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83:怪盗

 山中から徒歩で移動して辿り着いた名前すら知らないカラドラスの第一の町、当然の如く門番担当の衛兵によって足止めを受けていた。


「その小さき竜はどうした? 攫って来たとなれば問題だ、通す事は出来ん」


「隊長! この者達ですが、第一級警戒対象の【真摯の断罪者】の者達です!」


 なるほど、どんなランク分けをされているのかは分からないが入国次点で篩にかけるつもりらしい、穏便に入る事が出来れば良いのだが、無理なら上空からでも侵入しますかねぇ。


「何だと! 何用でこの国を訪れた!?」


「此方の国のダンジョンにスレイプニールが居ると聞いて捕らえに来たのじゃよ、馬車に利用したいと考えておっての」


 馬と言えば4頭の馬どうしてるのかね、ライネルで買って帝都に連れて行ったっきり消息不明なんですけども・・・

 ま、元嫁さん達の家族の所に居るとは思う、元気にしていれば良いが。


「俺では判断が出来んが・・・・その前に先ほどの質問に答えてもらおう」


「婿殿とファサラの子供じゃよ、わらわ達の事を知っておるのなら婿殿の種族も知っておろう?」


「婿殿とは怪盗=マグロで違いは無いか?」


「それであっておるの」


「クルァアアア」


 右手を上げて挨拶をした。


「随分と慣れておるようだな、この点からも攫って来てはいないと言う事か。

 おい、陛下へご連絡しろ、この小さき竜の事情も話すのだぞ」


「了解しました」


「では判断が下るまで詰め所でお待ち頂こう」


 身分証明のギルドカードを返還されお部屋へご案内、茶やお茶菓子は出ないが拘束もされない。

 待つ事一時間少々、やっと返事が来たようだ先ほどの衛兵が俺達へ説明をする。


「国王陛下のお言葉だ、此方の要求を全て飲むのならば滞在する事を許可するとの仰せだ、飲むか飲まないかはこれからの事を聞き判断して頂こう。

 一、小さき竜を滞在期間中人質とし此方へ預ける事。

 二、滞在期間中騎士を同行させる事、また宿に滞在中は部屋の扉前で監視を行う。

 この二点だ」


〈攫うまで穏便に行きたいんだよなぁ、突っぱねて帰還した場合、入る事は簡単だが見つかった時が面倒だよな〉


〈それなら人質になってるにゃ、行先次第で彼方の事情も探れるにゃ、それとマグロに事情を説明する為に一部帰ると言って二手に分かれるにゃ、そこから転移して素知らぬ顔で活動するにゃ〉


〈その案に乗ろうか、それと俺を預かったら注意しろと忠告してくれ、食事は人の食べる品を食べさせる事、生肉禁止、それと睡眠を妨害しない事、これをした場合激怒し暴れまわる事も付け加えてくれるとなお良いな。

 それと帰るのはティアとカエラさんに護衛の5名にしてくれ、セレスが紛れ込むのはさすがに目立つ〉


 金髪巨乳でめちゃくちゃ奇麗だから目立ちまくる、目線を引く存在だからスレイプニール捕獲の方に行ってもらいたい。


〈わかったにゃ〉


「わかったにゃ、その条件を呑みはするがにゃ、忠告にゃ、この子は人の食べる物しか食べないにゃ、生肉を与えない事にゃ、それとにゃ、睡眠を妨害するのも禁止にゃ。

 これを犯した場合この子は暴れまわるにゃ、このちっこいなりだけどにゃ、ブレスを吐くにゃ、死にたくないのならこの注意点だけは絶対に守るにゃ」


「そ、そうか、何かなだめる方法は無いのか?」


「マグロにも容赦なく噛みつくにゃ、これは物理的にだがにゃ、唯一止められるのは母親のファサラだけにゃ」


「・・・・・・それは厄介だな、留意するよう念を押し説明しておこう」


「それじゃこの子をお願いするにゃ」


 と手渡しする際に「クルァアアアアア!」

 そういえば名前も何もかも偽装しておかないと突然鑑定されたら厄介だし、危ない危ない、名前はマグロJrでいいだろ。


「少しの辛抱ですよ、必ず迎えに来ますから」


「クルァアアア!」


 と手を伸ばし別れたくないとアピール。


「はぁ、仕方ないのにゃ、これが最後の手段だにゃ」


 と、人に当たらない様に角度を付けて俺を殴り飛ばすティア、二つ壁を突き破り三つ目で止まる俺、気絶したふりをして渡されたのだった。


「・・・・ティルア殿、それは余りにも強すぎたのでは」


「心配は無用にゃ、ファサラが常時居るとは限らないにゃ、これ位殴って気絶させないと半端な攻撃では余計に暴れまわるにゃ」


〈ナイスだティア、これで俺の危険性が少しは真実味を帯びただろうな〉


〈そうだろうと思って殴ったにゃ〉


「それじゃティア達は二手に分かれるにゃ、この事をマグロに伝えて止めないととばっちりが来るからにゃ」


「その様な危険も有るのですね、是非お願いします」


 ここからの活動はバラバラだ、なので他の方面もちらっと説明を。


 ティアだが帰国したと見せかけ衛兵詰所から見えていた脇道へと転移、何食わぬ顔で勝手に不法入国、冒険者ギルドの位置を通行人から聞き出し、次に冒険者ギルドでは罪を犯した者はどこに連れて行かれるのにゃ? と聞き出しそれはどこから行けば近いかにゃ? と質問攻め、そこからは単独でカルドラトへ侵入し見事ダイアン=ストレング=カラドラスを奪還。

 帝都冒険者ギルドでクランに加入させ我が家に転移した。


 ティアと分れたカエラ達六名だが農村地帯を目指して移動、あまりの惨状に目を瞑る訳にもいかず炊き出しを慣行、一時しのぎにしかならないが感謝されながら我が家へと転移した。


 セレス達だが監視役の騎士にダンジョンの位置を聞き出して向かう、本来なら冒険者ギルドで許可を取る必要があるとの事だったがそこはフリーパスで直接案内してくれた。

 普通にダンジョンへ入れるかと思っていたが入場料を請求された、それも金貨百枚、それと同じく捕らえる為の手法が存在すると説明を受けた、時間短縮の為にそちらも大金を払い聞き出す。

 ダンジョン内に案内され、来る馬来る馬の心を折りながら召喚獣化し二十体を確保、宿へ宿泊もせず町を後にして我が家へ転移した。


 俺はと言えば王都の王城までドナドナと連れて行かれ、国王の元へと連れて行かれ散々観察された、当然鑑定も込みだ。

 名前のみしか判別できません、後の年齢レベルそう言った後の情報が全て伏せられております、皇宮すら吹き飛ばす人物です、何らかの魔法を施しているのかもしれませんなどと言っていた。

 食事も通常の人の食事が与えられ俺は早めに寝るのだが、夜中こっそり起きて活動だ、分かるだろ? (・∀・)ニヤニヤ

 実はスキルを取得してるのだよ、共有化、これに見覚えは? ティアの持つ気配遮断、これが共有化で取得したスキルだ。

 寝ている部屋は四階、こっそり部屋を抜け出し一階へ、王城は地下二階まであるのだが地下への階段は地上部の階段とは別所にある、そこまで行くのが面倒なので大きめの穴を【ホール】で掘り回収しながら進み下へ下へと行き部屋中の品物をねこぞに頂いた、勿論宝物庫の品に決まってるじゃないか! そして部屋へ戻り就寝した。


 ほどなくして盗賊の侵入だ! と上へ下へと大騒ぎ、うるさくて眠れやしない、此処はあれだ、起こすな暴れるぞを実行してさっさとおさらばしよう。


「クルァアアアアアア!」


〈やばい! 今の騒動で竜が起きた様だぞ!〉

〈止める手立てが無いと言っていたぞ、総員退避しろ!〉


 ついでだちょっと減らしとくか?

 通路のみだが氷属性のブレスを極超低威力でまき散らし数十人規模の彫刻を作り出し、窓を破って外へと撤退、ある程度離れた位置で我が家の寝床へと転移し、改めて就寝した。


 翌日、俺の状態を察してか結構遅くまで寝かせてくれた嫁達、俺の起床に合わせて朝食を取り、そのまま自己紹介となった。


「昨日はお助け頂き感謝の言葉もありません、私の名はダイアン=ストレング=カラドラス、現在継承権は剥奪され単なる罪人という訳です」


 彼女の身長は155から160cmほどか、嫁さんと比べてだから若干違う気もする、見た目年齢は20から25歳ってところかな、ま、国王に就くにはちっとばかり若すぎるが、周りの補佐が有ればどうとでも成るだろ。


〈ちっこいなりだが俺は怪盗=マグロ【真摯の断罪者】リーダーを務めている、とりあえずの予定は、今日レベルを上げられるだけ上げて明日以降に備えよう。

 それは良いけど何処まで話してるの? ティア〉


「【真摯の断罪者】が後ろ盾となり国を平定してもらうとは伝えてるにゃ」


〈なるほど、完全に大枠だけか〉


「【真摯の断罪者】が後ろ盾になるとお聞きし、ティアさんの実力も拝見しましたが、国を相手にするのです、本当に大丈夫なのでしょうか?」


 その言葉でティアがステータスを表示し、見せてあげると嫌でも納得したようだ。


「マグロさん、一日や二日ではレベルは上がらないのでは、それより今後の対策を練る方がよろしいと思います」


〈まぁまぁ、気が休まるのも今日一日だけだから休んでなって、レベル上げるのは俺達だけで済むから〉


「その為にクランに入れたのですか?」


〈そう言う事、貴方が狙われるって事が分かり切ってるから対策するのは当然でしょ、しかし、その恰好は威厳が足りないな、旗頭にしてはもっとこう、インパクトが無いと〉


 そう、着てる服と言えばノースリーブのワンピース、思いっきり体の線が出てるんだよね、胸がでかすぎてそこから下が分からないけど。


「マグロ様が承知するならば、特注で製作して頂いたスケイルメイルのフルセットが使われず保管されてますが」


〈あー、あれか、あれなら薄青で統一されて結構奇麗に映えるな、その案を貰おうか、俺達は出かけるんで、カエラ、彼女に着付けお願いできるかな〉


「私は着付けは無理ですが彼女なら大丈夫でしょう、こちらは任せて下さいね」


〈お願いするよ。

 そうそう伝え忘れてたけど、城の宝物庫を漁って来てな、全部分捕って来たから平定後の資金は心配しなくて良いぞ〉


「マグロはその混乱に乗じて抜け出して来たのかにゃ?」


〈そう言う事だな、行く前にお願いがあるんだけどさ、ダイアン、王を除いて真っ先に潰すべき人物、尚且つ領地持ちとの条件で当てはまるのを見繕ってくれないか?〉


「その条件でしたら二名に絞られます、軍部のトップで侯爵のアリストフ=サンビエル、文官のトップで侯爵のカラント=フラサレフ、どちらも王都には及びませんが共に同等と等しき領地を任されています」


〈ふむ、カルドラドから近い方と選定基準に上げたら何方だ?〉


「それでしたら圧倒的にカラント=フラサレフの方が距離的に近いです、位置的には王都より西北西です」


〈カルドラドから見た場合はどの位置になるか分かるか?〉


「一つ山を越えて南西になりますが街道が通じてなく、他の町を経由しなければ辿り着けません」


〈街道は無くても大丈夫として、ティアならカルドラドに転移出来るよな?〉


「もちろんにゃ、これで標的は決まったにゃ」


〈この返事次第で大分予定が変わる事になるけど、平定後側近に出来る人材に心当たりはあるか?〉


「全くありません、他の貴族の方とは税に関しての相談はとてもではありませんが話せる状態では無く、両親は私の言う事を全く聞かず、まして兄は高い税でも問題無いと一蹴しております」


 家族すら信用できない訳か、そうなると余計に選定が難しいな、いっそ帝国でし損ねたが貴族全て打倒してし商業ギルドと冒険者ギルドを重用する形から徐々に構築する方が安定するのかねぇ。

 それは何時でも可能だしとりあえず予定通りにしてみるか。


〈それなら、プランに変更は無しって事だな、後は彼方を解放した後その都度対応って事にしとくか、それじゃ身支度を済ませてダンジョンに転移するぞ〉


 準備が整い、俺、セレス、ティア、シェル、アレッサ、アンジェの六名で向かうのだが、あっさりと計画が破綻した。

 【ゲート】を唱えるも指定階層に瞬間的には繋がるが直ぐに消滅、以前浄化した場所も今では浸食されているらしい、ならばコアのあった部屋からと思い発動してみると此方にはその一瞬すら繋がらずどうしたものか・・・・


〈うーん、浸食されてるな、流石にあの短時間で行くのは躊躇するな・・・通っている最中に消滅でもしたら死にかねん〉


「それなら1階層からブレスで吹き飛ばすのはどうにゃ? もうすぐ消えるダンジョンにゃ、遠慮は必要無いにゃ」


〈以前、俺のブレスすら吸収しつくした実績があるからな、光属性のブレスなら吸収されないとは思うけど、下手したら即消えて巻き込まれないか?〉


「闇の単一属性で構成されたダンジョンですから絶対に無いとは言えませんね」


〈無理する必要は無いからな、今回は取りやめよう。

 代わりにここのダンジョン攻略と、地上部の魔物討伐を昼まで行おうか、昼からライネルに行くぞ、ダイアンの服も見繕って買う必要があるからな〉


「割り振りはどうするにゃ?」


〈外はアレッサと俺でするよ、飛行の特訓も兼ねて倒してくる〉


「婿殿も心配性じゃの、婿殿と共有化された際に制御面の仕方も心得ておるぞ」


〈なら試験と思ってくれれば良いよ、危なそうなら強引に俺が制御するから〉


「早速行動するにゃ」


〈頼むからコアを取るなよ、後から使い道があるからな〉


「もちろんにゃ」

 

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