に居るのだし、それなりに実力のある者、もしくは地位の高い者か。

 室内に居る者達は通路への扉方向へと意識を集中させ、王を守る為にその扉に近い位置だ、外から侵入した俺にとって一番捕らえやすい位置でもあった。


『ぐあぁあああ! 貴様何者だ! 何処から侵入して来た!』


『陛下! 陛下をお助けしろ!』


『へ、陛下、その、先日此処へ送られた龍ですぞ!』


 えーと、この部屋に居る奴だけを追加で良いか、とりあえず。


〈やっと分かったのか、間抜けだねぇ、とりあえず自己紹介しとくか、おっと、下手に動くなよ、こいつが死んでも良いなら攻撃して来い、殺す手間が省けるからな〉


 俺の盾として使ってやるよ、どーんと攻撃して来い!


『貴様! 陛下を解放しろ!』


〈それじゃ続きだ、俺は怪盗=マグロ、【真摯の断罪者】のリーダーだよ、先日、マグロの子供って紹介したがありゃ嘘だ。

 そうそう、そこの騎士、王都に居る連中に武装解除と城からの退避を命じろ、でないとこいつを殺すぞ〉


 俺に攻撃しようとしたらすっぽり後ろに隠れている為王ごと攻撃しなければ当たらない、どだい反撃は不可能って事だ。


『言う通りにしろ! 帝国の騎士が激減した原因はこいつにある、無理に歯向かえば帝国の二の舞だ!』


 まぁ、あれだけ殺してれば嫌でも分るか、堂々と正面から潰したし、とりわけ冒険者の大半が人質にされたりである意味当事者だったからな、情報はいくらでも確認できる状態だったのだし。


『カルラ聞いたな、武装解除後各部署の詰所にて待機、命令があるまで動く事まかりならん、行け!』


『はっ! 行ってまいります』


 抜刀していた剣を床に放り投げそのまま部屋を後にした

 他の者も抜刀していた剣を床に放り投げ目線だけは此方から外さず警戒している。


 無理に仕掛けてくることもあるかと思って警戒していたがけっこう冷静だな、ちょっと予定を変えるか。


_____________________________________

 クランの皆とダイアンに絞ってと。


〈王を確保した、武装解除を命令して現在同室に居た騎士一名が伝令として出て行った、セレスとティアはこれを排除しない様に気を付けてくれ〉


〈此方も状況は把握しています、今から出て行く者を見逃せば良いのですね〉


〈そう言う事、そいつを殺したら後が大変になるから殺すなよ〉


〈把握したから大丈夫にゃ〉


〈現状下、相手はこちらの要望を受けざるを得ない状況だ、それでどうする、こちらで一気に交渉して王にご退場願うか?

 此方の戦力も把握しているようだし、強攻策には出ないとは思うが〉


〈此方に攻撃して来なくなったにゃ、残念なのにゃ。

 命令を受けた騎士が引いて行くにゃ〉


〈マグロさん、咄嗟に襲われた場合でも対処可能でしたら直接交渉したいと思います、どうでしょうか?〉


〈それで良いだろ、それじゃセレスとティアはそのまま最初の部屋の前で待機、全員俺が残してるゲートで此方に来てくれ、粗方騎士達が引いた後、広い場所に移り話し合いといこうか〉

_____________________________________


 全員と言ったからか、調査隊の方を任せているアンジェ達、ジュリアーノまで此方に来てしまった、まぁ良いけども。

 さてと、まずは会談に引き込まないとな。


〈さてさて、とりあえずは主だった者達を集めてもらおうか、アリストフ=サンビエルとザースバルス=ストレングは確実に連れて来い〉


『それは無理だ、昨日其方らが奇襲したリル・ファルツの解放にアリストフ=サンビエルが騎士を率いて出払っておる』


〈そうか、それなら俺が攫って来る、一時間ほど待っててもらおうか、その前に移動だな、ついて来い〉


 そのままの状態で通路に出ようとした直前、一人の騎士が武器を拾い上げ、王に当たらないよう剣の先端で俺を切り払うように横へ振り抜き攻撃してきた。


 ガン、ギャリギャリ、ボキッ!


 俺にクリーンヒットして若干体制が崩れたが傷1つ付かない、更に振り抜けず金属の擦れる音が木霊したかと思うと剣が奇麗に折れた。

 報いは受けさせないとな、王を掴んでいる左手を握り拳にする、当然肩の筋肉ごと握り潰し絶叫が響き渡った。

 ついでだ、要人が側にいる事だし、どの道処刑しようと思ってた所だ、つでに殺しとくか。


〈王の命が要らないようだな、こいつの血縁者含めて弄り殺しにでもしてほしいのか。

 ティア、その部屋から見て左隣にいる奴を連れて来い!〉


『お待ちください! この者の勝手な判断での行動、王に貴方方と事を構える気は全くありません!』


 こう言い放った別の騎士が俺を攻撃した者の目を狙い、手刀で射貫き命を絶ち懇願して来た。

 手甲ならぬガントレットを強引に突き刺しただけだが。


〈今度何かやらかしたら今城に居る連中を全員殺す、嘘か本当か試したいなら攻撃して来い、遠慮は無用だぞ〉


『お戯れを、【真摯の断罪者】と敵対した者がどの様になったのか調べております、無論本気なのでしょう』


〈マグロ連れて来たのにゃ、処刑するのかにゃ?〉


 ティアは苦も無く脇に抱えて運んで来た。

 やっぱりこいつか、俺を持ち上げ観察してた奴だな、王と同席していたことから血縁者だろう。


〈その判断は保留だ、とりあえず皆と合流してこいつらの身柄を任せる、その後俺はアリストフ=サンビエルを攫いに行って来る〉


〈リル・ファルツに向かう街道は二つだったよにゃ、それなら片方はティアに任せるにゃ〉


〈町に到達してなかったらだな、ティアに手伝ってもらうよ〉


〈とりあえず引き渡すにゃ〉


 合流と言っても二つ部屋を挟んだ場所だ、一分も掛からず合流した、ダイアンを見て此方の要求が分かったようだ、無論自分たちの置かれた立場も。


『ダイアン・・・・なるほど、この娘が居ると言う事はダイアンを国王に就かせ、税を下げるつもりなのだな』


 普通にしゃべってはいるが冷や汗だらだらだろう、肩の筋すら握りつぶして切断寸前だ、普通なら気絶もの、きっと周囲の国を平らげる際にも傷を負い、経験があるのかもしれない。


「その通りですわよ、貴方が国王の地位を譲り渡すのを拒否すれば家族ともども公開処刑、それでダイアンが国王に就きますわ。

 此方の要望を飲み、譲り渡した場合はダイアンの判断でどうなるか、それは本人しか分かりませんわね」


「ついでにこれも言っておくにゃ、アリストフ=サンビエルとザースバルス=ストレングも家族共々対象にゃ」


『・・・・・・』


〈それじゃ監視は任せる、それじゃティア、行くぞ〉


『お待ちください』


 何を待ってって言うのかねこの国王、立場を分かって無いんじゃないか。


〈あのな、連中をさっさと止めないと一般にも被害が出るかもしれないんだ、用があるなら後にしろ〉


『フラウス、アリストフ=サンビエルに帰還命令を出せ、リル・ファルツに到達していた場合、町には駐留させず解放するよう通達も忘れるな』


『はっ、即刻帰還するよう通達してまいります』


 と返事をし、出て行った。


『ダクサ、以前より調べていた地位を利用し私腹を肥やしていた者達のリストを持ち出せ、カルラと協力し家族共々捕らえよ、王都の騎士をいくらでも使って構わん、同時に資産を差し押さえ、我の後に就く王へ献上せよ』


『陛下、アリストフ=サンビエル様、並びにザースバルス=ストレング様も含まれますが同様の処置をして宜しいのでしょうか?』


『命令に変更は無い、気取られる前に行動に移せ、アリストフには帰還命令を出した、帰還を確認した後即刻捕らえよ』


『はっ、行ってまいります』


『カッサレ、弟家族をこの場に呼び出せ、我が退位し、ダイアンに引き継ぐ事をこの場で宣言する』


『陛下、本当に宜しいのですか?』


『くどい、即刻呼んでまいれ』


『はっ』


 うーん、何と言うか、俺達がするべきだった予定の大半がこの命令で片が付きそうだな。

 後は事後処理と冒険者ギルドと商業ギルドを巻き込みばら撒くだけか。

 手間が省ける分楽っちゃ楽だがこれで国王の家族を処刑しないとの判断をダイアンが下さなければ良いが、もしその選択をした場合、下手すると暴動になりかねないが注意したが良いのかね。

 この事に気が付かないとは思えないが、一応試してみるか、ダイアンに任せられるか頭をさらに変えるかを。


『マグロ殿、いや、ダイアン殿、これまで我の独断で国政を行って来た、家族には罪は無い。

 どうか我の首と私腹を肥やす為利用してきた者達の首で矛を収めて頂きたい』


〈潔い判断だがそれで国民が納得するかな? 税を下げるよう進言して来た者達をダイアン以外、全員処刑して来たんだろ、虫が良すぎるんじゃねえの?

 判断はダイアンに任せるけどさ、俺が王になるなら絶対家族共々殺してるぞ〉


「それはダイアンに任せると言ったからにゃ、ダイアンに任せるにゃ」


 それならもうこいつの拘束は必要無いか。

 それほど高く持ち上げてるわけでも無し、手を放して【ハイヒール】を掛け止血程度は施しておいた、ま、筋が断裂してる時点で後遺症無く動かす事は不可能だけどな。


「あ、あの、マグロさん、私、ものすごく場違いな気がするのですが」


「そうだよな、俺も同じことを考えていたよ、俺達気が合うな」


「そうだよね!」


 いや、お前たち二人の発言の方が場違いなんですけども・・・

 そっちに気を取られている間にアンジェに抱っこされて声をかけられる。


「また予定が変わりましたわね」


〈仕方ないさ、相手在っての活動だからな、調整可能な範囲だから大丈夫だ〉


 そんな話をしている間に三名を連れたカッサレが戻って来た。

 その中の一人、一番若い男がきょろきょろと俺達を見渡し、ダイアンを発見すると声をかけて来た。


『ダイアン! なぜここにお前が居るんだよ! お前が進言したせいで、僕達まで幽閉されたんだぞ、税率なんて叔父上の言う通りで問題無いだろ!』


「相変わらずですね兄さん、自分が良ければ他の人がどうなっても構わないと、今でもそう思っているのですか?」


『当然だろ、自分の人生だけを考えて何が悪いのさ』


「それが貴族家に生まれた者の考えですか、その地位の権力を使う事しかせず、貴族の役割を全うしようともしない、権力を主張するのであれば、その責務を果たしなさい!」


『責務は果たしていただろう! それをお前が進言したせいで幽閉されたんじゃないか!』


「権力を振りかざし、自分の都合のいい様にのみ行使する事のどこが責務を果たしていると言うのですか、それは単に権力を利用しているだけです!」


 あー威張り散らしてはた迷惑な行為ばかりしてたんだろうなこの豚。


〈ダイアン落ち着け、こいつがゴミだって事は分かったから、そこら辺に捨てとけば良いだろ〉


『今言ったのは誰だ、返事をしろ!』


「この子ですわよ」


 ギロっと此方を睨みつけるも、太った豚では迫力が無さすぎる、これじゃうちの猫の方がよほど怖いぞ。

 怒らせたことは無いが仲間にする際の顔はすごかったからな、瞳孔が完全に縦になり獲物だと完全に認識されていたし。


『トカゲの分際で何を偉そうな事を、お前なんか単なる小動物じゃないか!』


 金貨を一枚山なりに、そいつ目掛けて放ると一応はキャッチしてくれたので【ゲート】を発動するとティアが押し込んでくれた、行先は帝国の首都、南外壁門の外だ、直ぐに消したけどな。

 下手に権力を主張すると捕まるんじゃねえの、めちゃくちゃ警戒されている国の出だからな、せいぜい自力で生きてくれ、権力を振りかざすしか能のない豚ちゃん。


〈さてと、煩いのは退場してもらったし、さっさと話しをつめようか〉


『我が弟のダオルグ=ストレング=カラドラス、その嫁のベアトリーゼ=ストレング=カラドラス、先ほどの者が長男のベルアス=ストレング=カラドラス。

 立ち話もなんだ、会議室に向かおう』


 いうが早いか、王自ら先導し、三階にある一番広い会議室へと皆で向かった、そして陣営ごとに分かれて向かい合うように座る。


『あと数日をもって我は退位し、国王の地位をダイアンへ引き継がせる事とする』


『兄上、それは誠なのですか、ダイアンはそもそも幽閉されていた身、それを省いて考えたとてダイアンはまだ貴族としての経験も未熟、その様な者が国王を務める訳がありません』


〈おい、そこのおっさん、民を疲弊させるだけの奴を止められないお前が口にしていい言葉じゃないぞ〉


『黙れ! 実情も知らん奴に言われたくはない!』


〈それはこっちのセリフだぞおっさん、民の現状がどうなっているのか見ようともせず、搾取を長期間延々行った挙句、実の娘すらわかっている事を認識できていない時点でお前は馬鹿確定なんだよ〉


『こちらの言っている意味すら理解しようとせず違う解釈をするな! 俺が言っているのは現状の税率でなければならない実情を知りもしないくせにほざくなと言っている!』


 こいつは相当腐ってるな、搾取する大義名分がありますなどほざこうと搾取してる時点でお前は終わりだよ、そのうち殺してやる。


〈ほう、面白い言い分だな、なら言ってみろ、俺を納得させるだけの理由があるんだろうな〉


『この国は元は小国だ、それを周囲の小国を平らげる事でここまでの大国にする事が出来た。

 その弊害からか周囲の国々からは常に警戒されている。

 その為一定以上の戦力を保有し、それを維持しなければ攻められるだろう、戦力を維持する為には今の税率を維持しなければ軍部が崩壊し離散してしまう、そなれば攻められてこの国が終る』


〈理由は以上か?〉


『国が無くなればその地に住まう者も被害は免れん、当然だろう』


 はぁ、少しでも期待した俺が馬鹿だったのか、他の国に併合されていれば今の重税から解放されるだろうに、民にとってはこんな国、さっさと潰れる方が暮らしは楽になる。

 土地を管理し、私腹を肥やせる貴族の目線でしかない、こいつはダイアンの国には不要だな、それ以前に殺すリストに入れたがな。


〈はぁ、期待した俺が馬鹿だったな、ここまでくだらん理由だったら聞かない方がマシだったわ〉


『聞き捨てならん、理由を言え!』


 馬鹿すぎる! 理由なんぞ聞かなくても分かれよそのくらい、よく貴族で通ってるなこいつ、考え方は救いようが無いな。


〈はぁ、この程度すら理解できないのってホント相手にするのが嫌になるな、一応答えてやるよ。

 金が一定額必要ならそれを稼ぐのと必要経費を下げる程度の努力位しろ、先ずは出費の削減と税収を上げる手だ。

 一つは外交努力が全く足りてない事だ、周囲の国々と同程度の戦力まで落とす見返りに不可侵条約を結べば良い、そうすれば減税できるだろ、ただし、複数と同時に結ぶのが胆だ、一国と契約しても他国と結べないのでは意味が無いからな。

 ハードルは高いが民の生活が懸かってるんだ、死に物狂いで締結しろ〉


『すでにその外交は行っている、だが奴らは締結は不可能だと言い放つ、この応酬で全く進まないのだ』


〈どうせお前は譲歩するための条件を提示せず、現状維持のまま締結させようとしてるんだろ、どうだ〉


『その様な事は無い!』


『ダオルグ、嘘で塗り固めこの場をどうこうしようとするな、まったく譲歩などせず交渉していましたと認めろ』


『・・・・・・』


 国王、それも実の兄に暴露されるか、嘘をついてまで表面を取り繕た所で悪循環でしかないのだがな、それこそその相手先に聞けば丸わかりなのにな。

 睨んできているがこれだと救いようが無いな、ほんと、この手の奴は地位が高いと害にしかならん。


『とんだ二流外交だな、次だ、騎士が多いなら騎士の職業のまま金を生み出せるように活用しろ、商人の護衛に貸し出してその手の技術を学ばせるもよし、ローテション組んでダンジョンにでも放り込めば金は稼げる、レベルも上がり質も上がる』


『騎士を冒険者として活用しろと言うのか、ケッ、話にならんな』


〈話にならんのはこっちのセリフだぞおっさん。

 民を助けるのは騎士の務めだろ、その技術を学ばせる機会を実地体験できるなら金を払ってでもしとけ、いざその時になって戦闘しかできませんなどほざくようなゴミ集団では役に立たんからな。

 ダンジョンに放り込むのも連携を取れる集団を作るのに有効だ、相手は連携はしてこないが多数で来る事はよくある、多数の敵を相手取る技術が嫌でも身につくんだ、有効活用しないでどうする。

 ついでに素材も市場に流せて食用肉も手に入り騎士の維持費が浮くんだ、この程度の事すら考えが及ばない時点でお前は貴族失格だ、民が哀れだぞおっさん〉


『黙れ! その様な運用をされて騎士達が納得するものか、そもそも警戒任務がおろそかになっては本末転倒では無いか!』


〈おっさん、自分が無能ですと宣伝するのはそれ位にしとけ。

 手に入るはずの金を全部取り上げるとは言っていない、そこは別に収入から何割を恩賞とすれば二重に給金が出て騎士も喜んでダンジョンに行くだろうさ。

 ただし、死人を出せばペナルティを与える事も必要だ、そこは無茶をしない様に、だな。

 この程度の案も浮かばず、その程度のかじ取りすらできません、人数を配分し有効に活用する考えが浮かびませんと言ってるぞ〉


『ダオルグ、言いたい事がある様だが黙っておけ、貴様の負けだ、だたの大ぼら吹きにしか見えん』


『・・・・・・』


 ふん、一応実の兄の言う事は聞く様だが、あの風じゃ文句を言いたくてたまりませんてか。

 

〈次だ、有用なダンジョンを利用者に無料解放しろ、食える肉が市場に供給されれば食料の値段も落ち多数の冒険者が金を落とす、少数しか利用しないダンジョンよりはるかに税収は上がる〉


『単価が高ければその一度で大金が手に入る、それよりも実入りが多いと申すのか?』


〈当然だろ、有用な魔物と収入が多いとなれば冒険者は集まる、それを利用制限しては冒険者は激減する。

 冒険者が集まれば素材販売などで利益は上がるがそれはおまけだ。

 装備新調に生活をすればそれなりに物入りになる、その他の分野でも冒険者は金を落とす、素材を冒険者が大量に売却すればまとめて購入でき、加工すればそれだけで売り上げが出る、要は商人がこぞって集まるって事だ、インフラにテコ入れせずとも勝手に活気づきすべての分野で税収が多くなる、だたし、税金が高い事ですべてが台無しだけどな〉


『貴方は何処かで経済学でも学んだのかね?』


〈特別其方方面の勉学をした覚えはないな、簡単な話だろ、税が高ければ人は逃げ出しその地は滅びに向かう、税が安ければ人は集まり活性化する、その程度考えるまでも無く分かる事だろ〉


『・・・・・・』

 

〈次がおっさんへの回答だ。

 お前の目線は貴族のみの目線だって事を理解しろ、一般市民は誰が支配者であれ税金が安く犯罪率が低ければ民はついて来る、無論基盤は必要だがな。

 お前の言っている事は貴族の利権を守ってるに過ぎない、今の民はこう思っている事だろうよ、さっさとこの国は潰れろ、そして税率の低い国に併合されろ、そうすれば俺達の生活は楽になるとな〉


『貴様! もう聞きづてならん! 即刻殺してくれる!』


〈相手してやるからもう一つ言わせろ。

 お前、人の意見は全てねじ伏せ自分がすべて正しいとでも思ってるんだろ。

 貴族なら周囲の意見を吟味し、有用な策は取り上げ実施する度量がなければ務まらん、お前に貴族でいる資格は無い。

 さて、言う事言ったし殺し合いをしようや、ついて来い【ゲート】〉

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