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78:クラスアップ

 野菜類もあるにはあるが面倒なので肉と魚を焼いていると匂いに釣られたのかアンジェが気が付き一緒に食事を済ませ、三十分程度食休みだ。


「さて、ここまでは時間勝負だったから突貫で来たけど後の処理をして装備や魔石を取るのも最短で1週間は時間がある訳だ、無理に倒す必要もない訳だけど、如何したい?」


「攻略は進めたいにゃ、このままじゃ不完全燃焼にゃ、其処でだにゃ、二階層分ぐらいは攻略して帰らないかにゃ?」


 うーん、相手が寄って来るからそこまで時間は掛からないがどの程度時間が掛かるか分からないんだよな、試しに一階層分倒して様子を見るのが得策かもなぁ。


「一階層分丸々だからな、それなりの時間が掛かるとして、二階層分が妥当な所か?」


「マグロ、それなら俺に戦わせてもらえないか、マグロとティアばかり活躍してほとんど何もしていない」


 確かにダンジョンへ突入直後は俺とティアばかり、その後は俺と猫達しか活躍してないか、呪いを受けるのも嫌だし、浄化しながらなら憂さ晴らししても大丈夫だな。


「この階層はドラゴンゾンビばっかりだったよな・・・・【ホーリーライト】の影響下でなら戦って良いぞ」


「なら決まりですね、その条件で構いませんよ」


 場所はボス部屋入り口だ、図体がデカイから数の制限にはもってこいだからな、なんせ一体の大きさが全長7mほどときてる。

 俺はと言えばクリニスの倒した骨と魔石の回収、大きいから骨も馬鹿にならないほど嵩張るからな、そちらは二時間二十分ほどで完了した、この予定なら十七時前後には終わるかなと目星をつけ【ゲート】で移動する。

 場所はボス部屋の階層が三十二階層なので三十一階層へ上がる階段だ。

 壁に攻撃を加え戦闘開始、戦いたい者に戦闘は任せ、アンジェには護衛を付け、俺はせっせと装備品と魔石を拾う係りだ、リビングアーマーの上位種でデスアーマー、大半が総ダマスカス製のフルプレートメイルが動いてる様にしか見えない、それも呪いのおまけ付きでだ。

 首を切り飛ばそうと平気で動く、これは魔石を核として活動する為他の部位が無くなろうと動きを止めないからだ。

 効率的なのは鎧を破壊して魔石を引っこ抜くのが一番早い為鎧ばかりが破壊される、そこで再利用可能な部位は鎧以外となる、それらが1万セット辺りになろうかと言う時、マグロに異変が起こり、龍化の魔力操作をしていないにもかかわらず自然と龍化したのだった。


 壁をぶち抜き、床をぶち抜き、天井をぶち抜きと三十から三十二階層までの高さを占領し龍化は完了した。


「ヴルァアアアアア!(痛------い!)」


 自ら変化していない事での混乱と共に全身をめぐる激痛でのたうち回り、そしてマグロは気を失った。


 その間のクラン員と言えば、アンジェを守るカエラの奴隷達五名はアンジェを抱え上げ三十二階層に下り、それでも龍化の速度では逃げ切れないと判断し、アンジェを中心として円陣を組み空間を確保、マグロに押され壁に激突するもそのまま空間を確保しアンジェを守り切った、壁にめり込んでいる為逆方向の壁を破壊する事で脱出を成功させていた。

 ティアは床をぶち抜き三十二階層へ、マグロと逆方向の壁をぶち抜く事で逃れた。

 セレスとシェルとクリニスはフライの魔法でマグロとは逆方向に飛び、此方も風魔法で壁に大穴を空け退避。

 シャロはマグロの足元に避難、三十二階層に落下しマグロが気絶した際には体制を崩す前に離れる事で難を逃れた。

 アレッサはマグロに向かって高水圧の水を浴びせかけ、その反作用を持って急速に離れ自らも龍化、壁を突き破り難を逃れた。


 そして当人のマグロは、と言えば。


「はぁはぁ、何なんだ、突然激痛が襲って来たと思ったら痛みが無くなったり、また俺って死んだのか? しかしここって見覚えがあるなぁ・・・・? って俺の体が無ーい! どんな状態だよこれ!」


 マグロは意識を手放した直後、エウシオンに施された細工が発動し、魂のみを強制的に引き寄せられていた、エウシオンの元へ。


『魂のみをお呼びしたのよ、良くいらしたわね早乙女真一、今は怪盗=マグロと呼ぶべきかしら』


「その名前を知ってる、そして女性だとすると・・・・エウシオン様? そうするとここは一度訪れた」


『あら、疑問形の様だけど合ってるから許してあげる、場所はその通りね』


 何でこんな事に・・・・いやそれは兎も角皆は無事なのか・・・・下手すると潰してしまったかも・・・・


「恩人に対して失礼を、すみません、ですがちょっと怒ってますよ。

 もうちょっと場所を選んでもらえませんか? 皆が無事なら良いのですが」


『ごめんなさいね、時期を選んで呼ぶ事は不可能なの、それで送り出した時に細工を施したという訳、安心して、貴方と共に居た者達は傷一つ負っていません』


「はぁ、それは不幸中の幸いですね、それで、俺って戻れるんですかね?」


『必ず戻すと誓わせてもらいますよ、それでお願いがあるの』


「送り出す際に細工をしたって事はですよ、そのお願いはその時点で伝える事は確定していたって事なんですよね?」


『そう、結論を言うと神として地上の代行者になってほしいの、その為にカイエルに貴方を選んでもらったとも言えるわね、Lv五千五百になる事が絶対の条件だったの、今回見事それを成し遂げたって訳なのよ』


「いやいや、他の世界から来た俺なんかより適任な人材が居るでしょうに」


『今のアルタールに感化されていない貴方だからこそ適任、貴方も見て来たわよね、高い地位に就いてる者ほどあるまじき行為に走るのを』


「あーそれは確かに、権力を笠に着てるのが多かったですね、中には数人真面な人もいましたけど、おかげさまでトラブルには事欠きませんから」


『そう、その回避手段として群島を自身の所有地とする為模索してる最中でしたね。

 確かに貴方の奥さん達は候補の一人に上がってはいます、ですが人を導く様な性格ではないのが欠点、その点貴方が一番相応しい』


「彼女達が候補・・・・、相応しいのは置いておきまして、一つ質問がありますが宜しいでしょうか?」


『ええ、答えましょう』


「拒否した場合、どうなりますか?」


『候補である彼女達の誰かになって頂く事になるでしょう』


 はぁ、断ったらこの役目を嫁さんに押し付ける事になるのか、それはそれで面倒事を押し付けるみたいで嫌だな、受けるしかないか。


「それでしたら選択肢はありませんね、受けさせて頂きます」


『お受け頂いてありがとうございます語質は取りましたよ。

 これに先立ち肉体は今までの体を素材とし再構築されます、そして【龍語魔法】から【神属魔法】に変わります、今までは龍化する際に手順を踏む必要がありましたが無詠唱と同じ手順で変化できます、サイズも指定すれば最小サイズ五十cm、最大サイズ一,五kmです、レベルが上がれば最小サイズは変わりませんが最大サイズは大きくなります』


 最大サイズは兎も角として、最小サイズはこれまで熟練度頼りだったのが撤廃されると、で、これまでの煩わしい操作が不要か、かなり使い勝手が良いな。


「制約とかあるのでしょうか?」


『特にはありませんが、神としての体と魂が馴染む為の期間が必要です。

 その間人化もサイズ変更もできません、五十cmの大きさのまま一年間暮らして頂く事になります、その間は毎日十時間は睡眠を取って下さい、睡眠時間を削るほど馴染む為の期間が長くなります』


 特にありませんって、これ、最短で一年間限定だけど制約バリバリじゃねえの? それも話せるのが「グルァアアア!」だろ、筆談なら可能だけど、そのたびに羊皮紙に書き書きするのって恐ろしく手間が掛かるんですけど・・・・


「十時間、しかも一年・・・・サイズは兎も角ですね、会話が不可能なのは避けたいのですがどうにかなりませんか? 今後予定している事を進めるのに非常に不都合なのですが」


『確かにそうですね、一つ取引をしましょう、飲んで頂けるのなら対処します』


 候補の件と言い、狙って言ってるかな、断れないじゃないか。


「それって断れないのでは・・・・とりあえずお聞かせ頂けますか?」


『カラドラスを知っていますね? かの地の民に平穏を与えて下さい』


「確かに名前のみならば聞いた事が有ります、しかし、それはどういった方向へですか?」


『かの地の税率を下げて下さい、民が安心し暮らせる様』


 確かべらぼうに高いと聞いたな、かなり疲弊してるって事か、住んでる身になればさっさと潰れろクソ国家って所か。


「なるほど、それでは頭のすげ替え前提ですね、騎士達も排除対象になってしまいますが民には違いありませんよね、其方はどうされます?」


『彼らは今の体制に感化され過ぎています、対応可能ならば極力対応をと言う事にしておきましょう』


 軍事国家と言ってたな、王制って事か、感化されてるなら軍部のみならず文官も排除して適切な人材を宛がわないと腐った連中を内包したままになるな、コソコソ裏で動かれてはたまったものじゃないし、相当首を着る必要があるな物理的に。


「もう一つ、俺はかの地の王になるつもりはありません、代理を立てる事になるかと思いますが候補は居ますでしょうか?」


『候補は居ます、かの王に意見した事で捕らえられ幽閉されております、場所はアラニス王国とルサランド共和国との国境付近、町の名前はカルドラド、囚人専用収監施設となっています』


「個人を特定し旗頭にしたうえで打倒すればいいのですね、しかし、時期はいつにしましょう、バルカント諸島の調査で迎えに行くと伝えてますから時期の調整が必要となりますが」


 うーん、通常の罪人と一緒に居るのなら選別は簡単だが複数居た時が厄介だな、ツガット辺りに信用できそうなのを紹介してもらうって手を使うか?


『時期ですが、貴方は魔馬を捕らえに行く予定がありますね、その際に対応して頂ければ幸いです、ですが遅くとも二ヵ月以内でお願いしますね』


 期間が短いが強引に事を運べばどうにかなるか、しかし、貴族の選定が出来るかどうか、そこが問題か、その候補が良き人材を知っていれば良いが、居ない場合は冒険者から引き抜いて騎士に、商業ギルドの職員を引き抜いて文官に、帝国と同じ対応が必要かもなぁ。


「わかりました、その条件を吞みましょう」


『それでは対価を支払いましょう、先ずは会話対策として念話スキルを与えましょう。

 そして貴方が体に馴染むまでの間、HPやMPは変わらずに他のステータスが一割程度に下がってしまいます、定着率が上がれば少しずつ力を取り戻すでしょう。

 そこで貴方の補佐役が必要になります、対策として奥さんの中から一名、貴方と全てのスキルの共有化を認めましょう、他の奥さんには貴方の所有するスキルから一つを選んで頂き共有化して頂きます、注意点として、一人が選んだスキルは他の方は共有化できません』


「念話スキルですか、ありがとうございます、しかしその後のスキル、それは力を与え過ぎでは? 一割に下がったとしてもHPやMPが通常のままでしたら不要かと思いますが」


『小さなドラゴンの姿で矢面に立ち指揮する事が可能だとお思いなら取り消しましょう』


 あー、指揮は兎も角交渉では無理があるか、転移は俺が送れば良いけど矢面に立つのがちっこい龍じゃなぁ。


「それを言われると辛いものが・・・・ご配慮感謝します」


『良いのですよ。

 今回の会話は奥さん方にも聞いて頂いています、説明で苦労する事を省かせてもらいました、感謝しても良いんですよ』


「ご配慮感謝しますエウシオン様」


『感謝ついでにお願いがあります、甘い物を奉納して下さい、各町の主要な場所に神棚がありますのでお願いしますよ』


「それって神棚にお供えすればエウシオン様の手に渡ると?」


『そうです』


「対価はすでに頂いているのでちょくちょく送らせて頂きますよ」

 

『お願いしますね、今後は貴方も神となる身、人を殺そうとも一切罪に問われませんがその辺自重する事を期待します。

 今後は念話での会話となり此方を此方へお呼びする事は無いと思います、何かお願いをする際は対価をご用意します、WinWinの関係で行きましょう。

 奉納の品、楽しみに待っていますよ、できれば果物を所望します。

 時間の様です、怪盗=マグロごきげんよう』


 こうして来たときと同じく強制的に戻された。


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