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8:出立準備前編

案内された部屋は先ほどマグロが登録手続きをした部屋だった。

 セレスは元々冒険者の様だ、どう説明したらいいのか・・・


「先に登録を済ませよう、この場が必要になった理由は後で説明するよ、それで、えーと」


「すいませんキャロルさん、私、以前に冒険者登録してたのですが、どうなりますか?」


「一度奴隷となられてますから失効してますね、新たに加入してギルドカードを発行する必要があります」


「加入時の説明は以前聞いてますから省いて登録をお願いします」


「わかったわ、この書面に必要事項を記入してもらえる? それと飛び級制度は利用しますか」


「マグロは利用したのですか?」


「一気に上がると悪目立ちするかな、と思って利用してないよ」


「では、私も利用無しでお願いします」


 スラスラ書き直ぐに手渡す。


「飛び級制度は無しと、ハイエルフ、エルフだと思っていたわ、ではこのカードに血を一滴垂らしたら完了ね。

 それとPT登録を、PT名は如何します?」


なるほど、エルフとハイエルフでは外見で判別が不可能って事ね、俺は兎も角、現地の世界の人が間違うんだ、普段はエルフとして活動する方が目立たないかもな。


「その前に聞きたいんだけど、PTって最大何人まで良いの?」


「十二名までですね」


「なるほど、それでだな、俺の座右の銘だが、敵意には敵意を、善意には善意を、遣られる前に遣れ、だな、意味解かるか?」


「聞いたことが無いのですが、座右の銘とはなんです?」


「生きてる上での行動理念とでも言うべきかな、敵意を向けてくる相手にはそれなりの対応、相手が善意で接して来るならこちらも善意で迎える、って事だな。

 ただ、この辺りの常識がさっぱりでな、常識的な視点から見た場合は、この考えはどうなんだ?」


「マグロの考えはこの辺りでは普通ですね、悪意を持って接してくる相手に譲歩など必要ないですよ。

 自分の命が掛かってますから遣られる前に遣れ、は、特別掲げなくても全員がそうだと思いますよ」


「なるほど、マグロさんの決闘での行動理念はそれだったんですね、それは一般常識の範疇です」


「特別な考えかと思ってたけど一般常識の範疇だったんだね、それならPT名も簡単だな」


「それで、マグロの考えたPT名は?」


「そうだな【真摯の断罪者】でどうだ?」


「物騒ね、他に候補は無いの?」


「此方の行動理念を表すとこれしか思い浮かばないんだよね、罪を断つとの意味もあるけど、関係を断つって意味も含まれてる、相手を倒せば関係は切れるからな、この行動理念を掲げて真摯に取り組むって事だな」


「なるほど、マグロの行動理念がPT名と言う訳ですね」


「だけど、ちょっと物騒ね」


「正面切って敵対する相手以外には無害だぞ、それに周りから何を言われようと気にしないからな。

 後は例の件だな、セレスにも話す必要があるから初めから説明するよ。

 今朝、ギルドへ登録しに来た際に正面からぶつかってな、それで決闘まで発展して相手を殺したんだ。

 そのお仲間らしき連中がこちらの動向を伺ってると。

 人数は男二人、女三人の合計五人だ」


「なるほど、私たちにとっては排除対象ですね」


 敵意は有れど手は出されていないけどね、ま、さっさと排除する方が安眠出来るってもんだ、わざと餌をちらつかせて嚙みつかせ、逆に噛み破るのが一番だな。


「すまないな、加入前からのトラブルに巻き込んでしまって」


「あら、マグロの問題は私の問題でもあるんですよ、サポートは任せて下さい」


「同じPTのメンバーでしょうね、数は合ってるわ、だけど何も手を出さずに尾行のみなら此方から何も出来ないわね、それでPT名に相応しい対応をするの?」


 町中で殺してはトラブルに合った俺が真っ先に疑われる。

 狙われたので返り討ちにしましたと言っても信じてもらえるかどうか。

 それならいっそ、外で待ち伏せされるように陽動してやる方が遥かに安全だ、オークションで帝都に行くからそれを餌にするのが一番手っ取り早いな。


「勿論だよ、そこは策と言っても幼稚な策だけど、わざと相手に仕掛けさせる様に仕込むさ」


「前回は周りが被害にあわなかったから良かったものの、今回はどうなの?」


「巻き込みはするな、だがきっちり守るさ、それに彼女は俺以上に優秀だぞ」


 なんせ俺はLv2だからな。


「それで策は?」


「カエラさんから教えて貰ってな、一週間後のオークション参加の為に明日から帝都へ向かう。

 そこでだ、今から昼食を取る、当然店内まで入って来るだろう。

 そこで馬車で向かうと相手にも知ってもらう、あえて教えて罠を仕掛けさせて罠ごと噛み砕く」


「長期間追跡されるのも気が休まらないものね、オークション参加だと日程的には直ぐ向かうべきでしょうね・・・護衛を数人、客に紛れ込ませましょう」


「不要だ、元々俺一人で十分な所にセレスも居るんだ、過剰戦力だよ」


「わかったわ、PT入って早々彼女が傷ついたなんて事にならない様に準備は怠りなくね」


「わかってるさ、今後死ぬまで一緒に居るんだ、家族と変わらない相手だぞ」


「なら、気張って行ってらっしゃい」


「そうだ、アストロウルフを11体倒して持っているんだが、これ如何したらいい?」


「牙と肉に毛皮は買い取るわよ、討伐照明が出来るからFランクにアップね、買い取りカウンターへお願いね」


「肉は一体分売らないぞ」


「かまわないわ、必要なのは討伐証明の牙だけですもの」


「そうか有難う、では行ってくる」


「くれぐれも気をつけるのよ」


 アストロウルフの肉を1体分残し売却後、適当に食堂を見つけて入って行った、無論腕を組んでだ。

 圧巻だな、腕をグリグリ押しつけたくなるが我慢だ。


「大将、今日のおすすめセットを二人分と、何かアルコール以外を二杯頼む」


 セレスティーナはなぜか正面に座らず、すぐ横の椅子に座った。


「セレス、正面に座らないのか?」


「マグロの隣が良いです」

 

 理由は分からないが、まあいいか、セレスの好きな場所で全然問題ないしな。


(例の対象が入って来た、話を合わせてくれ)(了解しました)


「一週間後のオークション参加の為に明日一番の馬車で帝都へ向かうぞ」


「了解しました、お伴致します」


「それでだ、準備が必要だから雑貨屋などに向かうぞ、服も買わないとその一着のみだろ?」


「確かに着替えが無いと不便ですね、よろしくお願いします」


「うんうん、美人だから何を着ても似合いそうだよな」


「ありがとうございます」

 

 と、突然ほっぺたにキスされた、いかん、心臓バクバクいってるぞ、美人にされては反則級の攻撃をされた気分だな、場所が宿屋の部屋なら押し倒したい位だ、だが我慢するのだ!


「話は変わるがお風呂とかはどうしてるんだ?」

 

「お風呂は貴族のお偉い方の邸宅のみにしか無いと思われます、お湯を沸かすのもお金が掛かりますので裕福な方のみでしょう。

 一般の方は水で洗ったり、お湯で体を拭いたり、浄化魔法で汚れを消すのが一般的でしょうか」

 

 浄化魔法? 気になってたんだよ、着替えが無いからな、洗い替えがないから死活問題だろ? 考えて見れくれ、一ヶ月着っぱなしとか、ありえん!


「確かにお金は掛かるだろうな、大量のお湯が必要なことだし、それで浄化魔法とは何だ?」


「生活魔法と呼ばれる魔法のうちの一つです、少しの水を出したり、火種を出したりもその内の一つですね」


「それを覚える方法は、どんな方法が有る?」


「覚える為のスクロールが売ってあります、雑貨店か魔道具店なら在庫が有ると思います」


「それなら雑貨店に無ければ魔道具店に行かないとな、だが、場所が分からん、セレスは知ってるか?」


「位置的には雑貨店から西門よりですね」


「それじゃ、無かった場合はそちらも行こう」


 冒険者ギルドでちらっとクエストを見たが、大半は魔物退治だ。

 転移もののライトノベルだとダンジョンがつきもの、この世界にもダンジョンはあるのかな?

 在れば行きたいな、罠とか厄介そうだが、外を探す手間を考えれば、魔物の巣窟との概念があるダンジョンの方が効率良さそうだし、聞いてみるか。


「ここに(この世界に)ダンジョンってあるか? 在れば効率良くレベルアップできそうだよな」


「ここサパンには有りませんが、明日から向かう帝都にあったはずです」


「それは良いな、是非体験しないとな、それならこの町で揃えるより、本格的な装備は先方で揃えるか、首都なら一番品物が集まるはずだしな」


 食事も済み雑貨店に向かい店舗へ入る。


(付いて来ないようだ、奴らは準備して先回りするつもりだろう)

(仕込みは済みましたね)

(すまないな、出会い早々巻き込んでしまって)

(マグロに付いて行くと決めてますから、一向に構いません)

(ありがとう)


「いらっしゃいませ」


 昨日の店員だったのでまた丸投げするか。


「前回買った品と同じものを一揃え全部売ってもらえるか、それと毛布を4枚頼む」


「此方で準備させて頂きます」


「浄化魔法を覚えたいのだがスクロールはあるか? それと帝国の地図がほしい、ざっくり町の位置が分かればそれで良い」


「スクロールはございます、地図ですが軍事機密扱いなので正確なのはございません、荒く書かれた品ならございます」


「では両方頂く、スクロールは二枚頼む、HPやMPポーションなのだが自分で作ってみたい、製作キットの様な品は無いか?」


「製作キットは存在しておりますが、此方には置いてございません。

 ポーションでしたら製作用のスキルが存在します、それを覚えれば加熱し抽出などの手間が省けますが大変に高価です、ですが、そのスクロールは帝都の商人ギルド本部でしか手に入りません」


 それは朗報だな、是非手に入れたい、時間短縮が可能なら量産も可能だろうからな。


「ちなみに具体的な金額はご存知か?」


「金貨百枚になります」


「それは大金だな」


 俺には安い買い物だが。


「大変実用的なスキルの為にあまり販売したくないとの思惑もあるのです」


「なるほど、スキルを覚えたとして、必要な機材は何になる? それと原料の薬草などは販売してるのか?」


「機材は手作業かスキルか、それぞれセットとして商人ギルドで販売して御座います、原料も同様に販売して御座います」


 機材を持ち運ぶのは本来なら邪魔だろうけど、俺ならいくらでも持ち運びできるからな、数セット買っとくか。


「ふむふむ、セレス、他に何か必要なのはあるか?」


「長旅する訳ではないですし、現時点では事足りてます」


「そうか、では店主殿、合計いくらになる?」


「金貨16枚と銀貨20枚になります」


 金貨17枚を渡す。


「それは情報に対するお金も含まれている、お釣りは不要だ、それだけの価値が有ると思ったのでな」


「ありがとうございます」


「世話になった、ありがとう」

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